米中対立が、高まっている。トランプは、中国ByteDance社が米国で展開するビデオ・プラットフォームのTikTokは、情報を中国に転送するから危険だとして、米企業への売却を促すとともに、ByteDanceは売却代金の一部を米国庫に納めるべきだと言明している。
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このままでは米中は、貿易・投資・技術面で、相手国企業の接収など仁義なき戦いに至りかねない。現代の国際社会に土足で上がり込もうとする感のある中国を抑えるのは賛成だが、抑えて抑えきれるものだろうか?
筆者は、経済関係を断絶する必要は毛頭ないが、けじめをつけて、絞るべきところはきちんと絞る。それは可能だ、と思う。検証してみよう。
米国はどこまで本気なのか?
中国との対立は、米国の総意になっていない。
もともとオバマ政権時代には南シナ海におめおめ人工島=軍事拠点を作らせてしまったし、尖閣防衛についてもへっぴり腰だった。
トランプが中国叩きを続けるのは、「中国製品に米市場を奪われ、職も失った」と感じている中西部の白人労働者向けのサービスだ。彼は中国の危険性などは認識しておらず、自分の再選に中国叩きを使うことしか考えていない。
今、彼の一部側近、そして軍は、トランプの中国叩きに乗じて、軍事・技術・資金等あらゆる面で中国を封じ込めようとしているが、トランプは再選されれば中国と握手することだろう。バイデンが当選しても、中国との過度の対立にはブレーキがかけられ、気候変動、核拡散防止などの問題の方に注意が向けられることだろう。
つまり米国の尻馬に乗って中国を叩くのは程々にしておかないと、はしごを外されることになる、ということだ。