支援団体の疑惑続出の中、韓国で「慰安婦の日」 文大統領が式典にメッセージ

14日、韓国・天安で開かれた「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」の式典で文在寅大統領の映像メッセージを視聴する出席者(共同)
14日、韓国・天安で開かれた「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」の式典で文在寅大統領の映像メッセージを視聴する出席者(共同)

 【ソウル=名村隆寛】韓国の国定記念日「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」の14日、政府主催の式典が中部、忠清南道(チュンチョンナムド)天安(チョナン)市の国立墓地「望郷の丘」で行われた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は出席せず映像メッセージを寄せ、元慰安婦らの尊厳と名誉の回復へ「現実的で実現可能な方策を講じるよう、最善を尽くす」と述べた。

 文氏は「問題解決の最も重要な原則は被害者中心主義だ」とした上で、「おばあさん(元慰安婦)らが『もういい』と言うまで受け入れ可能な解決策を探す。歴史を立て直すための研究、教育をより発展させる」と語った。

 今年で3回目となった式典は、元慰安婦の支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)や、元慰安婦らが暮らす支援施設「ナヌムの家」による寄付金の不正流用疑惑などが続出する中で開催された。

 文氏は疑惑には直接言及せず、「問題解決のための運動の過程と結果、検証の全過程に開放性と透明性を持たせ、多様な市民が共に参与できることを望む」と述べるにとどまった。

 式典には李貞玉(イ・ジョンオク)女性家族相のほか、5月に記者会見し正義連の不正疑惑判明のきっかけとなる発言をした元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さん(91)らも出席した。

 正義連の不正会計疑惑をめぐっては13日に、前理事長で左派系与党「共に民主党」の国会議員、尹美香(ユン・ミヒャン)氏が、検察に出頭し、14日未明まで約14時間半にわたり取り調べを受けた。尹氏は市民団体から横領や背任などの罪で告発されている。

 慰安婦問題は2015年の日韓合意で「完全かつ不可逆的な解決」が確認され、合意に基づき日本政府拠出の10億円から合意当時存命だった元慰安婦の7割以上に現金が支給された。だが、文在寅政権は「合意では問題は解決しない」との姿勢をとり続けている。

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