TikTokロゴ(写真:ロイター/アフロ)

 米ウォールストリート・ジャーナルや米CNBCなどの報道によると、米国の国家安全保障への影響を検討する対米外国投資委員会(CFIUS)は、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)の米国子会社で、人気動画投稿アプリ「TikTok」を運営するティックトックに対する調査を進めているという。

「情報が中国政府に吸い上げられている」

 ムニューシン米財務長官が7月29日に明らかにしたもので、同氏は「今週、大統領に提案を行う。我々にはさまざまな選択肢がある」と述べたという。また、トランプ米大統領はホワイトハウスで記者団に「TikTokの利用を禁止するのか」と聞かれ、「検討している。何らかの決定をしようと考えている」と述べたという。

 TikTokを巡っては、米国人の利用者データが、中国政府に吸い上げられているのではないかと米政府当局者らが懸念しているという。このアプリが中国のプロパガンダの拡散に利用されている、中国政府の意向に沿った検閲を行っている、といった懸念も出ている。ポンペオ米国務長官も米国での利用の禁止や制限を提案したという。

米国で人気のアプリを買収しTikTokに統合

 バイトダンスは2012年創業の中国企業。2016年にTikTokの前身となったアプリ「抖音(Douyin)」を立ち上げた。これは、米カリフォルニア州にも拠点を置き、当時米国でも多くの利用者を抱えていた動画投稿アプリ「ミュージカリー(Musical.ly)」を模倣したものだと言われている。

 バイトダンスは2017年9月、抖音の国際版であるTikTokを立ち上げた。その後の同11月に、約10億ドル(約1050億円)でミュージカリーを買収。2018年8月にTikTokとミュージカリーを統合し、利用者アカウントやデータを引き継いだ。これによりTikTokの利用者数は急拡大したが、CFIUSはこれらの経緯やデータ移行のプロセスに絡む、国家安全保障上の問題を調査しているという。