日本の産官学がデータの流通や利活用で新たに連携することが、2020年7月17日までに分かった。官民データ活用共通プラットフォーム協議会など既存5団体が手を組み、分野をまたいでデータを探しやすくしたり、国際標準化を推進したりする新組織を設ける。データの流通や利活用では、中国や米国が先行するが、日本も産官学のタッグで巻き返す考えだ。

 官民データ活用共通プラットフォーム協議会のほか、データ流通推進協議会や日本IT団体連盟など5団体が2020年12月にも、データガバナンスの推進組織「dataex.jp」を設立する。このほど設立準備協議会を設置し、会長に東京大学の越塚登教授、事務局に日立製作所とNTTデータ経営研究所が就いた。dataex.jpには日立や富士通、NEC、NTTデータ、東大などが参画する見込みで、まずは会員数で2000団体を目指す。

 dataex.jpは政府が2020年7月17日に閣議決定した省庁横断の科学技術政策「統合イノベーション戦略2020」を後押しするものだ。具体的には、分野をまたいだデータの流通や利活用を阻む技術や制度、人材面の課題を解決することを目指す。

 例えば産官学が持つ各種データの所在などを分かりやすい形でまとめたポータルサイトを整備したり、データの流通や利活用に関わるITや運用の基準を検討したりする。開発者や利用者向けにクラウドのテスト環境も用意する。これまで業界団体や企業が個別に取り組むケースが多かった国際標準化の交渉をdataex.jpが引き受けることも想定する。

 データの流通や利活用では国家が主導する中国や、「GAFA」と呼ばれる巨大IT企業がけん引する米国が先行する。こうした現状を危惧し、欧州ではデータ基盤の整備を目指すプロジェクト「GAIA-X(ガイア-エックス)」が立ち上がっている。「欧州のデータ保護」など7つの基本原則を掲げており、独シーメンスやSAPなどが参画している。

 新団体は欧州型に近いデータガバナンスの整備を目指す。ただ、関わる企業や団体が多岐に渡るため、利害が対立する場面も想定される。データの流通や利活用で日本が国際競争力を保てるかどうかをはかる試金石になりそうだ。