なぜ若者は選挙に行かないのか。風化した「18歳選挙バブル」

解決するためにできる2つのこと
ピン芸人でお笑いジャーナリストのたかまつななさんは、2016年の18歳選挙導入の年から「笑下村塾」という会社を立ち上げ、学校や企業に対して主権者教育やSDGsに関する出張授業を行っている。

2019年の参院選で18歳の投票率が大きく下がったことを受け、若者の政治離れを改めて懸念しているというたかまつさん。いま、若者が選挙に行かない理由、そしてその改善策とは。

2019年の参院選の投票率は48.80%だった。およそ2人に1人は選挙に行かないという選択をとったことになる。国政選挙では1995年の44.52%に次ぐ、戦後2番目の低さだ。

中でも顕著なのが、若者の投票率の低さ。元々、20代の投票率は昔からずっと他の世代に比べて低かった。しかし、2016年の参院選と比較すると、18歳の投票率が51.28%から34.68%にまで下落した。2016年の都知事選における18歳の投票率は51.8%だった。18歳選挙バブルがはじけた後、今回の都知事選における投票ではどんな数字になるのだろうか。

〔PHOTO〕iStock
 

若者の政治離れを食い止めるため、2015年に公職選挙法が改正され、2016年の参院選から18歳選挙権が導入された。選挙年齢が引き下げられたのは70年ぶりということもあり、若者が政治の場で主役となり、連日のように18歳選挙権について報道された。それから次の選挙で16.6%も下がるようなことがあっていいのか。

なぜ、参院選では投票率が下がったのか、またこの投票率の低さを解決するためにはどんな方法があるのだろうか。

18歳選挙権の風化

2016年、18歳選挙権が導入された年は大々的にPRが行われた。広瀬すずさんがキャンペーンに起用され、YouTubeで大流行した「本能寺の変」ならぬ「選挙権の変」が総務省のHPに公開された。同サイトには、写真を送ったら自動的に選挙ポスターが作れるページもあった。これらを作ったのは総務省なのだが、HPの予算は年度毎に作られており、ドメインの有効期限が1年であっさりと切れ、大学生がふざけて取得してしまうという悲しすぎる顛末があった。

以前、総務省の方とお仕事させていただいた時に、「統一地方選、参院選で18歳選挙のことなにかやりますか?」と聞いたら、「国政選挙で初めて導入されたから、前回(2016年)の参院選ではやりましたが、個別の選挙においてはやりません」と言われた。2019年の参院選の改めて総務省に取材したところ、「制度改正についてはその都度啓発をやっています。18歳選挙権の制度改正は認知されてきましたので、18歳と強調しての啓発は減少しています」という話であった。

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