電気自動車(EV)メーカーである米テスラの株価が急騰している。6月10日には終値で1000ドルを突破し、時価総額でトヨタに迫る勢いとなっている。カリスマ経営者で、数々の放言でも知られるイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)ですら、ツイッターで「(株価が)高すぎる」と発言したほどだ。
確かに、今のテスラの株価が高すぎるのは間違いないだろうが、同社の株価について「実態を反映していない」と批判する声が大きいことが、逆に株高の原因にもなっている。株価というのは究極的に将来に対する期待値で決まるので、現時点での業績を議論してもあまり意味はない。
イーロン・マスク氏〔PHOTO〕Gettyimages
常に「過大評価」と言われてきた
テスラが株式市場に上場したのは2010年のことである。当時からテスラは過大評価されているとの指摘があり、上場直後が株価のピークになるという予想も多かった。現実には、それほど株価は下がらなかったが、しばらくは20ドル前後でのもみ合いが続いた。だが、EV化の流れが本格化してきた2013年あたりから株価の本格的な上昇が始まり、2014年には250ドルを突破、その後、さらに株価は上昇し、一時は350ドルを超えるまでになった。
だが、同社に対しては過剰投資などから経営不安説が囁かされるようになり、株価は急落し一時200ドルを割り込む局面もあった。
2017年12月期における同社の売上高は117億5800万ドルと前年比で68%も増えたが、赤字も大幅に拡大。営業損失は前期比で約2.5倍の16億3000万ドル、純損失は19億6000万ドルに達している。最新の「モデル3」については、当初、2017年7月に量産開始の予定だったが、何度も延期を繰り返すなど、生産面でもトラブルが続いた。