アフリカ系アメリカ人に対する警察の暴力に対して「Black Lives Matter(BLM:黒人の命は大切だ)」と主張する抗議活動が広がっている。
デモに参加する市民だけではなく、BLMに賛意を表明する企業も目に付く。アマゾンはアフリカ系に対する公正な司法制度、教育などを求める非営利団体に総額約10億円の寄付をすると発表、その際、文書の冒頭に「黒人とアフリカ系アメリカ人に対する不平等で暴力的な取り扱いは許容できない」と記した。
大手金融機関では、シティ・グループのCFO(最高財務責任者)である、マーク・メイソン氏が会社サイトにメッセージを記し、自身もアフリカ系であるとした上で、社会経済階層を超えた連帯の必要性を説いている。スターバックス、ナイキ、ベン&ジェリーなどもそれぞれの形でBLMに対する連帯を表明している。
日本企業では、サンリオのTwitterが話題になった。6月3日、サンリオが運営する「ハローキティ」の公式アカウントは「Black Lives Matter. Kindness Matters(黒人の命は大切だ。優しさは大切だ)」と投稿。黒い背景に白文字で、BLMに対する賛同と支援の意思表示を明確に示したものだ。
約1週間後の6月9日、サンリオの企業アカウントによるツイートが注目を集めた。「より良い友達や味方になる方法」と題して「学ぶ、支援する、聴く、尋ねる、認める」ことを、マイメロディ、リトルツインスターズ(通称、キキララ)といったキャラクターの画像と共に投稿した。BLMの背景を学び、当事者の声を聞いてその気持ちを認識し、分からないことは尋ねて支援することを推進する意図が伝わってくる。
一般的に言って、企業は政治的発言を避けることが多い。海外の出来事については、企業業績への影響がない場合、論評しない方が無難だからだ。そんな中、サンリオがBLMにはっきりと連帯の意を表明したことは、日本企業としては珍しい行動に映るかもしれない。
ただし、同社の企業理念を知れば、こうした意見表明はむしろ「サンリオらしい」と思えるはずだ。