<新型コロナ>コロナ禍 語る難病女子

2020年5月27日 07時49分

小沢さん(左)と朝霧さん(右)がオンラインで対談する動画

 進行性の筋疾患がある車いすのシンガー・ソングライター、小沢綾子さん(37)=墨田区=と、朝霧裕(ゆう)さん(41)=さいたま市=が、新型コロナウイルス感染拡大の状況下で感じた不安や憤りなどを語り合った動画をユーチューブにアップした。オンライン会議のアプリで、二人は対談。コロナ禍で浮かび上がった「命の選別」の問題や、変化した社会について、障害者の立場から率直に言及した。
 動画のタイトルは「難病車椅子(いす)女子・コロナ禍での命のトーク」。小沢さんは筋ジストロフィー、作家活動をしている朝霧さんはウエルドニッヒ・ホフマン症で、いずれも音楽を通じて自己表現を続けている。
 朝霧さんは、コロナで医療が逼迫(ひっぱく)した際、障害者や高齢者への治療が後回しにされる海外のニュースを語り、「うちらは助けてもらえる権利から、最初から仲間外れなのかな」「圧倒的な絶望感」と心情を吐露。小沢さんは「命を選択していいんだと…。最後はそこにいっちゃうんだと」「(多くの障害者が殺された)やまゆり園の事件みたいに、この命はいらないと、そういうふうになっていくのが怖い」と応じた。
 一方、会社員でもある小沢さんは、コロナ対策で変化した社会をプラスにとらえる一面も。「在宅ワークが当たり前になったら、障害のある人は働きやすくなる。通勤の際、満員電車、エレベーターになかなか乗せてもらえなかったりといったストレスがなくなった」とコメント。朝霧さんは「障害のある方もない方も、共通して便利になったものは残るといい。選択肢が広がれば」と話した。
 小沢さんは、動画の公開に当たって「障害がある当事者は、人口比も極めてマイノリティーで、私たちの声は本当に小さい。人工呼吸器の増産など、手を尽くし、議論を尽くす前に、誰を助けるかの優先順位の議論が世界各国で出ていることに警鐘を鳴らしていきたい」としている。(井上幸一)

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