経済インサイド

「安全保障」銘柄の突如見直しも、選定基準はやはり疑問だらけ

外国人投資家による日本企業への出資規制を強化する改正外為法。全面適用の2日前となる6月5日、外資が出資する際に事前審査の対象となる安全保障上重要な上場企業のリストが突如、見直された。宅配アプリの「出前館」やスーパー銭湯の「極楽湯ホールディングス(HD)」など、およそ安保とは関係ない企業が名を連ねていた問題のリスト。見直し前にはトヨタ自動車が選ばれ、日産自動車が除外されるなど、同じ業種で選定基準も不明瞭で、当初から疑問点だらけだった。

曖昧な線引き

「主要事業はフードデリバリーであり、当社は安保上重要な事業ではないと認識している」

外食宅配ポータルサイトを運営する「出前館」の担当者は、こう打ち明ける。同社が手掛けるソフトウエア開発事業が安保に関わると判定されたとの憶測もあるが、「飲食店向けの注文管理システムの開発で、安保には関連しない」(同社)との主張だ。

リストを公表した財務省は、「個別事業の選定理由は明かせない」としながらも、選定方法については「アンケートや企業の定款内容などを基に、重点審査の対象となる『コア業種』に該当するかを機械的に判定した」と説明する。

このコア業種というのは、特に安保上重点審査の対象となる業種のことを指しており、武器、航空機、宇宙関連、原子力関連、軍事転用できる汎(はん)用(よう)品、サイバーセキュリティー関連、電力、ガス、通信、上水道、鉄道、石油の12分野が該当する。子会社なども含め、何らかの形でコア業種に関連する事業に携わっていればリストに掲載されるという。

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