政府「連絡会議」の記録は公開せず 菅官房長官「なじまない」

2020年6月3日 07時12分
 菅義偉(すがよしひで)官房長官は二日、政府の新型コロナウイルス感染症対策を実質的に決めるとされる連絡会議の記録を一般には公表しない方針を示した。政府が議事録作成の検討に入った専門家会議に関しては、加藤勝信厚生労働相は計二回の会合に速記者が不在だったことを明らかにした。公文書管理を徹底する「歴史的緊急事態」に指定された新型コロナ対策は、政策決定過程の検証が困難になる懸念が強まった。
 菅氏は記者会見で、連絡会議の記録は三月一日分まで作成済みとした上で「情報公開法で不開示に該当する個人や法人に関する情報が含まれ、ホームページなどでの一律の公開にはなじまない」と説明。三月の国会答弁では議事概要を作って公表する方針を示していたが、発言を後退させた。
 連絡会議は感染の拡大後ほぼ毎日、安倍晋三首相や関係閣僚、省庁幹部らが出席し、官邸で開催。新型コロナ感染症対策室の担当者は本紙の取材に対し、議事概要を作成しているかどうか記録にどんな内容が含まれるかを明らかにしなかった。政府高官は国会から要求があった場合は記録を提示する考えを示した。
 連絡会議に関し、首相は「私に対する説明と報告がなされ、質疑がある」と意思決定の場ではないことを強調しているのに対し、野党は「本当の議論は連絡会議に集められ、方針が出される」(立憲民主党・石橋通宏参院議員)と指摘。政府高官も「作戦会議だ」と政策の方向性を話し合うことを認めている。
 一方、専門家会議を巡っては、加藤氏は参院厚労委員会で、過去十五回の会合のうち初回と三回目に速記者が入っていなかったと説明した。速記録がなければ議事を正確に再現できない恐れがある。菅氏は一日の記者会見では「基本的に速記が入り、速記録を保存している」と述べていた。 (上野実輝彦)

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