米国株、ダウ続落 17ドル安、米中対立への懸念で
【NQNニューヨーク=横内理恵】29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続落し、前日比17ドル53セント(0.1%)安の2万5383ドル11セントで終えた。米中対立への懸念から売りが膨らみ、下げ幅は300ドルを超える場面があった。香港への統制を強める中国に対して、トランプ米大統領が午後に発表した制裁措置が警戒されていたほど厳しくなかったとの見方からダウ平均は下げ幅を縮小して終えた。
中国が28日に全国人民代表大会で反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針を採択したことに伴い、米政権は対中制裁の検討に入った。中国は米国が実際に制裁に動けば報復措置をとる構えで、米中対立が一段と激しさを増すとの見方から売りが膨らむ場面があった。米政権は新型コロナウイルスの感染拡大についても中国を批判しており、米中関係の緊張が世界経済の不透明要因になるとの警戒感が強まった。
29日に米連邦準備理事会(FRB)元副議長でプリンストン大教授のアラン・ブラインダー氏と対談したパウエルFRB議長が新型コロナの感染第2波が米の景気回復を遅らせることへの警戒感を示したことが市場心理を冷やす場面もあった。
午後に入るとダウ平均は上昇に転じる場面があった。トランプ氏が午後に開いた会見で中国への制裁として米国が香港に認めている優遇措置を見直す手続きに入ると発表した。一方、貿易合意の撤回や追加関税には言及しなかった。1月の貿易交渉の「第1段階の合意」が破棄されるとの警戒感があったため、発表内容は市場が警戒していたほど厳しい内容ではなかったと受け止められた。
クレジットカードのアメリカン・エキスプレス(アメックス)や航空機のボーイングの下げが目立った。JPモルガン・チェースなど金融株も総じて下落した。一方、ソフトウエアのマイクロソフトや半導体のインテルなど大型ハイテク株が買われた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、同120.88ポイント(1.3%)高の9489.87と2月下旬以来、約3カ月ぶりの高値で終えた。米中の貿易摩擦への懸念が和らぎクアルコムやエヌビディアといった半導体関連株の上昇が目立った。