2017.07.05

19年連続減収から7期連続増収へ!学研V字回復を支えた人材育成法

宮原博昭社長に聞いた

学研ホールディングスの業績が絶好調だ。戦後、蕎麦屋の2階で事業を始め、学校販売、家庭訪問販売で「科学・学習」の売り上げを伸ばしたのは昔の話。

現在はサービス付き高齢者住宅「ココファン」を全国展開し、子ども向けには受講効果業界1位の「学研教室」や、パソコン・スマートフォンを使い低料金で学習をサポートする「学研ゼミ」を展開、7期連続増収を果たしている。

歴史ある企業を復活へ導いた宮原博昭社長(57歳)に話を聞いた。

宮原博昭学研ホールディングスの宮原博昭社長

経営の根幹

【人材育成】

私が社長に就任したとき、当社は19年連続で減収を記録していました。いまの戦力は、この苦しい時期をともにした社員たちです。だからこそ、当社復活のために大切なのは社員の「底力の向上」だと考えました。

そこで中堅社員の経営意識を育てるため、彼らが役員会同様の議論をする「ジュニアボード」を開催するなど、人材育成のためにできることはなんでもやりました。なかでも、新規事業育成プログラム「G-1グランプリ」の成功が大きかったと思います。

グループメリットが活かせる新規事業であれば新入社員でも誰でも提案できる制度で、発想の芽を摘まないよう、A4の紙1枚のアイデアレベルでも応募できることとしました。するとこのなかから2社が起業し、小学校に配布する“親子のための運動・遊び情報誌”「ソトイコ!」や、幼児保育、学童保育を行う「クランテテ」等の新事業が生まれたのです。

今感じるのは、企業はいつまでも創業の精神を持って挑戦しなければいけない、ということです。

【意気揚々】

7期連続での増収を記録できたのは、社員が自信をつけたからです。組織活性化のための施策が社員へのメッセージとなり、出版部門でも、DVDがついた「樫木式・カーヴィーダンスで即やせる!」シリーズや、骨盤枕を付録に付けた「寝るだけ!骨盤枕ダイエット」などの大ヒットが生まれました。企業という器を使い、人間を育てていく。それが経営の根幹なのです。

 

【見極める】

大学時代4年間、野中郁次郎先生(近代経営学の生みの親とも言われる)に教わり、入社後もビジネス書をむさぼり読んできました。意識しているのは、企業の施策を戦略・戦術・戦闘の3つにわけて考えること。

「戦略」はおもに外部環境のトレンドを知り、例えば「少子化の進行に伴い海外へ進出する」と決めることを指します。次の「戦術」は、先の例で言えば「この国にはリソースを投入し、ここは減らす」と決めることで、最後の「戦闘」は、誰を赴任させ、現地にどんなコンペティターがあり、どんな商品をつくるか考えることを指します。

トップは最も効果的な戦略を立案し、戦術・戦闘を行う部下たちに「あとは責任をとるから実行せよ」と指示を出すことが重要です。ここで大切なのは、自社の戦力を過大評価も過小評価もしないこと。戦力が戦略に見合っているか見極めることもトップの役割です。

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