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【基礎からわかる】3.6兆円「異次元」少子化対策を噛み砕く
NewsPicks編集部
平澤 歩東京大学 中国思想文化学研究室助教
「負担ゼロ」という言い方は詭弁ですが、そもそも財源は無限ではないので、何かをしようとした時に、別の何かを削ることは必要で、そのために不利益を被る場合がある。ということ自体は正論です。 社会保障費と税金の仕切りを踏み越えることも、すでにこれまでの消費増税の際に「社会保障と税の一体改革」と称して行われています(ただし増税分が全て社会保障費に回ったのかというとそうではないので、増税のための広告文句に過ぎないかもしれませんが)。 ただし、子育て支援のために社会保障を手薄くするというのは、どうなのでしょうか。財務省は上記「社会保障と税の一体改革」について、「国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合い、社会保障の安定した財源を確保する観点から、消費税を社会保障の財源としてい」ると説明しています(https://www.mof.go.jp/zaisei/social-security-and-finance/social-security-and-finance-03.html)。 子育て支援の直接的受益者は限られるので、この説明と矛盾しないでしょうか? 社会保障のそもそもの始まりは帝政ドイツ、ビスマルク期のことでした。貧困層の市民革命によって社会がひっくり返ると富裕層が一番困る、ということで、貧困層を追い詰めないための施策として始められました。つまり富裕層が財源を多く負担するものの、それは富裕層の安全のためでもあったのです。 日本人は概しておとなしく、市民革命を起こしたこともないですし、困窮した人たちは静かに困り果てているだけなので、社会保障を削っても良い、自己負担を大きくした方が富裕層は助かる、ということなのでしょうか。 そしてそもそも、子育て支援は少子化対策として有効なのか、というとかなり疑問です。これで出生率が上がるという実例を挙げることができません。ただのバラマキと言われても仕方ないように思われます。
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