ビジネス視点でみた中南米の風景
前のトピックス（上）編ではブラジルの自動車産業概観について紹介しましたが、本編ではブラジルにおけるアルコール車、フレックス燃料車の歴史を前段で紹介します。後段では、最近打ち出された自動車政策が、メーカー各社の戦略およびブラジル国産自動車の国際競争力にどう影響するのかに触れます。
自動車産業とアルコールの長い付き合い
　私が初めてブラジルに足を踏み入れた1990年代、街中は何か独特の臭気がしました。のちにこれはアルコールで走る車があるからだと聞かされました。ブラジルの自動車政策はあまり他国で例をみない形で展開してきました。1970年代前半に起きた石油ショックへの対応策として、ブラジルではアルコール振興策が展開されました（当時のブラジルは産油国ではありませんでした）。広大なサトウキビ畑からもたらされるのは砂糖だけでなく、エタノールも生産することができたからです。同振興策に基づき、自動車産業においてエタノールを燃料とする車が開発され、1979年に販売されるや燃料コストの削減につながるとのことで1986年にはその生産シェアは9割に達します。

ブラジルの自動車産業が変わる！（中）

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