プライバシー強化技術は、データ活用への不安を払拭できるか
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データの質をリッチにする秘密計算、データの量をリッチにする連合学習、どちらも組織を跨ぐデータの利活用で有用と考えられています。特に、連合学習は、各社が同じような業務を行っている業界で、個別にコストをかけてAI運用するよりも、業界でモデルを共有する方が、全体コストの最適化を行えるというところに当てはまりの良いアーキテクチャです。たとえば、複数銀行がコンソーシアムを組みモデル共有のもと、不正送金の検知PoCが行われています。国内では大規模な実装が近づいていると言えます。
ほかにも、ゼロ知識証明のような技術も注目されています。暗号化技術の導入が進むと、個人情報の直接のやり取りがなくなるため、プライバシーはより強固に守られることになりますが、BtoCをはじめデータが取得しにくくなるという状況が起こることが考えられます。後発の産業はモデル構築のためにコストが高くなるということも予測されます。
注目のコメント
データ利活用については、10年前のピーク/ブームから、萎縮/失望を経て、いま面白いタイミングになっています。
スタートアップやM&Aという具体的な案件で、バリュエーションの大きな部分をデータが占めているものもあります。
PETsといった新しい技術も取り入れつつ、価値を具体化する企業や事業にチャンスがありそうです。データの利活用が進めば、さまざまなサービスが個人に最適化されて便利になっていく。そんなふうに楽観的に捉えられていたのは、10年前くらいがピークだったのかもしれません。
SNSやAIや電子決済が普及したこの10年で、個人データの取扱いには渡すほうも預かるほうも慎重になりました。この先どうすれば、プライバシーを保ちながらデータを役立てていけるのか。その手段のひとつが、今回取り上げた「PETs(プライバシー強化技術)」です。
技術的な説明はできるだけ簡略化して例示しましたが、まだまだいろんな活用のアプローチがあり、監査法人トーマツの早竹さんや岸さんはその研究や実装に取り組んでいます。話を聞くと「いいこと尽くめでは?」と思いましたが、NewStories太田直樹さんいわく「技術があるだけでは足りない」。どんなデータをどう使えば、自分たちの事業やサービスをよりよくできるのか。今一度考えてみたくなる鼎談でした。PETsと言われる個人情報の取り扱い方は10年以上前からGAFAでやられていることですが、日本企業ではまだ普及率が低いようです。いろいろな技術がでていますが、安心安全に利用できてこその持続的なデータ活用だと思います。10年前から一回転して、今データ利活用が面白いというのは実体験として共感します。