コロナ英変異株、致死率は従来株の1.6倍 論文
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注目のコメント
本論文は、10万人を超えるデータから解析したもので、年齢や性別、人種などをマッチさせたペアで比較検討されており、比較的信頼性の高いデータを示していると思います。以下に要点をまとめます。
これまでの知見
・この変異ウイルスは2020年の秋に英国で初めて同定され、感染伝播しやすいことが知られていた。
・この変異ウイルスの流行後、英国で入院するケースが増加し、死亡率の増加の可能性が示唆されていた。
・ただし、これまで変異ウイルスが死亡率に影響を与えるかについてバイアスを取り除いた方法では評価されてこなかった。
本研究の与えた知見
・この変異ウイルスに感染した人の致命率はオリジナルのウイルスの感染者と比較して、64%(32-104%)高い。
・ただし、本研究で対象となった人の大半は60歳未満であり、そもそもの死亡の絶対リスクが低い層への影響を示している。
・変異ウイルスが流行した地域では、追加の対策が必要であることを示唆している。
残された課題
・このウイルスが高齢者など別の年齢層でも同様の影響を与えているのか、後遺症の発症率などにも影響を与えるかについてはさらなる研究が必要である。
いずれにせよ、この変異ウイルスに対しては、ワクチンが有効なことも分かっており、ワクチンの普及こそが最も有効な対策の一つとなるでしょう。
引用文献:
https://www.bmj.com/content/372/bmj.n579感染力とともに致死率が高いとの評価から、緊急事態宣言からの出口戦略は慎重に考えざるを得ないと思います。まずはワクチンの普及ではないでしょうか。
変異株が脅威になりうるかどうかは、①ヒトからヒトへの感染のしやすさ、②感染した場合の致死率の高さ という2つの軸で判断します。イギリスの変異株は従来のコロナウイルスよりも感染しやすいことが報告されていましたが、致死率も高くなりうることが今回報告されました。
様々なバイアスが拭いきれていないデータではありますが、先行研究を鑑みても確からしい結果、という印象です。人種間で差がある可能性もあり、日本人に必ずしも当てはまるかどうかははっきりしていませんが、医療従事者への警鐘をならす報告といえます