「全員に金を配る」。壮大な社会実験が始まった
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今日9日、フィンランドで初のベーシックインカム実験の、収入が対象者に振り込まれます。いよいよ壮大な実験が始まります。
現地取材では、知り合ったスペインの記者が「BIは、スペインだったら、みんな働かなくなって機能しないけど、フィンランドならできそうな気がする」とマジメな顔で語っていました。
そういった地域さも含めて、次世代の社会保障であり、新たな社会の仕組みであるBIが今後どういう展開をたどるのか。米国、欧州のキーマンや提唱者、学者らに取材を重ねた特集です。もしよろしければ御覧ください。フィンランドで昨年行われたSlush。記事にあるBIのセッションに私も参加していました。Slushはどのセッションも多くの聴講者がいるのですが、このBIのセッションはその他のセッションとはその数も熱気も圧倒するものでした。人々の強い関心の証左ですね。国のOSを変えるという話もあり、大変興味深く聞きました。
また教育領域では、他のセッションですが「試験は必要なのか?」という議論や合科についての話、昨年初めて一部導入を開始したテクノロジーを用いた試験の話などが出ていて、今後も注目していきたいと思っています。財源の話はさておき、もしも日本に、たとえば月5万円程度のベーシックインカムが導入された場合。
私は二極化してしまうのではないかと思います。
ベーシックインカムは貯蓄や投資にあて、保障の減った老後のためにしっかり稼ぐ人間と、月5万円で切り詰めて暮らしていく人間と。
5万円は家賃の高い都会では無理ですが、田舎で切り詰めればギリギリ生きていけそうな金額です。
若く健康なうちはたとえお金がなくても楽しく豊かに暮らせると思います。
問題なのは様々な体の不調が出てくる高齢者になってから。
切り詰めた生活のツケは、いずれ病となって現れるかも知れません。
ギリギリの暮らしの中から、生活習慣病などの医療費を払うのは大変です。
いままでこうした高齢者の高額医療を支えてくれていたのが様々な医療費扶助や生活保護(生活保護世帯の医療費は原則無償となります)。
生活保護は勿論廃止されている、高齢者のための各種医療費扶助も財源不足から廃止もしくは縮小されている可能性が高い。
「ベーシックインカムで質素な暮らし」は病気になったとたんに詰むのです。
スイスでも、社会保障には事細かなサービスや支援が不可欠なため、ベーシック・インカムでは既存の社会保障制度に取って代わることはできないと言われていました。
生活保護では救えない貧困層の「防貧」になると言われているベーシック・インカム。
しかし今まで生活保護や障害年金で救っていた働けない人達、病を抱えた人達を皆一律の保障でどうやって救えばいいのかが問題になってくると思います。