昨晩のNASA重大発表の解説:1284個の系外惑星が一度に「発見」される!
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注目のコメント
昨晩のNASAの重大発表の解説です。地球外生命絡みか、と期待値を上げてしまったので若干の肩透かしでしたが、大発見には変わりありません!
系外惑星はわかってみれば当たり前だけど星の数ほど存在する。次のステップは生命の証拠と言える大量の酸素が存在する惑星の直接観測となる。TMTなど大型の望遠鏡がその役割を担うことになるだろう http://horiemon.com/talk/39816/
よく書けている分かりやすい解説記事だと思います。ただ、天文学・宇宙物理学的に見ると、発見というのは言い過ぎでしょうね。ApJという天文学宇宙物理学業界の一流ジャーナルに今回の研究結果が掲載される予定のようですが(#1)、そこでも発見したとは書かれておりません。
正確には、これまでケプラー望遠鏡で見つかった系外惑星候補天体のうち真の惑星だと判定する方法を(新たに)開発し、その判定法に基づいて99%以上の確率で系外惑星候補から候補を外せる惑星を1284個確認した、でしょうね。また、研究に使用されたソースコードの公開もさして珍しいことではありません。小野さんのポジティブな勢いは買いますが、非専門家の読者やピッカーの方たちにとってはミスリーディングになるかもしれないと思ったのでコメントさせていだきました。
今回のNASAのニュースは我々の業界のところにも届いていましたが、そもそもケプラー望遠鏡は系外惑星大気の化学組成すら検出する解像度を持っていないので、エイリアンや生命の痕跡の発見というのはありえない話という共通認識があります。
それに、この研究の著者達には競合グループがいて、ケプラー望遠鏡で発見された系外惑星候補天体の内の半数以上が真の惑星ではない(偽陽性)だろうという研究論文を出していて議論になっていました(#2)。NASAが今回のニュースを出したのにはそういったことが背景にあると思います。
ただ、約1300個が3σで系外惑星だと確認された、というのは確かにニュースとしての価値がありますね。ケプラーは視野の狭い望遠鏡なので、もっと広視野の望遠鏡が出て来れば、系外惑星の発見数は爆増するでしょう。
堀江さんがコメントしているように、TMTやGMTなどの次世代地上望遠鏡やJWSTなどの次世代宇宙望遠鏡では、系外惑星大気の化学組成を検出できるほどスペックが高いと期待されています。小野さんの記事にもあるように、我々の住む天の川銀河にも約2千億個の恒星があり、宇宙にはたくさんの銀河があるので、エイリアンに出会える時代がそう遠くない未来にやってくるかもしれませんね。
【参考文献】
(#1)
http://www.astro.princeton.edu/~tdm/koi-fpp/ms.pdf
(#2)
http://arxiv.org/abs/1301.0842