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【竹内純子】料金高に悲鳴、電力自由化の「設計ミス」を問う
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
自由化は、制度改正を続けていくものであり、問題があれば柔軟かつ迅速にそれに対処していけばよいわけです。ただ、日本は既存制度の問題点に柔軟かつ迅速に対処することが苦手なことに加えて、エネルギーインフラ事業は投資回収が非常に長期なので頻繁に制度が変われば事業参入しづらくなったり、資金調達コストの上昇という弊害が出たりということも懸念されるので、そこは難しいところ。
これまでの制度は、安定供給確保に向け、あらゆる面でバッファーが薄いことへの配慮が不十分だったと思います。また、そもそも日本の電力価格のコスト構造を見れば発電および燃料調達については事業者の集約が必要だったのではないでしょうか。
バッファーの薄さは欧州と比較するとわかりやすいのですが、欧州は隣国と電線もガスパイプラインも接続していますし、天然ガスは古い油田や岩塩層などの巨大な地下貯蔵施設に数か月分貯められます。日本は液化天然ガスで輸入するので2週間分がタンクにあるだけです。国土の形状も北海道、本州の東と西、四国、九州と小さな島の集合体なので、送電線の増強も進められていますがあちこちにボトルネックがある。
そしてそもそも日本で電気代を下げようと思えば、燃料調達の交渉力をあげるのが極めて重要なのですから、小さな発電事業者にちまちま競争させて本当に電気代が下がると思っていたのか?と思います。
新著『電力崩壊』にも書きましたが、わが国の電力システムはどうあるべきかという議論より、福島原発事故を起こした電力会社への懲罰的なかたちで(事故を起こしたのは東電のみです)改革を進めたのであれば、国民にとって「良い制度改正」になっていないのはむしろ当然でしょう。自由化の議論を政治的なところからスタートさせたことは反省されるべきだろうと思います。
コメントありがとうございます。蓄電に期待する声が多いのでちょとだけ補足。確かに蓄電池の導入も期待されていますし、日本は世界で一番家庭用蓄電池が売れている国です。さらに定置用蓄電池ではなく、EVのバッテリーも活用させてもらえれば費用対効果が高まります。ただ、こうした分散型資源をつないでコントロールすることに課題があるのです。その公益的意義を果たそうと、会社設立しました!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000049175.html
関西電力と送配電会社に立ち入り検査、電力監視委員会 情報漏洩問題
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
既存電力会社の皆さんにはこの一連の不祥事は猛省して頂きたいし、特に関西電力さんは、電力業界の次男坊で、長男坊たる東電がコケた後に、業界のけん引役にならねばならないところ、この状態なのは本当に頂けないです。まずへ、襟をただして頂ければと切に願います。
とはいえ、東電が起こした事故のせいで、世間からは叩かれ続け、分社化されて人も減る、事業の予見性も低下してしまう、という状況であり、精神論の「ちゃんとしろ」を繰り返しているほうもどうかとは思うのですが。
こうした不祥事と、自由化の制度設計の見直しは分けて考えるべきで、一部に「だから所有権分離だ!」という声が出てますが、もっと本質的な議論をすべきだと思います。

【ゼロ解説】「なぜ値上げ?」がすぐ分かる、電気料金の超基本
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
タイミングも良いですし、内容もわかりやすい良記事ですね。電力各社の値上げ申請の報道を見て、反発を持つ方も多いでしょう。特に今、電力各社の不祥事も多いので、なおさらです。この点は本当に電力各社さんにはしっかりしていただきたいと思います。(公益事業の担い手でありながら、10年以上「悪者」扱いなので、組織のモチベーションが低下するのはある程度仕方がないとも思いますし、公益事業の担い手をサンドバッグにするような風潮は変えたいと思いますが、だからと言って今の数々の不祥事の言い訳にはならない)
ただ、欧州各国で電気料金が昨年後半から何倍、十何倍という激しい価格上昇をしていたなかで、ここまで日本の電気代がそれほどには上がらなかったのは、電力会社が燃料の長期契約を多く確保していたことと(その燃料長期契約に対しては、2015年以降の原油価格下落局面では「殿様の買い物」と批判・揶揄されていたわけですが)、さらに、燃料高騰分の上昇を転嫁する限界を置くことで「売れば売るほど赤字」という商売の基本に悖ることを強いていたからでしかありません。
社会の基盤たるインフラを「売れば売るほど赤字」などという不健全な状態におけば、我々の社会自体が不健全で不安定な状態になるわけです。このことは理解すべきでしょう。
電力価格の上昇は国民生活・経済に多大な影響を与えるので、原子力政策も、再エネ政策も、電力自由化政策も慎重さを要するのですが、福島原子力事故直後の民主党政権でのエネルギー政策は、そうしたリスク管理の観点を欠いていたと言わざるを得ませんし、自民党政権になっても大きく見直されてきませんでした。ただ、国民の側も自由化には光だけでなく影の部分があること、原子力は使うリスクもあるが、使わないリスクもあること、再エネにはメリットもあるが限界もあることなど、知る努力が必要なのだろうと思います。
そうしたニーズに応える記事だと思います。
全然編集部ではないのに口出しをして恐縮ですが、平澤さんの「アクアエナジーは値上げか?」にお応えすると、今回の値上げ申請からは除かれると認識しています。水力発電だと燃料不要なので。ただ、水力による発電量には限界ありますので、どこまでも売れるわけではないです(電力全体そうですが)
東電、3割値上げを申請 燃料高で6月から、2611円増
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
電気料金の上昇は国民生活・経済に多大な影響を与えるので、極めて慎重にあるべきですし、値上げ申請に反発する声が上がるのは当然です。説明を尽くす必要がありますが、消費者側も基礎的な状況は理解する必要があります。
同社が示した原価構造を見れば、燃料費や購入電力料といった「電源調達費用」が8割を占めています。電力用LNGは2年前の2倍強、石炭は5倍程度に上昇。
2016年にわが国は電力小売りの全面自由化をしましたので、皆さんがどこから電気を買うのも自由、逆に電力会社も値段設定の自由や顧客を選ぶ自由があるはずです(地域独占は過去の制度)が、大手電力会社には引き続き、規制料金で電気を供給する義務が残されています。
自由化した当初は、もともと大手電力事業者が独占していた市場を開放したわけなので、新規参入企業が競争相手として一定のプレゼンスを持つまではの間、大手事業者による「規制なき独占」になってしまうことが懸念されました。それを防ぐために、大手事業者には自由化してからある程度の期間、政府が認可した規制料金のメニューも用意することが義務付けられました。こうした「経過措置」は、2020年には終わるはずでした。今電力会社が規制料金での供給義務を負っていることは、実は制度として歪んでいるのです。
東京電力がこれまで利益出してる、という声もあるのですが、福島第一原発事故の賠償金を返済するため(今は政府から無利子で借金)、利益が出る状態にせねばなりません。
東電をつぶすべきだったという意見はごもっともで私もつぶせばよかったのにとは思いますが、「死に体となっても賠償金を払う組織として残り続けろ」と、民主党政権はつぶれることを認めなかったわけです。
日本の首都圏の電力供給を担い、GXを進めるべき組織が非常に不健全な状況にあることは憂慮すべきことです。
なお、これでも値上げ幅を抑制するために、柏崎刈羽原発の再稼働を織り込んでいます。再稼働しなければ(可能性大)、この値上げ幅の前提が崩れてしまうということです。
化石燃料市場はコントロールできないので、日本が電気料金を抑制するには、再エネ・原子力といった燃料(ほぼ)不要の電源を活用するしかありません。再エネの導入は進んでいますが、現状まだ多額の賦課金(=補助)を必要とします。原子力を活用しなければ、化石燃料価格に振り回される状況は続きます。
「GX推進法案」の概要判明 炭素課金の制度設計、施行後2年以内に
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
この会議に委員として参加していたので少し解説を。
やはり「増税」「賦課金」に反発が強いですね。それも当然でしょう。資源価格の高騰で政府はいま、ガソリン補助金に続き、電気・ガス代の補助という、ネガティブな(マイナスの)炭素価格を付与しています。これと180度逆のことをしようとしているのですから、「なんのこっちゃ」となるのも当然です。
ただ、CO2削減を費用対効果良く進めるのであれば、カーボンプライシング(炭素への価格付け。以下、CPと略します)が有効というのは、議論の余地がほぼ無く、数十年前から環境NGOはもちろん、経済学者の多くが導入を主張してきました。その主張に沿って導入したい環境省と、日本の国際競争力をそぐことを懸念する経産省の構図は長年のもの。
ここにきて議論が本格化したのは、複数の国や地域においてCPの導入が進んでいること、そして、欧州が炭素国境調整メカニズムの導入検討を進めていることによる影響が大きいと言えます。(欧州は2030年のGHG削減目標を1990年比40%以上削減から55%以上削減に引き上げ、それに伴って、国際競争にさらされる産業に与えていた無償の排出枠を段階的にすべて有償にすることを決定。域外との競争の公平性の観点から、同程度のCP負担をしていない地域からの輸入品に炭素関税をかける=国境調整導入を決定。ただ、中国やインドからはWTOルール違反に加えて、パリ協定違反も指摘されるなど激しく批判されており、実際の導入は相当のハードル有)。
日本は炭素税や排出量取引といった明示的CPの導入は避けてきたのですが、一方で、多額のエネルギー諸税や再エネ発電賦課金などの実質的な(暗示的)CPは導入しています。主な自動車用燃料税と再エネ発電賦課金を足すと6~7兆円にもなります。CPが費用対効果の良いCO2削減に寄与するためには、まず、既存の制度のスクラップ&ビルドが必要というのは私も委員会で発言したところですが、既存制度のスクラップ、特に税制となるともはやそれは無理筋。ということで、私が第5回委員会で提案したのは、CPの課税にあたり、自動車用燃料税と再エネ賦課金を考慮して調整するという案(差っ引くとマイナスになってしまう規模なので「調整」)。
なおCP導入は当面先にして、それまでに省エネ投資をして自衛しましょうということになっています。
供給網から人権侵害排除へ、ウイグル問題念頭に日米が新組織…日本企業に規制浸透狙い
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
ウイグル問題では、多岐にわたる分野に影響があると思われますが、エネルギーもその一つです。
日本はいま、2030年には再生可能エネルギーを今のほぼ倍近く(電源構成の36-38%)にするとしています。2030年まであと7年程度ですから、そのほとんどは太陽光発電になります(風力や地熱は、開発に時間がかかるので2030年に稼働開始できる件数はかなり少ない)。しかしその太陽光発電はウイグル問題と深い関係があります。
実は結晶系の太陽電池の製造には「ポリシリコン」という物質が必要なのですが、その世界供給量の3割から約半分は新疆ウイグルから供給されています。
「SDGsと再エネ政策がぶつかったら?」というnoteにまとめていますので、ご関心あればお読みください。
https://comemo.nikkei.com/n/n7eb7f7833b38
これを書いたときに、「じゃあ、SDGsと原子力政策がぶつかったら?」と揶揄してきた人がいたなぁ・・。
どこにでもぶつかりがあるのは当たり前。再エネだけにはこうした「ぶつかり」が無いというか、再エネだけが唯一解のように語られることに警鐘を鳴らしたのに、結局その方には届かなかったんだなと思った瞬間でした。
ESG投資に取り組んでおられましたが、SDGsバッジつけた、バッジおじさんだったんだな。言ってることが浅かったもん。
過剰な自己否定の弊害ー「日本は環境後進国」の思い込みが強すぎる。
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
年初だからあえて言いたい、ということを書きました。
エネルギー・環境分野に関心を持ち、解決に取り組む若者を徹底して応援したいと思っているのですが、彼らの中に過度な「自己否定」があることが多いのです。別に、自己弁護したいわけでも、お国自慢したいわけでもありませんが、過剰な自己否定が、「強みを活かして世界に貢献する」という思考回路を邪魔している気がしてなりません。
池田さんの記事で、自動車政策でも同じことになっているんだなと改めて思いました。
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2301/01/news013.html
日本の最大の課題は、日本という狭いコミュニティの中で、互いをけなし合っているところかも。ダメなところは批判するけど、できているところはほめるようにするだけでも、結構パフォーマンスが変わると思うんですよね。
トヨタは日本を諦めつつある 豊田章男社長のメッセージ
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
池田さん渾身の記事。一読の価値ありです。
ちょうど同じ問題意識で、noteを書いていたところだったので、自動車政策とエネルギー政策の共通項を感じ、池田さんの記事を引用させていただきました。
私のnoteの冒頭部分を引用します。(全文はこちら)
https://comemo.nikkei.com/n/nb6acfcc9f8f3
>
エネルギー・環境問題に関心が高い学生さんと話していて、常々感じるのですが、「日本は環境後進国」という思い込みがあまりに強い。
でもそれも仕方のないことでしょう。メディアの報道や環境NGOの方たちが仰っていることを見ればそう思うのも当然です。
エネルギー問題に関する番組の構成台本をいただくと、だいたいこんな言葉が躍ります。直近出たインターネット番組の構成台本から引っ張ってみましょう。
>COP27では「化石賞受賞」
>世界に遅れる日本の脱炭素
>福島原発事故から 11 年…進まない日本のエネルギー構造改革
それぞれの記述に対する疑問は後述しますが、まず前提として、私は「日本の取り組みは十分だ」と言いたいわけでも、「お国自慢」をしたいわけでもありません。日本の弱みと強みを明らかにして、どうすれば気候変動問題という世界的な課題に日本として貢献するかを考えたいと思っていますが、強みがあることにも気がついていない、気がつけない方たちがとても多いのです。過度な自己肯定も自己否定も、共に前向きな議論の邪魔であり、まずは正確な現状認識をして、議論の前提をフラットにしたいと考えています。
記事中に引用されている日本自動車工業会さんの資料では、日本は他国に突出してこの20年間自動車からのCO2排出を実質的に減らしてきたことが示されていますし、エネルギー経済研究所の試算(noteにリンク張っています)では、自動車生産額あたりのCO2排出量が、日本は他国に比べて相当低いことも示されています。
こうした強みを活かして世界に貢献できることは多々あるのに、日本はダメ、後進国、といった批判が若者の耳に届いている現状はとても悲しい。斎藤陽さんが「世界各国の政府の自動車政策で、日本ほど芯のない国は他にない。」とコメントしておられますが、エネルギー政策も同様です。どうなっとんねん、この国は。
若者が強みを誇りに思い、それをさらに高めようと思ってくれますように。
EUの排出量取引の改革—鉄鋼等も全量有償化に 炭素国境調整を導入へ—
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
欧州は排出量取引の改革を決めました。上野さんが書いておられるように、鉄鋼、セメントなども、2026年以降、無償枠を段階的に減らして、2034年からは全量有償とすることが決まりました。カーボンプライスを負った欧州産業界と、他国・地域の産業とのイコールフッティングの確保のために国境調整措置をという話になるわけですが、輸出品に対する還付は見送りとのこと。
これは、カーボンプライスが炭素税としてかけられていたなら話が変わったのでしょうが、排出量取引という形態で課せられた負担を国が還付するとなると、WTO違反になる可能性が高いということが理由だと考えられます。
私がGX実行会議の第3回で、カーボンプライスについて議論した際に、排出量取引でやると輸出還付はWTO違反になる可能性が高いと意見を表明したことと同一の理由です(資料下記)。
短い論考ですが、エッセンス詰まっていますので、ご一読を。
なお、GX実行会議第3回への竹内提出資料は下記です。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gx_jikkou_kaigi/dai3/siryou4.pdf
話は変わりますが、GX実行会議って、日程も直前まで確定せず、事前レクを受けるのが会議の前日もしくは前々日だったりするわけで。資料提出を希望する場合は、そこから半日もしくは1日以内に事務局に送らないといけないという鬼っぷり。他の委員の皆さんは、企業あるいは団体のトップでいらっしゃるので、スタッフが資料もコメント案もスタッフが作成してくれるわけですが、これを個人でやって間に合わせるのは本当にきつかった・・・。すべての回に資料を提出して、一定程度議論に貢献したのは、誰かに褒められても良いはずだ(笑)。
GX実行会議で何が議論されたのか①
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
7月末に設立され、このレベルの会議にしてはかなりインテンシブに開催されたGX実行会議。しかも、この会議での議論を受けて&この会議に向けて各省の有識者会議が回されたものだから、役所の皆さんのこの半年の疲労っぷりたるや、もう傍目にも気の毒というくらいでした。
それでも、「このGXが日本再生のカギです」と言って黙々と取り組まれると、実行会議開催日時決定が前日の夜(!)というすごい事態にも文句を言う気にもなれませんでした(なるけど(笑))。
メディアでは原子力政策ばかりが注目を集めますが、かなり広範かつ活発な議論がされました。ただ、具体的な法制化はこれからということもあり、全体像が伝わりづらいなと感じています。
これから数回になると思いますが、少しずつGX会議での議論を書いていきたいと思います。
ただ、この記事でまず指摘しなければならないのは、下記でしょう。この論のおかしさは気がついてほしい。
>基本方針では「再生エネを最大限活用」と明記した。ただ橘川武郎国際大学副学長は16日の経済産業省の有識者会議で「電力が足りないという危機になれば、主力電源の再生エネをどうするかとの話から入るのが普通だが、その話はわずかだった」と疑問を呈した。
これは記者さんではなく、橘川さんに申し上げるべきことでしょうが(NHK日曜討論でも同じことを仰ったので、指摘しようと思ったのですが機会が無かった)、「電力が足りないという危機」は現状、「太陽光が発電しないとき」に起きています。冬の曇天や降雪、夏の夕方です。こうしたタイミングで起きている電力危機に対して、「太陽光をもっと増やせ」という話をしても解決の手段になりません。橘川さんおよびこの記事は再エネという表現をしているので、太陽光だけでなく、風力や地熱なども含んだ発言ではありますが、大規模な風力や地熱が稼働開始できるのは環境アセスなども含めて8年はかかります。当面の電力供給ひっ迫の役には立ちません。
これくらいのことは再エネのことをずっと書いておられる記者さんなら当然気がつくべきことです。
原発「最大限活用」へ転換、GX会議で政府方針決定
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
再掲)このGX実行会議に出席してきました。まず、原子力ばかりが注目を集めるのですが、日本のエネルギーの安定供給およびカーボンニュートラルに向けて、省エネ推進、再エネ導入の加速に向けた系統整備や「健全な」再エネ導入に向けた施策、水素等など総力戦のうちの一つとして、原子力の活用も打ち出されたものです。もう一つの柱である、カーボンプライシングはもっと注目されるべきものですが、猶予期間を設けてその間に自主的な取り組みを促す、イコール、導入がちょっと先ということであまり報道されないのかもしれません。ただ、長年議論されてきたカーボンプライシングの導入という大きな転換です。
原子力の活用については様々な意見はあるでしょうが(官邸前でも「原発やめろ」「GX会議やめろ」とシュプレヒコールを上げている方はいました)、①現状の供給力不足(再エネは増えたが、火力発電所の休廃止と原子力の長期停止で、発電所が足りない)、②化石燃料価格の高騰が当面続く可能性(原発1基動くと年間で天然ガスの輸入量100万トン削減できる。なお、天然ガスの供給タイトは2030年頃まで続くという予想も)、③CO2削減、という複数の点から見て少なくとも既存の原発を活用するべきというのは委員の間でもほぼ異論なく、これを進めなければ日本の「失われた30年」が40年になるという危機感が強かったと認識しています。
建替えは、再稼働より反対が強いと思いますが、脱化石燃料を進めるには、再エネだけでは無理であり、電力自由化以降原発の新設が停滞した西側諸国(NPでは繰り返し書いてきましたが、電力自由化すると、早く建てて早く投資回収できる火力等に投資が向いて、長い時間がかかる原子力には投資が向きづらいし、投資回収が不確実になるので、資金調達コストがあがりプロジェクトが成立しない)でも、新しい原子力技術の開発・実装に向けて動いている中で、日本がここで踏み出さなくて良いのかというところが問われるのだと思います。そのために、廃棄物処分場の文献調査を加速することや、福島復興などの取り組みも説明されました。
再エネの加速ですが、この10年の日本の再エネの増え方は、世界に例を見ないスピードでしたし、再エネ導入量は世界第6位、太陽光発電は3位です。
再エネだけでも、原子力だけでもない、経済成長戦略として軌道修正しながら実行していくことが必要ですね。
新規建設や運転延長、原発を最大限活用 事故後の方針を政府が大転換
竹内 純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員
このGX実行会議に出席してきました。まず、原子力ばかりが注目を集めるのですが、日本のエネルギーの安定供給およびカーボンニュートラルに向けて、省エネ推進、再エネ導入の加速に向けた系統整備や「健全な」再エネ導入に向けた施策、水素等など総力戦のうちの一つとして、原子力の活用も打ち出されたものです。もう一つの柱である、カーボンプライシングはもっと注目されるべきものですが、猶予期間を設けてその間に自主的な取り組みを促す、イコール、導入がちょっと先ということであまり報道されないのかもしれません。ただ、長年議論されてきたカーボンプライシングの導入という大きな転換です。
原子力の活用については様々な意見はあるでしょうが(官邸前でも「原発やめろ」「GX会議やめろ」とシュプレヒコールを上げている方はいました)、①現状の供給力不足(再エネは増えたが、火力発電所の休廃止と原子力の長期停止で、発電所が足りない)、②化石燃料価格の高騰が当面続く可能性(原発1基動くと年間で天然ガスの輸入量100万トン削減できる。なお、天然ガスの供給タイトは2030年頃まで続くという予想も)、③CO2削減、という複数の点から見て少なくとも既存の原発を活用するべきというのは委員の間でもほぼ異論なく、これを進めなければ日本の「失われた30年」が40年になるという危機感が強かったと認識しています。
建替えは、再稼働より反対が強いと思いますが、脱化石燃料を進めるには、再エネだけでは無理であり、電力自由化以降原発の新設が停滞した西側諸国(NPでは繰り返し書いてきましたが、電力自由化すると、早く建てて早く投資回収できる火力等に投資が向いて、長い時間がかかる原子力には投資が向きづらいし、投資回収が不確実になるので、資金調達コストがあがりプロジェクトが成立しない)でも、新しい原子力技術の開発・実装に向けて動いている中で、日本がここで踏み出さなくて良いのかというところが問われるのだと思います。そのために、廃棄物処分場の文献調査を加速することや、福島復興などの取り組みも説明されました。
再エネの加速ですが、この10年の日本の再エネの増え方は、世界に例を見ないスピードでしたし、再エネ導入量は世界第6位、太陽光発電は3位です。
再エネだけでも、原子力だけでもない、経済成長戦略として軌道修正繰り返しながら実行していくのが重要ですね。

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