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米、イスラエルにガザ南部攻撃で慎重な対応を要請=当局者
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
ハマスによる人質解放とイスラエルが拘束するパレスチナ人の釈放は、もうしばらく続き、ハマス、イスラエル双方時間を稼いでいます。ハマスはこのまま戦闘休止状態を長引かせるべく残りの人質カードを使ってさらなる交渉に引き込もうとするでしょう。
イスラエルにとって、ガザ地上侵攻作戦はこれからが大変で、作戦は南部に移行していきます。ハマス軍事部門の幹部の多くが南部に隠れているとされておりますので、ここでやめる選択肢はないでしょう。ただ、南部への攻撃に際しては、米国も「民間人被害を最小限に抑えるように」つまり、北部でやったのと同じような作戦はしないようにとイスラエルに圧力を与えているようです。
イスラエルは、この一時戦闘休止の時間を最大限に使ってガザ南部侵攻作戦の準備を進めているものと思われますが、米国の圧力がどこまでイスラエルの作戦に影響を与えられるのか、注目したいと思います。
ハマス 戦闘休止の延長求める考え イスラエル側の対応が焦点
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
ハマスとすれば、このままずるずると人質解放交渉を続けて戦闘停止状態を長引かせたいでしょう。イスラエルは人質救出も目標の一つですし、休戦を求める米国はじめ国際的な圧力は強まる一方ですので、ある程度交渉を続けるものと考えられます。具体的にはさらに4~5日延長して、ハマスは最大人質100人、イスラエルは収監しているパレスチナ人を300人くらいまでは釈放する可能性があります。
しかし、その後の交渉は、これまでは女性や子どもが対象だったのに対して、ハマスが拘束しているイスラエル兵士などが対象になってきますので、当然イスラエルが拘束しているハマス戦闘員の釈放が交換条件になるでしょうから、イスラエル側は簡単には応じることができないでしょう。
一方でイスラエルは「ハマス殲滅」の目標も掲げております。ハマスはイスラエルによる攻撃を止めたいわけですが、イスラエルはハマスを攻撃し続けることでハマスに圧力を与えて人質を解放させ、最終的にはハマスの指導層を殺害してその軍事インフラを破壊したいと思っているはずです。
ハマスは、米国人の人質をまだ拘束していますので、米国がイスラエルに圧力をかけて攻撃を止めさせるために、米国人の人質をカードにして米国を関与させようとするでしょう。
人質解放をめぐるハマスのゲームプラン通りに進むのか、イスラエルが米国の圧力を振り切って攻撃を再開するか、注目したいと思います。
WSJスクープ
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
ハマスが病院を拠点にしていることを、米国がシグナル・インテリジェンスで確認している、との内容です。イスラエルは病院で押収した武器・弾薬などの写真を公開して、病院を攻撃することの正当性をアピールする情報戦を展開しています。
それでも近隣中東諸国やイスラム諸国の停戦を求める声は強まる一方で、戦闘一時停止を求める国連安保理決議を米国拒否できませんでした。
今後は引き続き、ヒズボラやイランがどう出るのかが重要です。ヒズボラや親イラン派武装勢力の動向や今後エスカレーションするかどうかの見極めのポイントについて下記のコラムで簡単に解説していますので、そちらも参考にしていただければと思います。
https://www.oasis-academy.jp/blog/2023-11-15
米軍、シリアでまた空爆 複数のイラン関連施設
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
イスラエルとハマスの戦争が始まって以降、シリアとイラクで展開する親イラン派武装勢力は米軍の拠点に対して40回以上攻撃を加えています。その報復として米軍はシリアにある親イラン派武装勢力の武器庫を2回空爆しましたが、まったく抑止効果はなく、攻撃が止まらないため、3回目は彼らの訓練施設、つまり人員に対する攻撃に踏み切りました。親イラン派武装勢力の間で死傷者が出たはずです。
ただこれでも彼らの攻撃を抑止することは難しいと思います。親イラン派武装勢力の一大拠点はイラク国内にありますが、米軍はシリアの拠点しか攻撃しておらず、イラク国内の武装勢力の拠点には手を出していません。
これでも攻撃が収まらないようであれば、次はイラク国内の武装勢力の拠点を攻撃すると思われます。
米軍と親イラン派武装勢力双方の攻撃がどこまでエスカレートしていくのか、注意深く追っていきたいと思います。
米大統領、イスラエル首相に3日間停戦が人質解放に寄与と指摘=報道
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
アラブ諸国は即時「停戦(ceasefire)」を求めていますが、イスラエルはこの要求は拒否していて、米国もceasefireには反対というイスラエルを支持する立場。ですがバイデン政権はイスラエルに対して「戦術的な戦闘の一時停止(tactical pauses)」を求めています。日本語だといずれも「停戦」になってしまいますが、意味は大きく異なります。ネタニヤフ首相も「ceasefire」は受け入れないとしながら、「tactical pauses」は受け入れを検討すると表明。先日の記者会見では、「tactical little pauses」とさらに「little」を加えて短時間の戦闘停止なら受け入れる可能性があることを示唆しています。
ヒズボラ指導者、米にガザ攻撃停止を要請 中東「広域戦争」警告
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
この記事を読むと非常に攻撃的な印象を受けてしまいますが、実際には懸念されていたようなイスラエルとの全面戦争を宣言するような内容ではなく、警告を発しただけの極めて抑制的なスピーチでした。
特にハマスの10月7日の攻撃が100%ハマスの計画によるものだったとご丁寧に説明して、暗に「イランは関わっていない」と改めて表明したことは重要です。また米海軍など怖くない、米軍に挑戦するつもりがあると非難の矛先を米国に向けている点も、イスラエルとの全面戦争をやる気はないのだな、と思わせるのに十分なメッセージでした。
このスピーチの焦点は、ナスララがイスラエルとの全面戦争、少なくとも更なる攻撃激化の宣言をするかどうかでした。ナスララは、「我々はすでにイスラエルと交戦している」と述べており、更なる攻撃激化については触れていません。
ということで実際には抑制的なスピーチだったので、ホッとしています。
WSJスクープ
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
これはすごい展開になってきそうです。ロシアがワグネルの持つ防空システムをレバノンのヒズボラに送るという情報です。
「SA-22」というロシアの防空システムで、対空ミサイルと対空機関砲を使い航空機を迎撃するもの。2015年にロシアがシリアのアサド政権を助けてシリア内戦に介入して以来、ワグネルはシリアでロシア軍と共に行動してきました。イランもアサド政権を助けるために革命防衛隊を送り、レバノンのヒズボラもシリアでアサド政権を支援してきましたので、ロシア軍とヒズボラはシリアの内戦を通じて協力関係にあります。
ウクライナ戦争勃発後、イランがロシアに無人機を提供するなど、ロシアとイランの軍事協力が加速しましたが、その見返りの意味もあって、ロシアがイランの支援するヒズボラに協力するということは十分にあり得ることです。
すでにシリアに展開しているワグネルの防空システムをレバノンのヒズボラに提供することはロジ的にも比較的容易でしょう。
ウクライナ戦争とイスラエル・ハマス戦争が明確な形でリンクしてきたことになりますし、域外大国としてロシアがイラン・ハマス・ヒズボラ陣営について関与してくるサインともとれます。
本日、ヒズボラ指導者による重要な演説があるようですから、それに合わせてヒズボラがイスラエルへの攻撃を激化させてくる可能性もあります。ますます中東情勢から目が離せません!世の中三連休ですが…。
イスラエル首相、「ハマスとの停戦ない」 掃討計画推進を表明
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
イスラエル軍による地上侵攻作戦が始まりました。イスラエル軍はまずガザ地区内に後続部隊が駐留して、より大規模な作戦を展開するためのいわば安全地帯を構築してから、ガザ地区の中でもハマスのインフラが集中しているとされる北部のガザ市を包囲することを狙っているようです。ガザ市への出入りをコントロールして、ハマスへの兵糧攻めをさらに強化していくつもりではないかと思います。
また、その間にもイスラエルの地上部隊は、ハマスがガザの地下に築いた大規模なトンネルや地下壕システムの分岐点を探し、トンネルの入口を見つけようとしているようです。そのあとどうするのかは分かりませんが、人質救出を優先するのであればトンネルの中に入らざるを得ませんが、おそらく地上部隊はトンネルの中には入りたくないでしょう。入り口を見つけたら空爆を要請して入口を破壊してトンネル内にハマスを閉じ込めることが考えられますが、その場合は人質も犠牲になるでしょう。
ハマス壊滅を優先させるか、人質救出を優先させるか、それにより作戦の速度も、攻撃の烈度も変わってくるのでしょう。
イスラエル、ガザ地上作戦拡大 政府報道官「ハマスは代償払う」
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
イスラエル軍報道官は27日夜に、ガザへの陸上部隊による「越境作戦を拡大する」と表明しています。これは「越境作戦」であり、「地上侵攻の開始ではない」としています。イスラエル軍は本格的な地上部隊の侵攻の前に、ハマスのトンネルや地下のインフラ施設を狙った集中的な空爆作戦を実施しているようです。
ガザ地区最大の通信プロバイダーであるPaltel社は、激しい集中砲撃により、ガザ地区では、固定電話、携帯電話、インターネットを含むすべての通信サービスが失われ、完全に停電状態にあると発表しています。
ガザへの空爆は過去3週間の攻撃の中でもかつてない規模と激しさだと伝えられていますので、ハマスがガザ地区の地上と地下に構築した軍事インフラを徹底的に潰してから地上部隊を送るつもりかもしれません。
ネタニヤフ首相 戦時内閣を初招集 「我々がハマスを壊滅させる」と強調 ハマスの掃討に向け、ガザへの地上侵攻を改めて示唆
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
ハマスを壊滅させる、ということはハマスの統治体制を破壊して解体させる、という意味だと考えられます。ガザのレジームチェンジを目指すということかと思いますが、ハマスの指導層を一掃して戦闘員を殺害して、ハマスの事務所だとか、武器庫などを破壊したとして、その後のレジームをどうするのか、見通しはあるのでしょうか?
2003年の米国によるイラク戦争のように政権を打倒した後、その後の統治をどうするのか、戦後統治の計画などないまま、戦争に突き進もうとしているようです。
そうだとすれば、イラク戦争で米国が泥沼に陥ったように、イスラエル軍も何年もゲリラ戦に悩まされることになるのではないか。
イスラエルは終わりの見えない戦争に突き進んでいきそうです。
【随時更新】ガザ地区死者2300人超“最後の地上侵攻時上回る”
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
イスラエル軍は、ガザを支配するハマスの「政治的・軍事的上層部を一掃する」ことが最終目標だと発表しました。「ハマスを地球上から抹殺する」と宣言していた数日前よりは目標が下方修正されたように思われます。
ただそれでも、ガザという自治区の「レジームチェンジ」をするという非常に大きな目標を掲げた軍事作戦になりますので、目標達成までどのくらいの時間がかかるのか、それにあたってどれくらいの被害が発生するのか、われわれの想像を絶する大変な事態になることが予想されます。そもそもその軍事目標を達成できたとして、その後ガザを誰が統治するのか、イスラエルがまた占領して自身で統治するのか、それでパレスチナ人の抵抗は収まると思っているのか、それともパレスチナ人は皆どこかに追い出してユダヤ人を入植させようと思っているのか、軍事目標の後の政治的なエンドステートが分かりません。
ハマスは「パレスチナ国家を樹立させるまで戦い続ける」と宣言していますが、自分たちの政治的な権利を守るために戦おうとするパレスチナ人はハマス以外にもたくさんいますから、ハマスの指導層を一掃してもパレスチナ人の抵抗は収まることはないでしょう。
イスラエルは、ハマスの「テロ」に軍事的に対応しようとしていますが、それによってパレスチナ人の「抵抗」をさらに激化させてしまいます。人間の抵抗の意志を軍事力で抑えることはできません。
つきつめると、軍事力だけでは決して解決できない問題に、イスラエルは今、全力で軍事力だけで突き進もうとしています(国内的にもそうせざるを得ない状況になってしまっています)。
米国務長官がカタール訪問、イスラエル・ハマス巡り首相と会談へ
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
昨日、カタール在住の方と電話で話しましたが、現地ではイスラエルに対する反発の感情がすさまじく強まっており、このまま地上侵攻が始まったらイスラエルだけでなく、欧米諸国に対する怒りの感情も強まりそうだとのことです。
日本にいるとなかなか理解しにくいと思いますが、アラブの国々ではハマスの今回の行動を、これまでイスラエルがパレスチナにしてきた仕打ちと比べて相対化して考えますし、今はガザ空爆で被害に遭っているパレスチナ人の窮状に関する報道がほとんどですから、パレスチナに対する同情と連帯の機運が高まっています。
ハマスは13日にパレスチナとの連帯を示す行動を呼びかけていますので、中東全域で大きな反イスラエル・デモが展開されそうですし、欧州諸国ではパレスチナに同情的な人たちとイスラエルに同情的な人たち同士の衝突も予想されます。
パレスチナ問題というのは、民族、宗教、政治的信条や歴史観などから人々を分断させ兼ねないイシューですので、ガザの情勢がエスカレートすればその影響は世界各地に及びます。思わぬところで、ユダヤ教関連施設に対する攻撃といった形で反動が表れることも考えられます。
中東から離れているから大丈夫などと思わず、欧州におられる方々も最新の報道をみて注意して行動していただきたいと思います。
ガザ戦闘、死者2200人超に イスラエルが戦時内閣樹立へ
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
ハマスは10日に声明を発表してパレスチナがイスラエルに占領され続けていること、パレスチナの権利が侵害され続けてきたことを訴え、自分たちはパレスチナの解放運動をしている、人質に対してはイスラム法に基づいて対応するとアラブの国々に支援を呼びかけました。サウジアラビアはガザへの攻撃をやめさせパレスチナ人の権利保護のために働きかけを始めており、イランやトルコとも協議。エジプトもガザの人々の人道支援のために米国に働きかけるなど、中東の主要国はガザへの攻撃をやめさせるために一斉に外交的な動きを強めています。
この状況でイスラエルがガザ攻撃を開始すれば(すると思いますが)、中東の国々はイスラエルを非難し、反イスラエル感情が高まり、アラブ・イスラエル関係正常化の動きは後退することになります。
欧米のメディアをみていると、イスラエル側の被害の話ばかり報じられていますが、アラブ側のメディアはほとんどガザの人道危機について焦点を当てていて、欧米諸国と中東諸国の認識ギャップは凄まじいです。
パレスチナ問題が国際政治から忘れ去られていた数週間前とは異なり、中東諸国は今、ガザのパレスチナ人を守れ、という声を強めています。これこそハマスが狙っていた効果でしょう。
イスラエルによるガザ攻撃が始まり被害が増大すれば、イスラエルに対する非難も強まることになります。ハマスの対イスラエル「攻撃」の第二弾は情報戦です。

NORMAL
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