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米イラン、囚人交換 元大統領と情報省に制裁
共同通信
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
米イラン両政府がそれぞれ拘束していた5人ずつを解放。米国の制裁に沿い2019年以来韓国で凍結されていたイラン資産(韓国がイランから購入した石油代金だが制裁のためイランに支払いできずに凍結されていた)約60億ドル(約8860億円)の凍結が解除された、というものです。  数ヶ月間かかって、実際に凍結資産がスイスを経由してカタールの銀行のイランが持つ口座に振り込まれたのが確認され、囚人交換が実現。これまで何度も浮上したものの途中で止まっていたものです。この複雑な取引を実現させるにはそれだけの政治的な意志が必要ですから、一定の信頼が必要。そうした二国間の信頼醸成のための措置です。  これでイラン核合意に復帰するための協議まで一気に戻るということにはなりませんが、次はそのための核問題に関するミニ合意に向けた交渉を進めることになるでしょう。バイデン政権は、大統領選挙の前にイラン核危機が起こることを避けるため、何とか核問題をこれ以上悪化させないようなミニ合意を結びたいと考えているようです。  次のステップにどれくらいのタイミングで進めるのか、注目したいと思います。
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レモンド米商務長官、訪中で大きな進展-「信頼」には至らず
Bloomberg.com
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
バイデン政権は、先端技術へのアクセス阻止など、国家安全保障に関わる重要分野においては中国を抑え込むための経済的措置をとっています。この分野では中国への輸出規制や投資規制を強化しようとしていますが、「米中貿易のすべての分野ではない」「輸出規制と投資制限の範囲は狭い」「限定的な分野だけなのだ」という点を強調し、中国側にも同意を求めています。  米国は、自分たちにとって儲かるビジネスは継続して、国家安全保障の肝の部分だけは中国に技術を渡さない、ようにしたいわけです。  中国側はそんなに都合の良いことはさせまいと、「予測不能な規制」を繰り出すことで米中経済関係全体を不安定化させ、それが嫌なら「関税の引き下げや輸出規制の削減、計画されている対中投資制限の破棄」をするように米側に迫っているわけです。  もちろん中国経済もダメージを受けているわけですが、国家安全保障に関する重要技術だけ抑え込まれて米側に都合のよい状況をつくらせないため、チキンレースを仕掛けているのです。  いくら米中作業グループをつくったり協議を続けても、この根本の構図が変わらなければ「進展」はありません。米中我慢比べはまだまだ続くでしょう。
プリゴジン氏死亡確認=ジェット機墜落でDNA型鑑定―ロシア
時事通信社
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
この事件、その後色々情報が出てきましたので、それらを総合して現時点での結論を書きます。  6月末の「反乱」に際してプーチンはプリゴジンの命だけは助けてベラルーシで引退させようとした。まだあの時は血気盛んなワグネルの戦闘員たちが集結していたので彼らとの衝突を防ぐ意味もあった。その後プーチンはワグネル帝国の乗っ取りを開始。GRUが中心になり、ロシア軍や政府と近い別の民間軍事会社を使ってワグネル利権の乗っ取りを進める。この間にワグネルの戦闘員たちはロシア国防省と契約する者、アフリカに再配置になる者などバラバラに。  ところがプリゴジンは、ワグネルのアフリカ利権を乗っ取られるのを防ぐために、ロシア政府の計画を妨害しようとアフリカの指導者たちと個別に連絡をとるなど動きを活発化させた。7月末にサンクトペテルブルクでロシア・アフリカサミットが開催された際、プリゴジンはサンクトまで来てアフリカ首脳と会おうとしたが、プーチンは首脳たちにプリゴジンと会わないように要請。  8月にプリゴジンは中央アフリカやマリに自ら出向いてワグネルのビジネス継続のために画策。反乱後初めての動画も公開。その直後に今回の飛行機事故です。  実は、反乱から5日後の6月29日にプーチンはクレムリンにプリゴジンやワグネル幹部を呼んで3時間協議していました。この時プーチンは、ワグネル幹部の一人でロシア内務省元中佐のアンドレイ・トロシェフの下でワグネルを再編成したらどうかと提案。トロシェフは、プリゴジンと国防省の主要な連絡役だった人物ですが、プリゴジンがこの提案を断った、とプーチンは話しています。プーチンとすれば、プリゴジンの命だけは助けてやったつもりが、ベラルーシでの引退生活に飽き足らず、ワグネル利権をロシア軍に渡すまいと抵抗したため暗殺に至ったのではないか、というのが現時点での結論です。  今回「撃墜」された飛行機には、ワグネル幹部の中ではトロシェフだけは乗っていなかったとのことです。
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サウジアラビアが参加希望=日英伊共同開発の次期戦闘機―英FT紙
時事通信社
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
このニュースを報じたFTの記事によれば、英国とイタリアはサウジの参入を支持しているものの、「日本は断固反対」の立場だということです。2018年にカショーギ殺害事件が勃発して以降、ドイツがサウジアラビアへの戦闘機輸出に反対していることから、サウジが購入予定のユーロファイターの導入の見通しが立っていません。そんなこともあってサウジは英伊日のGCAPに参加することに積極的とのこと。  日本の政府関係者は、新たなパートナーが加わることによる開発の遅れに対する懸念に加え、「サウジアラビアが加われば、東京がどの国に武器を売ることができるかという議論がさらに複雑になる」という理由を挙げているとのことです。イランにでも武器を売る計画をしていない限り、「どの国に武器を売ることができるか」をそれほど心配することではないと思われますが、いずれにしても日本が「断固反対」する理由が不明です。  今や米国がサウジとイスラエルの関係正常化を最優先に掲げて外交を進めていることから、「イスラエルの反対」を心配するのも時代遅れ。バイデン政権でさえサウジを怒らせないよう注意深くめちゃくちゃ慎重な対サウジ外交を行っているときに、エネルギー面でこれほど世話になっている日本がサウジを怒らせない方が宜しいかと思います。  中東ではパワーバランスが確実に変化しており、アラブの産油国は自分たちのパワーを行使して自国の利益を高めるために積極的な政策をとるようになっています。そうした新たな国際政治の潮流を、日本政府は掴みきれていないのでは、と心配です。
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イラン、高濃縮ウランの製造ペース落とす=関係者
The Wall Street Journal
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
「イランはここ数週間で60%に濃縮したウランのうち少量を希釈したほか、新たに製造するペースも緩めた」と米WSJが「複数の関係者」の話として報じています。  同紙は、「米欧の当局者はイランに対し、今夏のうちに緊張が緩和した場合は核開発を含む、さらに幅広い協議に年内に応じる可能性があると伝えている」と報じています。あたかもイランの方が協議を求めていて、米欧が応じる用意があると米欧側が有利な立場にあるかのような書きぶりですが、実際にそうなのでしょうか?  イランは60%濃縮ウランの製造ペースを落としても何の問題もありません。イランはすでに核兵器2個分に相当する量の60%濃縮ウランを蓄積しています。  そのペースを落としたり、凍結することで、事実上の制裁解除が得られるのであればイランは喜んで応じるでしょう。  バイデン政権は、とにかく来年の大統領選挙までの間、イラン核危機が発生したりそうした危機に対応したくないので、「一時的でいいからイランに核開発をやめて欲しい」と思っています。  どちらの立場が強いのか。今後核協議が再開されるとすれば、その辺も明らかになるでしょう。
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イラン、拘束中の米国人5人解放の可能性 凍結資産解除など条件
Reuters
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
イランが刑務所で拘束している米国人5人がひとまずホテルに移送されて軟禁下に置かれた模様。この条件として、韓国の銀行口座にあるイランの石油収入をカタールのドーハにある銀行に送金することが調整されているようです。ドーハの銀行口座から、米国財務省が可視化できる取引のみ許され、イランは食料や医薬品など人道目的の物資の購入に使用することができる、と米国当局者は説明しています。  イランに「身代金」を渡すことで間接的にテロを支援するのか、という米国内の反イラン勢力からの批判をかわすために、バイデン政権は「人道支援は制裁対象外なので、これは制裁解除ではない」と説明しています。  バイデン政権は現在、イランが60%ウラン濃縮の製造を「停止」する代わりに、イランが石油を輸出するための米国の制裁を一部免除する取引、いわゆる「ミニ合意」のための交渉を進めていると言われています。今回の「取引」はそのための第一ステップのようですが、米国内の世論の動向なども慎重に見極めながら次のステップに進めるタイミングを決めるのでしょう。  最近米軍が中東への部隊の増派を進めイランに対する圧力を強めていますが、他方ではこのようにイランと水面下で交渉をしています。この2つは矛盾しているのではなく、交渉で相手になめられずに強い立場を維持するためにも圧力のための交渉カードを強化しているのだと思われます。  この後、第二弾の取引が進むのかどうか、注意してみていきたいと思います。
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