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国連安保理、ガザ即時停戦決議案を採択 米は棄権
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
米国はこれまでイスラエルの報復の権利を尊重して「停戦(ceasefire)」という言葉には反対し続けてきました。一時的な休戦(pause)という用語を使ってきましたが、イスラエルのネタニヤフ首相が、バイデン政権の意向をきかずにラファへの地上侵攻作戦を進めようとしているため、バイデン政権は最近「停戦(ceasefire)」という言葉を使って、イスラエルに圧力を与えるようになりました。
そして今回、遂に国連安保理の「停戦」決議案に「反対」しませんでした。バイデン政権は、イスラエルによるラファ侵攻作戦に対して米国の考えを伝えるため、両政府高官同士の協議を進めようとし、24日にイスラエル政府代表団はワシントンに到着していましたが、ネタニヤフ首相は同代表団を帰国させると発表しました。
国連安保理で停戦を求める決議案が採択されましたが、停戦要求に応じないイスラエルに対して強制力を使う、つまり国連軍を結成してイスラエルに攻撃を止めさせるとか、イスラエルに経済制裁を科すといった措置をとることはないでしょう。米国はそこまでは賛成しません。
しかし、停戦を求める安保理決議に拒否権を投じないという行動を通じて、バイデン政権はイスラエルに対する不満を明確に示し、「これ以上米国の意向を無視して戦争を続けるのであれば、国連でも守ってあげられないぞ」というメッセージを発しているのです。
米・イスラエル関係がさらに悪化し、バイデン政権がここまで反対する中、イスラエルが大規模なラファ地上侵攻に踏み切った場合、どうなってしまうのか。中東情勢はさらに危険な状況に近づいています。
テロから2日、モスクワ厳戒 「なぜ銃撃」市民は治安疑問視
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
実行犯の4名が全てテロの犯行現場から離脱しており、逃亡中に当局に拘束されたことは、IS系のテロでは非常に珍しいです(まったくないわけではありませんが)。ISの過激思想に染まってテロをするのであれば、イスラムのために死ぬことで天国に行くことを目的にテロに走りますから、通常は死ぬまで戦います、というか死ぬために戦います。
今回の実行犯が逃亡したのが事実であれば、それだけで彼らはISKの正規のメンバーではなく、今回のテロをやるためだけに雇われたプロの戦闘員である可能性があると思います。
シリアのIS本体もそうしたプロのヒットマンを使ってテロを行うことがありました。ISKもそうした手法をとり、派手で大掛かりなテロを仕掛けたのかどうか、続報を待ちたいと思います。
モスクワ銃乱射、背後の勢力罰するとプーチン氏 死者133人
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
「イスラム国のホラサン州=ISK」はアフガニスタン東部を中心にパキスタンやイラン、中央アジアを自分たちのテリトリーとして活動。現在のタリバン政権とは敵対していますが、ロシアはタリバン政権を認めていて関係は良好です。
ISKにはアフガニスタン、パキスタン人が多いですが、タジクやウズベクのような中央アジア、チェチェンのようなコーカサス出身者もメンバーに多く含まれています。彼らは「ロシア憎し」で、戦ってきています。
また、シリアでもロシアはISと2015年以来戦って来ていますし、最近ではアフリカ、西アフリカのマリなどで現地のイスラム過激派勢力とロシアの民間軍事会社が激しく戦闘していますので、イスラム過激派の中ではロシアは敵対勢力のトップの方に位置づけられています。
今後ロシアは国内の取り締まりを強化。もともとウクライナ戦争が始まって以来、ロシア人男性の人手が不足しているところ、中央アジア地域から出稼ぎ労働者が増えていますが、彼らが疑われて当局の厳しい弾圧をうけるようになれば、そうした扱いを受けた人々の中からまたロシア憎し、でテロリストが生まれていく可能性もあります。少なくともそういう土壌をロシア自身が作っていくので、テロはなくならない、ということになります。
国際テロ情報ファイル(1):2015年1月「パリ・シャルリー・エブド襲撃」テロ
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
今回モスクワで悲惨なテロが発生してしまいました。2024年3月11日頃から4月10日頃まではイスラム教のラマダン(断食月)の期間にあたり、イスラム教徒の宗教心の高まるこの時期に、国際テロ組織アルカイダや過激派イスラム国(IS)は、「聖戦の月であり、非信仰者を悲惨な目に遭わせるのだ」とテロを呼びかけていました。
特に今年はイスラエルによるガザ攻撃が続けられ、多くのパレスチナのイスラム教徒が犠牲になっていることから、世界各地のイスラム過激派組織がイスラエルや米国権益への攻撃を呼びかけています。
ロシアは2015年以来、シリアでISと戦っており、また国内にもコーカサス地方などに反政府武装活動を行う組織が多数ありますので、イスラム過激派勢力によるテロの脅威が高まっていました。
そこで、この3月から、テロに対する注意を喚起し、過去のテロ事案からの教訓を学ぶため、過去10年間に発生したイスラム過激派によるテロ事件に関して私が分析・執筆したレポートを『国際テロ情報ファイル』シリーズとして公開してきました。
テロ情勢の分析や今後のテロ対策にお役立ていただければ幸いです。
第5次中東戦争の足音 イスラエルに「全面戦争」の誘惑 - 日本経済新聞
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
これまでイスラエルとヒズボラの衝突は抑制されたもので、攻撃範囲は国境から3~4km圏内に集中していました。しかしこの記事にもあるとおり、今年に入ってから次第に攻撃範囲が拡大しています。
イスラエルの攻撃はすでに国境から100km離れたバールベックにまで及んでいて、ヒズボラによるイスラエルの攻撃も一度にロケット弾を100発も撃ち込むなど、激しさを増しています。
この新たなエスカレーションは、両者間で明確なルールのない中で、お互いに相手の攻撃を上回る報復攻撃を重ねることで徐々にレベルが高まってしまっていますので、危険です。
ヒズボラの指導者は、イスラエルがガザでの戦闘を続ける限り、イスラエルに対する攻撃を止めないと宣言していますので、イスラエルがラファ攻撃に踏み切れば、ヒズボラによるイスラエルに対する攻撃も激化する可能性があり、注意が必要です。
モスクワ郊外でテロ 40人死亡100人以上けが ロシア治安機関
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
90年代後半にロシアで発生したチェチェン人武装勢力による一連のテロを思い起こさせるような攻撃です。また、2015年~2017年にはイスラム国(IS)によるテロが各地で頻発しました。今回のテロが起きたのはラマダン期間中の金曜日夜で、IS関連組織が犯行声明を出しているようです。
今年はガザ戦争も行われており、イスラム過激派組織は世界各地でテロを呼びかけていましたので、特にラマダン期間中は注意するように、外務省なども警戒を促していました。
ロシア・ウクライナ戦争が始まってからもう2年以上が経ち、ウクライナに義勇兵として参戦したイスラム過激派の人たちも多数いますので、ウクライナ政府の意向とは関係なく、こうした人たちがテロを仕掛けたとしても不思議ではありません。
事件の背景など詳細は続報を待ちたいと思いますが、欧州や北米でもこの種のテロが発生する可能性は十分にあります。
ブリンケン米国務長官、イスラエル訪問へ ラファ侵攻自制働きかけ - 日本経済新聞
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
18日にサリバン大統領補佐官は、イスラエルによるラファ地上侵攻作戦のインパクトについて、次のように警告していました。
「ガザの主要都市のほとんどが破壊されている」ため、ラファに避難している多数の人々は「他に行くところがない」。しかもラファは、ガザと国境を接するエジプトを経由してくる人道支援物資の主要な入口であることから、イスラエル軍の地上作戦は「援助物資の配送を混乱させることになる」。
また、この記事でも触れられているように、バイデン政権はイスラエルが「ラファで達成したい目標は他の手段でも達成できる」として、大規模な地上侵攻作戦以外の方法を提案しているとのことです。
ブリンケン国務長官が中東を訪問するのは、昨年10月にガザ戦争が始まってから6回目です。ここまで時間とエネルギーを費やしているにもかかわらず、バイデン政権はイスラエルの行動を抑制することができません。
このままイスラエルがラファ地上侵攻作戦を開始すれば、米・イスラエル関係はさらに悪化し、米外交に対する信頼も低下するでしょう。
ドーハで開催されている休戦協議の行方と今後のイスラエル軍の作戦に注目です。
ガザ最南部の地上侵攻承認 イスラエル、休戦交渉再開か - 日本経済新聞
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
バイデン大統領は、9日に放送された米MSNBCとのインタビューでイスラエルによるラファ攻撃は「レッドライン」を越えることになると警告。もし作戦で大規模な民間人犠牲者を出した場合、「米国はイスラエルへのある種の軍事援助を差し控える」可能性に言及しました。バイデン政権は、初めてイスラエルへの軍事支援を停止する可能性に触れたのですが、その場合でも、すべての武器供給を断つことはせず、アイアンドームのような防衛システムは供与する(すなわちイスラエルの防衛を支援する)用意があることも付け加えました。
ここでバイデン政権gネタニヤフ首相を抑えられなかったとすれば、おそらくその後の戦後統治においてもイスラエルを抑えることができなくなるでしょう。そうなるとイスラエルが軍事力でガザの占領を続け、ハマスは小規模な武装反乱を継続し、周辺アラブ諸国とイスラエルの関係も悪化したままの状況が続いていく可能性が高くなります。
すでにイスラム諸国はラマダン期に入っていますが、この状況でラファへの地上侵攻が行われるのかどうか、非常に重要局面になってきました。
UNRWA、ハマスなどから450人以上雇用=イスラエル軍報道官
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
イスラエルは政治的にUNRWAとハマスの関係を誇張して発表している可能性があり、彼らの発表全てをそのまま信じない方が賢明でしょう。2月末に米情報機関は、「何人かのUNRWA職員が10月7日のテロに加わったという情報」について「low confidence」という情報評価をしています。米情報機関のlow confidenceの評価というのは、「本当だとは思うが自分たちのソースで確認はとれないのでそれほど信頼性は高くない」という程度のものです。
どの国や勢力もそうですが、イスラエルも自分たちに都合のよい情報を誇張・強調して発表する、という認識を持ってこの種の情報に接することが大切です。
【基礎から解説】死者3万人、ガザの最新状況をアップデート
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
この記事で分かりやすくまとめられている通り、バイデン政権のネタニヤフ政権に対する圧力が強まっており、バイデン大統領は3月4日まで休戦合意がまとまりそうだ、と期限を設定することでイスラエルとハマスに合意を迫っています。
イスラエルは、3月10日頃に始まるラマダン(イスラムの断食月)までにハマスが人質解放に応じなければラファ攻撃を始めると脅しており、このまま合意に至らない場合は、イスラム教徒の宗教心が高まるラマダンの開始と同時にラファ攻撃が始まるという最悪のシナリオが想定されます。
バイデン政権はラマダン期間の戦闘休止を皮切りに恒久的な停戦に持ち込むことを狙っているようですが、各勢力に妥協を強いるのは容易ではないようです。
戦闘休止が成立するのか、ラマダン期にラファ攻撃が始まってしまうのか、今後の動向に注目です。
イスラエル軍がラファ地上作戦計画策定か 国連事務総長「支援にとどめ」休戦交渉も本格化
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
ネタニヤフ首相は25日の時点で、一時停戦とガザで拘束されている人質の解放に向けた合意への進展には、ハマスが要求を軟化させることが必要と述べています。そしてその一方で同首相は、ラファへの地上侵攻について、「もし合意すれば、多少遅れるだろう。しかし、それは起こるだろう。いずれにせよやるだろう」と述べています。いかなる合意もイスラエルのラファへの地上侵攻を遅らせることはできても、最終的に防ぐことはできないと言っているのです。
合意が成立して一時戦闘が停止されたとしても、恒久的な停戦にならない限り、いずれイスラエルによるラファ攻撃は行われると思います。
米英がフーシ追加攻撃、イエメン18カ所 紅海で緊張続く - 日本経済新聞
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
もう「米英がフーシ派を軍事攻撃」という記事が出ても、ほとんど注目されなくなりました。それだけこの紛争が「日常化」してしまったようです。
米英軍が軍事攻撃をしても、フーシ派が商船に対する攻撃を控えるわけでも、それが出来なくなるわけでもありません。つまり、フーシ派の攻撃「能力」も「意図」も喪失させることができませんので、変わらずに紛争は続くことになります。
フーシ派に軍事支援しているイランは、ロシアにも短距離弾道ミサイルを400発供与したことが伝えられていました。ストックホルム国際平和研究所によると、イランは2022年に1億2300万ドルを輸出し、世界第16位の武器販売国となり、第33位だった2017年の2000万ドルから武器輸出を急増させているとのことです。
イランは2022年にロシアに2,000機以上の自爆型無人機シャヘドを売却しています。イラン製兵器は、ウクライナ戦争で使われているわけではなく、ガザ戦争では、ハマスがイラン製の爆弾や対戦車用の弾頭を使ってイスラエル軍を苦しめていますし、イエメンのフーシ派もイラン製武器で米英軍に対抗しています。
現在、欧州や中東で展開されている主要な戦争や武力紛争で、イランの兵器が米国およびその同盟国・友好国を苦しめているという構図があります。
今後、世界の兵器サプライヤーの一角を占めるようになったイランの存在により大きな注目が集まることになるのではないかと思います。
カタールで追加協議へ=戦闘休止案、6週間で人質40人解放―イスラエル
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
米国のバイデン政権はここのところ、イスラエルのネタニヤフ政権に対し、ハマスとの停戦・人質解放交渉を続けるように、との圧力を強めています。
先週米紙は、「バイデン米政権がイスラエルに対し、数千万ドル(数十億円)相当の新たな武器売却を検討している」ことを報じましたが、「武器売却を検討している」ということは「武器を売却しないオプションも検討している」はずであり、そのことをイスラエル側にも伝えて圧力をかけているものと考えられます。この中で米紙は、イスラエルが現在のペースで弾薬を使っていけば今後4~5カ月程度で弾薬が尽きることを報じていました。米政府がリークしたのでしょう。バイデン政権は武器供与をカードにイスラエルに圧力をかけているのだと考えられます。
また米政府は、イスラエルとハマスの戦争における「一時停戦(temporary ceasefire)」を求め、イスラエルによるラファでの大規模な地上攻撃に「反対する」決議案を国連安全保障理事会に提案したことも報じられました。これまで米政府は、イスラエルとハマスの戦争に関するいかなる国連の行動においても、「停戦(ceasefire)」という言葉を使うことを拒否してきました。
ところが、この決議案の文面は、「人質全員の解放を前提に、可能な限り早期のガザ一時停戦(ceasefire)への支持を強調し、大規模な人道支援の提供に対するあらゆる障壁の撤廃を求める」となっています。これは明らかに「イスラエルはいつまでも米国の外交的保護に頼ることはできない」という警告です。
バイデン政権は、ガザ戦争が始まって以来、最大級の圧力をネタニヤフ政権にかけていますが、これを受けてネタニヤフ政権がどう対応するか、注目です。
ガザ戦闘休止を主張=イスラエル首相との会談で―米大統領
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
2月11日のバイデン大統領との電話会談の直前に、ネタニヤフ首相は米テレビのインタビューを受け、「どんなことがあってもラファに入るべきでないと言っている人たちは、基本的に戦争に負けろと言っているのだ。ハマスがそこに残るようにしたいのだ」と戦闘休止を主張している米政府を批判。「ハマスの勝利は絶対に阻止する」と述べて、米政府の要請に応じないとことを示唆していました。
ネタニヤフ首相は米国のテレビを通じて米国民に直接考えを伝えることで、バイデン政権の忠告や助言を無視する姿勢を鮮明にしました。おそらくネタニヤフ氏は、バイデン政権とイスラエルの関係悪化を表面化させることで、米大統領選挙でトランプ氏が有利になるように動いているのでしょう。
米大統領選挙でトランプ氏有利の状況が強まっているようですので、ネタニヤフ氏はますますバイデン大統領の要求を軽視し、「暴走」する可能性が高いと思います。
米軍、親イラン勢力の司令官殺害 イラクで報復攻撃
菅原 出国際政治アナリスト 危機管理コンサルタント
米軍による新たな報復攻撃だと思われます。2月2日の第一弾の攻撃は、シリアやイラクの親イラン派民兵組織の拠点、とりわけ施設を破壊しました。それでも親イラン派民兵はシリアで米軍と協力するクルド勢力に攻撃をしてきましたので、今度は「施設」ではなく「人」を狙ってきたものと思われます。米軍はこれからも少しずつ攻撃のレベルを上げていくものと思われます。
これでも親イラン派の攻撃が収まらないようであれば、次はバビル県のカタイブ・ヒズボラの本拠地に対する大規模な空爆を行うかもしれません。
それでもイラン国内を攻撃しない限り、イランとの全面衝突にはならないでしょう。米国はイランとの全面衝突を回避しながら、ギリギリの範囲で攻撃レベルを上げていくものと思われます。
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