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AIによる契約書審査 弁護士でなければ「違法の可能性」 法務省
朝日新聞デジタル
西尾 公伸弁護士法人 Authense法律事務所 弁護士統括
最終的には、法令の解釈と適用ということで、司法が判断すべきことではあるのですが、具体的に事件化しないとその判断は行われません。 すなわち、新しいビジネスを作ったり、サービスのローンチ段階をしただけの段階では、司法判断は通常存在しないということになります。 だからこそ、グレーゾーン解消制度によって行政が解釈を示すことで、新しいサービス、ビジネスモデルの展開を加速させ、ひいては経済活動の発展に寄与するものとなります。 一方、行政としては、最終的な司法判断がない状態で断定的な判断は出せず、ケースバイケースの対応となり、曖昧な回答となってしまうことが多いのはそのためでしょう。 行政側の見解として、ビジネスモデルに対し「違法の可能性があります」と言われたときに、事業者はどのように向き合うのか色々なケースが想定されます。 アメリカのスタートアップでは、「黒」でなければやってみるというカルチャーと、それを受け入れる土壌があると聞きますが、日本では、そのビジネスモデルに対して適法性にリスクがある場合には、そのリスクを取らない傾向があるようにも思いますし、それ自体は誤りとは思いません。 契約書レビューサービスの自動化については、契約や取引、ビジネスにおける共通のインフラに関わるサービスであり、ある程度普及している状況において、サービス自体が違法となってしまうと、社会的なコストも非常に大きくなります。普及の状況を踏まえると、立法事実として法改正に発展していく可能性もあるでしょう。 一方、契約書レビューの品質自体の問題もあります。そのサービスを利用したために、誤った法的な見解に基づいて行動してしまったユーザーが損害を被ることは避けなければなりません。株式会社は弁護士でないため、弁護士法の懲戒処分の対象にもなりません。今回法務省から示された「弁護士や弁護士法人が補助的にサービスを利用する場合」以外の使用に関する慎重な姿勢は納得ができます。 今後、この「AIによる契約書審査レビューサービス」が各所でどのように判断され、発展していくのか、引き続き注目していきたいと思います。
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ツイッター、人員削減の必要=マスク氏
Reuters
西尾 公伸弁護士法人 Authense法律事務所 弁護士統括
業績が悪化した企業が人件費を削減するために従業員を一時的に解雇し、業績が回復したら再雇用するレイオフですが、アメリカでは比較的多く使われる雇用調整のひとつです。 これを日本で置き換えて考えてみると、再雇用する契約をしたうえで解雇を成立させるということで、不可能ではありませんが現実的には想定しづらく、そのような事例はあまり聞いたことがありません。近しいのは、整理解雇という類型でしょうか。 このニュースを見て想起したのは、現在厚労省で検討されている「解雇無効時の金銭救済制度」です。無効な解雇をされた場合に、復職か解消金の支払いを求め労働契約を解消するか、労働者側が選択できる、という制度です。 現実的に、労働者側が解雇無効を争い、解雇無効が認められた場合に、その後復職したケースというのは非常に少ないと言われています。現行制度では、解雇無効を争った場合に労働者側が請求できるのは、使用者都合の給与不払いは請求できるとはいえ、実質的には、在籍確認しかありません。 労働者の救済はもちろんのこと、使用者側の意向とも一致する一部のケースにおいては、ストレートに解決できる有効な制度になるのではないかと認識しており、今後の動向を見守りたいと思います。
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スポーツ賭博の解禁案、経産省が議論へ…八百長や依存症懸念で猛反発は必至
読売新聞
西尾 公伸弁護士法人 Authense法律事務所 弁護士統括
スポーツベッティングはスポーツを対象としたギャンブルですが、日本では特別法によって許されているものを除き、賭博罪等に該当して違法となります。 直近では、2020年にスポーツ振興投票法が改正され、バスケットボール(Bリーグ)がtotoの対象に加えられたことが記憶に新しいところ。 日本のスポーツ産業が発展していくために、スポーツベッティングは有力な選択肢であるように思われます。 スポーツベッティングが解禁されていないのはG7では日本だけとのことですが、他方で、海外の事業者が日本のスポーツを対象にベッティングを行っている現状があり、Jリーグやプロ野球、相撲、バスケットボールなどが対象とされています。 また、情報通信やブロックチェーン、暗号資産といった技術の発展によって、国内と海外との規制の線引きは容易ではありません。 八百長などの不正や依存症への対策の必要性が指摘されていますが、選手が不正を企図する反社会的勢力などのターゲットにされる可能性もあり、選手側のプロテクションという観点も必要に思われます。 Authenseでは、グループのユニバーサルスポーツジャパンというエージェント会社を通じて、サッカーを中心にスポーツ業界の発展を支援しています。 スポーツベッティングが解禁された場合、エージェント会社が果たす役割や責任も大きくなりそうです。
従業員からの訴訟に備え、「パワハラ保険」加入急拡大…契約数は4年前の倍
読売新聞
西尾 公伸弁護士法人 Authense法律事務所 弁護士統括
パワハラ防止法への対応ができていない中小企業が非常に多いと、他の弁護士からもたびたび耳にします。 今年4月、中小企業へのパワハラ防止法の適用が始まりました。 相談窓口を作ったり、社員研修の実施といった義務があります。 中小企業への適用が開始されたこと自体は広く認知されているように思いますが、対応したいと思っても着手できていない企業が多いというのが実態でしょう。 以前は、軽微な問題、大きな問題とされていなかったことが、「許されないこと」として認識されるような社会的な変化は、パワハラの問題に限りません。 例えば、飲酒運転。法律違反ではあっても社会的には軽微なこととして取り扱われていた時代もありましたが、その後社会的な捉え方が変化して、現在は厳罰化の動きとなっています。 パワハラも同様です。 社会の変化をキャッチアップして対応していくことは、経営者にとって当然のことと言えますし、法律の改正は社会的な認知形成以後に行われることが多く、むしろ法改正の時点では、対応すべきタイミングはすでに過ぎているとも言えます。 例えば、ベンチャーやスタートアップなどイノベーティブなサービスやプロダクトを生み出そうとする企業は、前例やルールが無い領域を絶妙なバランス感覚で渡り歩いていくことが必要です。それと対比すると、このような確立された変化については、当然にどの企業も対応していく必要があるという認識をもってもらいたいです。
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