小木曽 麻里

日本では「女性に昇進をオファーしても断られる」というのが女性を昇進させない理由に一つに挙げられてきましたが、それは家庭など上がれない「事情」があるから。状況が許せば、昇進を断る女性は非常に少ないと思います。実際リモートなどで働く環境が整い、マイクロアグレッションが減れば、昇進を望む女性は間違いなく増えるでしょう。また一方で、仕事が忙しくてこれ以上子供は作れない、という言葉もまだ聞きます。少子化対策のためには、女性が無理なく働ける環境を作っていくことが何よりも必要なのでは。

幾つか森林のカーボン関係に関わっていますが、生物多様性の議論が盛り上がるにつれ、北欧以外の他の多くの地域でも森林テックはまさに注目の分野です。森林保護によるCO2のクレジット化が中心ですが、バイオマスなどもポテンシャルがあります。課題は森林の測定と評価がまだ確立されていないことですが、数年以内には整備されてくるのでは。日本でも盛り上がりに期待したいです。

政府が積極的に社会企業を支援してくれることは素晴らしいです。一方、B Corp認証はもうとっているところもあるし、米国の様に節税などに繋がらないと効果は限られる気も。また、政府調達だと公平性の面から少し微妙な気も拭えません。リスクマネーの供給やそのための市場の整備など、より直接的な効果がありそうな政策にも期待したいところです。

残念ながら日本人のエンゲージメントは世界でも絶望的に低い。日本が従業員を大事にする、という過去のレガシーは、日本企業は従業員を解雇をしない、という意味合いだったと思います。ただエンゲージメントが低い、つまり幸せに働いていないのであれば、むしろ従業員の流動性を高めるよう努めてあげる方が良いのでは。 エンゲージメントは自己実現、給与、ワークライフバランスが大きいと言われますが、給与以外は従業員自身が自分で勝ち取っていくもの、と感じます。そしてそうであれば、会社側は従業員が自分でそれを実現出来る様な環境を整えてあげる役割となります。そのためには人材の流動性を高めるとともに、採用や転職の時に何がやりたいのかを選択出来る、職種別採用、ジョブ型雇用をもっと広める必要がありそうです。

日本では企業がジャニーズのタレントを使い続けることに賛同するコメントも多く見受けますが、世界的なスタンダードから見ると、歴史上も稀な人権侵害を起こした企業と取引を継続するなどガバナンス上論外、ということと思います。ここに書いてある企業を人権から格付けしているWorld Benchmarking AllianceはNGOと書いてありますが、投資家らの要請からできた機関であり、投資家はこれらのスコアをESG評価などにも参考にしています。人権に対する企業の姿勢がますます企業価値評価に反映されるようになってきています。