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【津賀一宏】経営危機からイーロン・マスクまで、戦いの9年間
太田 直樹New Stories代表 Code for Japan理事
このインタビューで明かされた「パナソニックの全貌が見えてない」ということを2012年に津賀さんから聞いたときは、衝撃を受けました。コンサル時代に様々な経営者と仕事をさせていただきましたが、「分からないことが分かった」という議論から始めたのは津賀さんだけです。
鋭い視点から、とても深い問いを投げかけてくる方でした。この3年は、インタビューにある「デルタ」についての問いが印象に残っています。私が国の仕事を辞めて独立したときに背中を押してくれた方であり、その際いただいた問いは、いまやっていることの軸になっています。
新型コロナ水際対策の入国後の健康確認 LINE利用停止 厚労省
太田 直樹New Stories代表 Code for Japan理事
基準や考え方を示さずに、何となく雰囲気で停止を決める連鎖が広がっているように見えます。国税庁公式LINEアカウントの、確定申告会場の入場整理券発行がどうなるかが注目されます。デジタルは、道路や水道といった社会インフラになりつつあり、だからこそ信頼性が大事なのですが、同時に雰囲気で運用すると大変な混乱や利用者の不利益を招きます。
利用再開までの舵取りにおけるリーダーシップが大切です。クラウドファーストやDFFTを謳っているのに、「これはオンプレ」「これはデータはもちろん、開発や運用は国内に限る」といった雰囲気の運用ルールができて原則が形骸化するのか。関係者の皆さんは大変だと思いますが、デジタル改革が進む方向に、この事案を乗り越えてほしいと期待しています。
LINEでの行政サービス停止 総務省
太田 直樹New Stories代表 Code for Japan理事
会見の内容を確認しましたが「何が停止の理由なのか」を明確にしてほしかったですね。そうしないと、風評や忖度が自治体や企業に広がり、デジタル改革の流れが停滞します。
「サーバーが国内にあるか」ということがよく言われますが、これはPPAP(パス付きZIPファイル)と同じくらい、合理性のない話です。特に日本は、中国や欧州の一部で広がるデータローカライゼーションに反対する立場で、それをリードしているのは総務省です。
希望は、政府や自治体、企業に本事案についてストレートに話し合える関係ができていることです。オープンな討論の場を設けてもいいのではないでしょうか。
NHK受信料値下げへ、BS2Kは一本化 中期経営計画
太田 直樹New Stories代表 Code for Japan理事
中期経営計画をまだ見ていないのですが、この記事について言えば、内向きな議論ですね。受信料については10年以上テーマになっていますが、もう一つのテーマはNHKが海外で弱いことです。国際放送の予算はBBCとほぼ同じです。
経済効果で言えば、受信料については国民一人年間数百円から頑張っても1000円を少し超える程度ですが、国際放送のインパクトは一人あたり万円単位です。また、横串テーマとしては電波利用の見直しがあり、これもインパクトは大きいですね。
放送行政は、通信に比べると、必要なポリティカル・アセットが大きいので、受信料の検討で使い切ってしまうと勿体無いように思います。

【GovTech】日本がデジタル国家を目指すための「5つの論点」
太田 直樹New Stories代表 Code for Japan理事
Govtechの課題と可能性について、日本は英国から学ぶことが多いと思います。国民所得に対する税と社会保障の割合を「国民負担率」といいます。日本と英国は45%くらいです。エストニアやデンマーク等の電子政府の先進国は70%やそれ以上という、いわゆる「大きな政府」なので、行政の人材も豊富で、デジタル化をやるやらないのインパクトも大きいですね。米国は30%台の「小さな政府」です。
英国で10年前に設置されたGDSというデジタル組織は、米国など各国がベンチーマークしたくらい成果を出しました。ただ、最近になって課題も見えています。そこでの議論も参考になります。
また、英国は日本のマイナンバーカードと同じようなICカードの導入を決めて、途中で廃止したという経緯もあります。いま、マイナンバーカードの公的個人認証機能をスマホに搭載する検討をしていて、僕もメンバーですが、より大胆な戦略の見直しも必要です。
Govetechはほとんどの場合「情報システム」が多いのですが、「データ」と「サイバーセキュリティ」は、人材の種類も異なり、戦略も違うので混同しない方がいいですね。
個人的には、中くらいの政府である日本の行政は、情報システムは民間に任せていった方がいいと思います。一方で、データについては、行政は最大のプレーヤーですが、オープンデータが少ない、あってもPDFで機械で読めない、住民基本台帳に読み仮名がない、不動産登記情報と現況があっていない、など様々な課題があり、ここにはデジタル庁のリソースを優先的に割いた方がいいと思います。少なくとも10年かかる大仕事です。
デジタル庁 4日から人材募集開始 副業やリモートワークも
太田 直樹New Stories代表 Code for Japan理事
経産省DX室が2018年から民間人材を採用しているので、ノウハウが活かされると思います。同省の場合「専門職非常勤」の国家公務員という位置づけで、話題になる給与水準は、週に5日勤務して800万から1000万円で設定されています。農水省は昨年DX室を設置して、民間人材を募集しましたが、経産省より少し下の水準でした。
経産省では、DX室の仕事の仕方について「古い行政組織カルチャーから抜け出すため」プレイブックを作成し、Githubに公開しています。このあたりも、応募を検討している人は参考になるのではないでしょうか。
https://github.com/meti-dx-team/METI-Digital-Service-Playbook
東京都はデジタル局の設置を目指しており、こちらも急ピッチで組織設計や採用が進んでいます。着任してから1年を超えた宮坂副知事のリーダーシップが素晴らしいですね。
海外も、パブリックセクターでは報酬等は日本とそれほど変わりません。一定期間民間ではできないプロジェクトをやって、また民間で活躍するような流動性があります。日本でもそのようなキャリアパスが今後できてくると思います。
【宮台真司】閉塞した社会で「幸福」を思考する(後編)
太田 直樹New Stories代表 Code for Japan理事
「記憶」と「身体性」を「意思の力」と「手を動かす」と読み替えたら。対談を読んでいて思い浮かべていたのは、シビックテックと高校生のマイプロです。
シビックテックは、身近なところから、テクノロジーを使って未来を切り開いていく活動。6月に行われたユヴァル・ノア・ハラリとオードリー・タンの対談が象徴していますが、システムにハックされるのではなく、システムを(建設的に)ハックする運動です。「手を動かそう」という言葉によく出会います。Code for Japanは2013年に設立され、今年はSlack上の参加者が500人から5000人に増えました。
もう一つは、高校生プロジェクトの全国大会であるマイプロ。評価基準がこだわっていて、課題分析や解決法の出来よりは、「マイ」感や行動を重視しており、評価員としてはじめてお手伝いしたときには、その熱量に圧倒されました。2013年に12プロジェクト、18人の参加者から始まり、今年の参加者は13,600人です。
3.11の震災以降、ある人たちがシステムからUnpluggedされ、こうしたうねりが強くなった。短期的には、目に見える形でしくみは変わらなかったけれど、小さな活動が、フラクタルに大きなシステムが変わることにつながった。将来から振り返ると、そう総括されることを期待しています。宮台さんの「加速主義」よりは、おだやかな革命というイメージを持っています。
マイナンバーカード スマホへの機能搭載を検討へ 武田総務相
太田 直樹New Stories代表 Code for Japan理事
検討メンバーです。検討事項は大きく二つあります。一つは、公的個人認証サービス、すなわちサイバー空間における「私は誰です」いわゆるeKYCをスマートフォンに搭載すること、もう一つは、そのeKYCと紐づいた民間IDの利活用です。
後者はあまり注目されていませんが、ポテンシャルは大きいと考えています。KYCが無かったり、信頼性が低いデジタルサービスは数多くあります。結果、なりすましや不正利用が増えています。海外でも同様の課題があります。ここでイノベーションを起こせればと思っています。
あと、個人的には「マイナンバーカード」という呼び名を変えた方がいいと思いますね。アナログに置き換えると「ハンコを持つと管理される」「ハンコがあるのは管理社会だ」という誤解が今もあります。ちなみに、マイナンバーで個人情報が一元管理される、というのも誤解なので、二重の誤解です。

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