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侍ジャパンは最高の「心理的安全性」の教科書だ
東洋経済オンライン
花田 友歌NTT Ltd/日本電信電話株式会社(NTT) 報酬・評価制度スペシャリスト
チームの目標が明確であることが企業でも重要なのは、疑いの余地がないだろう。ただしその「明確」な状態とは、最上位の目標が、解釈のズレの余地なく、その意義とともにトップから示され、それにメンバーがコミットできているかどうか、が極めて重要になる。 人が何かにコミットするときには大きく2種類のモチベーションがある。外的動機と内的動機だ。外的動機とは、それを行ったときに得られる報酬や評価、名声など、自分の外に起因するものだ。対して内的動機が強い状態とは、それを行うことそのものに価値を感じられる状態、例えば成長意欲や知的好奇心、あるいは社会的意義への共感など、自分の内に起因する動機が強い状態だ。 WBC日本代表のメンバーにとって世界一を目指すことは、もちろん外的動機も大いに伴うものだろうが、それ以上に強い内的動機を選手たちから引き出すことに、栗山監督は成功していたと私は考える。外的動機が強い場合、失敗は報酬や評価を失うことに直結しやすいため、失敗を恐れリスクテイクに消極的になるが、内的動機が強い状態ではその恐れがないので、リスクをとって目標達成のために必要な行動を取りやすい。また、失敗してもそれによって得られる改善や成長の側面に着目しやすいため、ネガティブな精神状態を引きずりにくい。 企業においてもこのように外的動機より内的動機の強い人は、納得できる最上位目標に対して自分が何をすべきかを自発的に考え行動することができる。ただしそのためにはトップが従業員の内的動機を引き出すような方法で目標を伝達しなければならない。また、目標が明確であってもトップの方針や組織の風土としてリスク許容度が低い場合は、先述のようにネガティブな外的動機が強くなるため、目標達成のための行動が取りにくくなることに注意が必要だ。 栗山監督とダルビッシュ選手という2人の対話型リーダーの存在に記事が言及している通り、マネジメントがどのような姿勢でチームと向き合うかによって、結果は大きく変わるだろう。 唯一WBC日本代表が一般的な企業と決定的に違うのは、期間限定のプロジェクトでありわずか2週間の大会期間で全ての結果が決まることだ。それに対して企業は継続的に利益を生み出すことが前提で、その間にメンバーは入れ替わっていく。常時変わり続ける組織に対して、毎年意義のある目標を提示し続けるのは簡単ではない。
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【必修】4つの視点でわかる「日本の男女格差」のイマ
NewsPicks for WE
花田 友歌NTT Ltd/日本電信電話株式会社(NTT) 報酬・評価制度スペシャリスト
「バリバリとキャリアを積む」という価値観がもはや時代遅れと感じる。そもそも何をもって「バリバリ」なのか。長時間仕事にコミットすることなのか?高い職位に就き大きな責任を負うことなのか?それとも専門性を高めることなのか?はたまた、分野の違う専門性を掛け合わせて新しい価値を生み出すことなのか? 平成中期くらいまでは前者のふたつをキャリアの模範とする見方が多かったように思う。しかし長引く日本経済の低迷とGAFAの台頭に並行するように、平成の終わりあたりからは特に後者のようなキャリアのあり方への認知が高まり、女性の社会進出が進み、1社で定年まで勤め上げる終身雇用の限界が言われるようになった。これらの潮流は全て相互にリンクしている。 終身雇用は企業側にとってだけでなく、働く側にとってももはや最適解ではなくなった。安定と引き換えに異動を受け入れて職務の選択権を手離すキャリアのあり方は、やりがいの面では当然に低くなる。子どもを持った女性は(男性も)働く意義を問い直し、子どもを持つ前よりも仕事にやりがいを求めるようになる場合があることを合わせて述べておきたい。また変化の激しく予測の難しい社会においてひとつの組織(同質性の高い組織の場合はなおさら)にのみ属し続けることは、最先端の知識を得たり独自の専門性を獲得する上ではむしろデメリットになった。それよりも他企業、異業種、地域コミュニティや学び直しなどを通じて多様性の高いネットワークを独自に持ち、外部の知見と自分の経験を組み合わせて新しい知を生み出せることが、人材としての価値に繋がる。 このことは、ケア責任を負うことにより否応なく”外界”と繋がったり異なる世代と密に関わる人(主に女性)にとっては朗報だ。 ただしひとつだけ考え方のアップデートが必要だ。それは時間を労働によって毎月換金する発想から、投資して中長期でリターンを得る発想に転換することだ。この発想に立てば長時間労働は自ずとあり得なくなる。労働に時間を取られれば投資の元手を失うからだ。労働は働いた分だけしか賃金にならないが、投資の発想に立てば、少ない元手でも積み立てて中長期で大きな価値に繋げられる。会社を辞める必要もない。これをバリキャリと呼ぶか?はもはや意味のない問いだ。ケア責任を担う女性たちこそ発想転換し、細切れの時間から大きな価値を作り出し、時代の潮流を作っていこう。
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管理職「なりたくない6割」時代の背景 出世より「持続可能な働き方」の価値観に変化
AERA dot. (アエラドット)
花田 友歌NTT Ltd/日本電信電話株式会社(NTT) 報酬・評価制度スペシャリスト
管理職になりたいかどうか、という問い自体がもう賞味期限切れだ。 1人では成し遂げられないことがあるからチームで、組織で仕事をする。まず重要なことはどんなミッションに取り組むかであって、そのチームを率いる立場になりたいかどうかというのは本質的な話ではない。組織の立場からは、まずポジションありきで適任と思われる人にオファーをすれば良いだけのことだ。もしくは条件を明示して内外から募れば良い。小さな組織なら話はシンプルだ(ただし適任者を探すのは難しいが)。 大きな組織が複雑になるのは、人事それ自体が目的化してしまうからだ。何のための昇格や異動なのか。みんなが定年まで勤め上げる前提なら”従業員のキャリア形成”を会社が考えてあげる必要性も理解しないでもないが、そんな時代はとうに終わっている。ポジションが空かないのに昇格させる意味は本来ない。成果の出ているチームはそのまま続投させればよく、成果の出ていないチームは管理職を含めメンバーを入れ替え、新しい人に任せる。そのときに「あなたは管理職になる気があるか」なんて持って回った聞き方をしないで、ストレートに「あなたにこのポジションをお願いしたい」と言えばいいだけだ。断っても悪いようにはしない、という心理的安全を守った上で。
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京都が育てる「食える芸術家」、異色のアートフェアが狙う日本の巻き返し策 中国・韓国など、国策アート振興への対抗に必要な「起業家意識」
JBpress(日本ビジネスプレス) JBpress 最新記事
花田 友歌NTT Ltd/日本電信電話株式会社(NTT) 報酬・評価制度スペシャリスト
母校である京都芸術大学の卒業制作展から発展した、作家が自分の作品を直接販売するアートフェア。素晴らしい取り組み。ぜひ規模を広げて長く続いていってほしい。 海外との比較よりも、そもそも日本の中で芸術の地位が低すぎることに危機感を抱いている。自国にも高い価値を認められている作品や伝統工芸が多くありながら、それらの価値も教えられていない。アート=西洋絵画のイメージが付き纏うのは、日本の美術教育がそれらを中心に据えているからだ。STEAM教育の”A”にリベラルアーツや道徳といった広義の解釈を加える前に、まず美術教育そのものを見直すべきだ。 芸術がお高く止まりすぎている側面も否めない。一部の富裕層コレクターが高値で買うもの、というイメージを払拭するためにも、もっと手の届く価格で流通する機会を増やすべきだ。そういった目的にもこういうフェアが貢献してくれることを期待したい。 なお日本のアートマーケットに関しては、日本の矮小な住宅事情も考慮しないわけにはいかない。平置きが前提となる造形芸術は日本の都心のマンションの一室には到底置けないし、壁掛けが可能な絵画や写真ですらもスペースは極めて限られている。アーティスト側もひとたび「売る」となればこのことを意識しておく必要がある。もちろん、その制約によって創作の営みそのものが小ぢんまりとしてしまわないように留意しながらではあるが。
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入社後のキャリア自律へ 企業は多様な採用手法を模索
日本経済新聞
花田 友歌NTT Ltd/日本電信電話株式会社(NTT) 報酬・評価制度スペシャリスト
「キャリア自律」を企業が課題と捉えているのは不思議な話だ。進学先も就職先もそれぞれが当たり前に自律的に選んできたはずなのに、就職した途端に”自律的”でなくなるのはなぜなのか?理由はたったひとつで、企業が本人の希望と異なる配置をするからだ。 終身雇用の前提のもとでは、定年までの雇用を保障する代わりにこちらの都合を聞いてくれ、という形でのトレードオフが成立した。しかしローテーション人事は突き詰めれば会社都合を従業員に押し付けていることに他ならない。「あなたのキャリアの幅を広げるためだ」などと体のいい説明をしたところで、それは従業員の自律的なキャリア形成機会を奪うことの裏返しである。会社都合を受け入れながらなお自律的であれというのは矛盾を孕んでおり、自律的な人から順に転職していく結果になる。 従業員に真のキャリア自律を求めるなら、①異動・昇格は全て公募を基本とする ②成果が上がらない場合(特に管理職)のみ会社側でポジションを空けさせる③学び直し・兼業を推進する(サバティカル休暇や週4/週3勤務の導入)といった形で、本人の進みたい方向に進む後押しをするべきだ。入社間もない人材にはローテーションの意義も一定程度あるが、それも本人意向と全く無関係に行うべきではない。経営人材を育成する観点から経験させたいポジションがある場合も、そのようなキャリア意向がある人材にまず手を挙げさせた上でアサインするべきだ。 場当たり的なローテーション人事の中では、経営人材の育成もまた場当たり的になっているのが現実であり、日本企業のこの30年の一貫した課題だ。ローテーション人事をやめて挙手制を前提とした仕組みに作り変え、本人の希望に沿ったアサインメントを行いながらキャリアアップできる道を開くべきだ。
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