Picks
169フォロー
1070フォロワー


外国企業も投資望む日本に 国際供給網再編の課題
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
経済教室です.国産品需要の増加,円安,自動化による内製化やサプライチェーンの見直しなどを背景にした日本製造業における生産拠点の国内回帰について,学習院大の椋先生があるべき方向性を示唆する寄稿を行っています.
メインメッセージは,『サプライチェーン複線化や強靭化,緊急時の安全弁としてのみ国内生産拠点整備を進めるべきではなく,質が高く国際競争力を有した製品を供給する体制を国内で整え,国内供給に加えて輸出を通じた国内外企業との密な取引関係構築が国内拠点を軸とした安定的な供給網の構築につながる』でしょう.
とても納得のいく話で,輸送を考えても安全弁としてのみ考えているだけでは非常時に機能しない(または手配できない)事態は,コロナ禍前からも(国際輸送だけでなく国内輸送でも)何度も見られてきました.
私は,非常時だけでなく平常時も考えて物流体制を構築する(そうでないと民間ベースの選択肢がなくなる)ことが重要だと考えておりますので,非常に腹落ちしました.また,記事で書かれていた輸出の促進は,日本の物流拠点整備の観点からもとても意義のあることです.
椋先生はほかに直接投資を呼び込むことにも意義があるとの話もされております.この点もとても納得のいく話でした.
MSCとマースク、提携解消へ。25年から単独運航
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
コンテナ船のトップ船社,MSC(スイス,イタリア系)とマースク(デンマーク)は2025年1月末で契約を終了することで両社が合意したことを発表しました.2014年の合意,15年からの船腹共有協定を経て10年で閉幕することがわかりました.記事にもある通り,アライアンス解消のうわさはありましたが,それが確認された形です.MSCが船腹を拡大し,29年ぶりにコンテナ船のトップ企業交代を実現する一方,マースクは物流企業へのシフトを進めており,両者の戦略の違いがこのような形となって表れたのかもしれません.
25年以降は両社は単独運航に移行するとのことです.両者ともに規模は十分に大きく,単独でもTHEアライアンスに匹敵するため,単独運航を維持するのは難しくないです.が,2024年には欧州委員会によるコンソーシアムの競争法適用除外の更新がありますし,3大アライアンス体制にも何らか変化があるかもしれません.2010年代の業界再編も2Mの結成が一つの契機となりました.
Maersk og MSC opsiger 2M-alliancen
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
デンマークのコンテナ船社マースクと,スイスのMSCが現在組んでいるアライアンス"2M"の協定が,更新されないことが発表されました.マースクの発表は以下にあります.たぶん,業界紙などでも報道が出ると思います.
https://twitter.com/Maersk/status/1618176153424121859
以前の報道では,協定解消のうわさを否定していましたが,2015年からの10年にわたるスペース共有契約の更新を決める期限が近付くなか,この決定に至ったようです.
私事ながら,コンテナ輸送に関する本の校正確認をした後にこのニュースを見て,書き直し発生だ…と頭を抱えています.
【2023年1月】国際物流の市況と見通しレポート(拓殖大学松田教授執筆)
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
ニュース,というのはちょっとあれかもしれませんが,コンテナ海運市況についてレポートを書きました.日本ではあまり出てこない大西洋航路の話も含め,コンテナ市況について割と広範にまとめたのが特徴です.
スポット運賃はコロナ禍以前の水準まで戻ってきました.そんな中でコンテナ海運市場の現状について概観するのにご活用いただければ幸甚です.
追伸(NPの方,宣伝やばかったらご指摘ください,消しますので):近日,コンテナに関して以下の本が出ることになりました.(3月発売の方が校正終わっておりませんが・・・頑張ります)
もしよろしかったら,手に取ってご笑覧いただけましたら幸甚です.
幡野武彦・松田琢磨『日の丸コンテナ会社ONEはなぜ成功したか? 』 (日経BP) 2月上旬発売予定
松田琢磨『コンテナから読む世界経済 _ 経済の血液はこの「箱」が運んでいる!』(KADOKAWA) 3月発売予定
物流“2024年問題” 荷主側も効率化の取り組みを 国の検討会
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
経産省や国交省が進めている「持続可能な物流の実現に向けた検討会」検討会の中間報告についての記事です.検討会の資料を見ると,消費者,荷主の理解に加え,さらなる規制や罰則の強化についても言及がありますが,中間報告書ではそこまでは踏み込めていない感じです.
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001577850.pdf
報告書にある中では,着荷主(とくに小売り)の問題は重要だと思います.物流事業者と着荷主の間には契約関係はないものの,物流事業者の長時間の荷卸し待ちや、契約にない附帯作業等の物流における課題の原因となる場合が多いということです.
着荷主が荷物の到着をコーディネーションすることで解決できる問題もあるので,こちらへの働き掛けも必要です.
日本でも,コストコがやっているように着荷主がやってくる貨物の標準化や集約を図ることなどはヒントになるかもしれません.
関連では,以下の記事も参考になると思います.
https://www.lnews.jp/2023/01/p01001saizen.html
国際物流、新ルート確保へ 政府、安定輸送へ多元化
松田 琢磨拓殖大学商学部国際ビジネス学科 教授
複数の海運会社やフォワーダーを利用してリスクを回避するサプライチェーンの複線化は,供給の安定化のために良く行われています.しかしながら,複数ルートを持つときは定期的に維持しないで,突然移行するといろいろノウハウがなくて失敗するので,あらかじめ調査をしておいて知見を得ておこうというのが目的であるのでしょう.
図にあるルートをパッと見ただけでも今の時点ですでに多く指摘されている問題点があるので,そういったところを踏まえたうえで,サプライチェーンの強靭化に足る手掛かりが見つかればいいな,と思います.
一例として,ヨーロッパへ行く際の南回り中欧班列を挙げます.ロシアのウクライナ侵攻以来増加しているルートです.積み替えの回数が多いのと,カザフ国境で混雑すること,中国政府の補助金抜きにはコスト競争力がないことが挙げられます.また,そもそもコンテナ輸送をカバーしきれるほどのキャパシティがない点も指摘点でしょう.

NORMAL
投稿したコメント