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【動画解説】戦争史から、ウクライナの「今」を理解する
NewsPicks編集部
安東 翼東京大学経済学部 / NewsPicks Student Picker
「歴史は繰り返す」とよく言われますが、正確には「全く同じ歴史は繰り返されないが、歴史の構造は繰り返される」だと思います。 現在のパクス・アメリカーナの終焉は、その語源となった古代ローマの紀元前27年から200年余り続いたローマの平和(パクス・ローマーナ)の終焉と構造が似てるように感じます。 まず一つ目が「寛容さの喪失」。古代から大帝国を築き上げた国家は遍く寛容性を持っています。ローマは属州ごとに分割統治を行い各州の主体性を重んじていました。古代中東一帯を支配したアケメネス朝ペルシャ、中世イスラム世界を支配したアッバース朝も同様に他民族や州の自主性を重んじていました。 しかし、ローマはゲルマン民族の大移動による多文化への嫌悪感や、一神教のキリスト教の布教(ローマ土着の宗教は多神教)により寛容性を失っていきます。 これはアメリカが「世界の警察」として国際社会を良くするために奉仕するという利他的行動から、「アメリカファースト」という利己的行動に戦略行動が変化し、他国への寛容性を失いつつある現状と重なります。 二つ目は、「市民の主体性」が失われる事。古代アテネも同じくですが、安寧を築いていた国の没落時は格差の拡大による市民の分断、主体性の喪失があげられます。現代の民主主義の基礎を築き、理想の民主主義を実現していた古代アテネも、格差の拡大の後に現代で言うポピュリスト(デマーゴーグ)が出現し、衆愚政治に陥って国力を大きく削がれてしまいます。 このように、構造的には古代と現代でさえもかなり似ている風に思います。 古代ローマは、パクスローマーナ以後、各地で反乱や軍事政権が起こる軍人皇帝時代を経て、専制君主制と言われる皇帝の力が非常に大きい体制が採用され、滅亡までの間一定の安定性をもたらしました。 この10年あまり、世界の各地で絶えず内戦や軍事衝突といった小競り合いが起きています。今回のウクライナ・ロシア戦争はグローバル社会の分断と亀裂が顕在化したものでしょう。 古代ローマの歴史と同じ構造で推移するなら、中国やロシアといったリーダーの力が圧倒的に近い強権体制の国が今後力を持つことを示唆しているのかもしれません。
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プーチン大統領 ウクライナ東部で「特殊な軍事作戦を行う」と決断 バイデン米大統領「戦争を選択した」
FNNプライムオンライン
安東 翼東京大学経済学部 / NewsPicks Student Picker
ウクライナは日本から遠く対岸の火事としてあまり関心を持っていない人が多いと思います。しかし、ロシア、ウクライナ、NATOの構図は日本近海にも当てはまりうるものです。 今回の件で、大国のロシアが自分なりの大義名分を掲げてが隣国の中堅国であるウクライナに実際に侵攻しても、NATOやアメリカは実際の軍隊はほとんど動かさず、経済制裁も甘いものである事が証明されました。ロシアとエネルギー的結びつきが強い、ドイツはじめとするEUも弱気な融和的態度を取っています。 この構図を日本近海に当てはめると、もし大国の中国が大義名分を掲げて台湾や尖閣諸島に侵攻した際もNATOや国連、アメリカは本気で中堅国である台湾や日本の領土を守ってくれる保証はどこにも無いことが薄々露呈した事件でもあると思っています。EU諸国も経済的結びつきがロシアよりずっと強い中国に対して、より融和的態度しか取れないでしょう。日本の日米安保を前提にしすぎる安全保障政策の見直しが必須でしょう。 余談ですが、世界史を学んで強く感じるのは、【歴史は繰り返す】ことです。今回の米仏のプーチンに対する外交努力の失敗は、1938年のミュンヘン会談を彷彿とさせました。ミュンヘン会談とは、ヒトラーのチェコスロバキアの一部であるズデーテン地方の割譲を求め、英仏首相はこれ以上の領土要求を行わない事を条件に、ヒトラーの要求を全面的に認めた者です。英仏は、第一次世界大戦の反省からドイツに対して宥和政策を取っていました。 しかし、実際にヒトラーがミュンヘン協定を守ったのは半年間のみで、その後ヒトラーはチェコスロバキア・ポーランドに次々と侵攻し第二次世界大戦の引き金となりました。 我々西側諸国のリーダーが、この歴史から学ぶべき教訓は【独裁的政治体制を敷いている国家に対して、融和的態度を取ってはいけない】事ではないでしょうか。岸田総理も情報収集のみならず、より強い非難決議を取るべきだと思います。
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Z世代の6割「日本の未来に期待をしていない」…「自分が投票してもしなくても政治は変わらないと思う」とも回答
まいどなニュース
安東 翼東京大学経済学部 / NewsPicks Student Picker
>>「自分が投票してもしなくても政治は変わらないと思う」と56.9%の人が回答 このように若者が思うのは、自らの考えや意見が政治に反映されてない実感があるからでしょう。その根底にあるのは、代議制民主主義・間接選挙への不信ではないでしょうか。 一人一票で多数決で決まる現行の選挙のやり方では、政治家は生存戦略上、どうしても人口比の多い層の意見に受けるように公約を作りざるを得ません。いくら若者が日本の政治家や政治内容を批判しても、現在の状況が参加者(政治家や利権者)にとって最も安定的(ゲーム理論的にはナッシュ均衡)なので、変えるのは容易ではありません。 人の行動選択を無理やり変える事が難しい時、「仕組み」を見直してみるのも手だと思います。 現行の若者、少数派の意見が政治に反映されにくいのは、そもそも国民の意見の集約ルール、つまり現在の多数決による投票方式にかなりの改善余地があるのではないかという、問題提起です。 一人一票の多数決では、死票が多くなり少数派の意見が結果に反映されにくくなりますが、例えば「1票を分割」して自分の意見と近い候補者に0.5票、0.3票、0.2票と切り分ける方法を使えば、より柔軟に少数派の意見が結果に反映されやすくなるかもしれません。 実際にスロヴェニアの国政選挙では「ボルダルール」という1番支持する人に3点、2番手に2点、3番手に1点というように傾斜をつけてその合計点で当選者を決めるやり方が採用されたりしています。 僕は、日本の未来は決して明るくはないが、僕らの手でなんとかしていけばまだまだ立ち直れる、と信じています。 大事な事は、ただ不満や文句を垂れるのではなく、知識がなくてもダメなりにバカなりに青く社会の事や未来の事を考え続ける事だと思います。 ※多数決ルールについては、慶応の坂井豊貴教授の「多数決を疑う」(岩波新書)がオススメです。民主主義の根幹となる、投票(集約ルール)の仕組みについて学問的に書かれており、大変刺激を受けました。 ※最近読んだ、東大の宇野重規教授の「民主主義とは何か」(講談社現代新書)も、現在のポピュリズム化、中露初めとする独裁的指導者の権力拡大が進む世界の状況を前に、そもそも民主主義とは何かについて見つめ直せた意味で非常にためになりました。
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【座談会】Z世代流「与えられた人生」を最大化する知恵
NewsPicks編集部
安東 翼東京大学経済学部 / NewsPicks Student Picker
今回、Z世代の1人として話させていただきました。 今回の記事に関連して、世代間格差を語る上で最近感じているモヤモヤを二つほど。 ① 世代間の価値観の違いみたいな話では、「上の世代が彼らの価値観を若者世代に押し付けている」ような文脈で語られる事が多いです。 一方で、僕ら若者世代も知らず知らずのうちに、「親世代、祖父母世代に自分達の価値観を強要しない」ようにこれからより注意する必要があると思います。 今回の座談会の中でも少し議論になったのですが、例えば「嫁」「家内」という言葉を嫌う若者が増えてます。確かに自分も「女性=家の中」という漢字表現は良くないと感じますし、そのような表現を自分が使うのは控えるようにしようという意識は強く持っています。 しかし、「嫁という言葉を使うな」と親世代・祖父母世代に対しても若者が言い出すのはどうでしょうか。きっと多くの人が、何十年間も自然に違和感なく使い続けてきた日本語です。もし上の世代の夫婦双方がその呼び方に嫌悪感なく自然に使っているのであれば、それはそれでありで、僕らが口出しする事ではないようにも思います。 このように、「若者世代の価値観を上の親世代・祖父母世代に強要しない」というのも僕らZ世代が世代間交流を深めようとする上では重要だと思います。 ② 最近特に周りで「Z世代として括られて語られるのが嫌だ」という声を聞きます。僕も「Z世代が好きな…」「Z世代はこう!」みたいな記事を見ると、ステレオタイプで語られるのは嫌だなぁって思います。 ただ、今回の文中にも書いたように、ある程度ステレオタイプがある事は悪いことだけじゃありません。 やはり世代によって育ってきた社会的要因も触れてきたメディアも常識も全然違います。ステレオタイプを通じて、ある程度世代ごとの「傾向」を知る事ができます。「ステレオタイプ=目の前の人」という決めつけ・強制はせずに、ただ「話の共通点、とっかかり」として使うのは大変有効だと思います。 「昔のあの世代はこうだったよ」「私は巷で言われてるのとは違うけど…」というように、上手にステレオタイプを使っていければ、世代間理解もより深まると思います。
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