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新NISA、投資信託積み立てで「一物二価」問題浮上 - 日本経済新聞
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
金融庁が以前指摘していた「一物多価」の問題は、同じ資産運用会社が運用する同じベンチマークに連動するインデックスファンドなのに信託報酬にばらつきが見られるというものでした。これは会社等を通じて給与天引きにより購入する投資信託(ミリオン)などで、古いファンドの設定当時の高い信託報酬がそのままになっていることで起きたものです。ミリオンは加入者が新しいファンドの信託報酬が安いのでそちらに変えるということができないようなサービスなので、資産運用会社やそれを販売する証券会社に、提供商品の品質管理(プロダクトガバナンス)の観点から、運用内容に即した手数料水準にすることを求めたものでした。
信託報酬は資産運用会社が決めるものですが、販売手数料は、資産運用会社が設定した上限以下であれば販売会社が自由に決めることができます。記事にある「つみたて投資枠」と「成長投資枠」における販売手数料の「一物二価」の問題は、新NISAの準備の段階で各金融機関ともかなり悩まれていたように聞いておりますが、商品説明の対価といっても差別化は難しく、販売手数料はネット証券を中心に無料化が進み、また、インデックス型商品の拡大も相まって販売手数料の低下傾向は避けられないのではないかと思われます。個人的には商品に紐づいた収益に依存したビジネスモデルは限界を迎えており、資産運用アドバイスによる付加価値の提供を中心としたビジネスモデルへの変革は避けて通れない道なのではないかと考えております。
地域銀、モニタリング態勢整備 外貨建て保険販売で
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
金融庁のレポートを受けて、地域銀行が販売時の説明やアフターフォローの実施状況、解約や乗り換えの状況などのモニタリング態勢を整備しているとのことですが、何か表面的に起きていることをモニタリングしているようにしか見えないとの印象を受けたのは私だけでしょうか。
目標到達型の保険の解約が相次いだので目標額を105%から110%や115%に引き上げた例が紹介されていますが、中長期の保障もついた運用商品として販売しているはずの外貨建て保険で、5%利益が出ただけで解約してしまうような商品設計は果たして顧客のためになっているのか、それを110%、115%にすれば解決するのか、それこそ外貨定期預金で十分ではないかと思われます。目標到達型の商品自体を否定するつもりはありませんが、そもそもこの商品はどのような顧客の、どのようなニーズに対して提案すべきか、そもそものコンセプトがあったと思われますが、現場でそれがいつの間にか販売手数料獲得の材料になってしまっていないか、そういった根本的なところの振り返りが必要ではないかと思われます。
大手生保、iDeCoで資産形成支援 相談者増員や商品拡充
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
生命保険会社の強みは、保障性保険の提供を通じて得た強固な顧客基盤を活用して、記事にあるような「保障と資産形成の両面から顧客の一生涯に寄り添うサービスの提供」ができるポテンシャルを持っていることだと思います。保障性保険が飽和状態になる中、資産形成や老後の資産活用に活路を見出すというのは自然な流れかと思いますが、運用商品としては以前から貯蓄性の保険を取り扱っているものの、コストの高さと開示の不十分さを指摘する人も多く、iDeCoやNISAなどの税制メリットが活かせる投資信託をベースにしたアドバイス提供は顧客にも分かりやすいのではないかと思われます。
金融庁、外貨保険是正促す 多い短期解約 高い手数料
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
以前、大手信託銀行が「目標到達型」外貨建て保険の販売を停止するという記事がありました。この保険は、例えば円安が進み、解約手数料控除後の解約返戻金が当初設定した目標額に達すると円建て保険に変わり、為替リスクのない安定運用になるのですが、円建てでは利回りが低いため一旦利益確定させる人が多く、金融庁ではこれを短期解約が多いとして問題視したのではないかと思われます。
記事では、「保障や長期の資産運用を強調する商品性との乖離を問題視」とありますが、本来長期契約を意図した保険契約が短・中期的な運用商品のように扱われ、再度契約すると回転売買のようになりかねず、金融庁は以前のレポートでも「目標到達後に解約して再加入する場合、販売手数料等の二重負担が生じることを踏まえた販売のあり方を検討する必要がある」と警鐘を鳴らしておりました。
本来、目標到達後は円建ての安定運用を行う商品との触れ込みに対して、顧客、販売員とも当初の想定とは乖離した動きをするようであれば、設定した目標が顧客のライププラン等のニーズにマッチしたものだったか検証を行うなど、まさに今言われているプロダクトガバナンスを効かすことが必要ではないかと思われます。
未来はぐくむ研の伊藤氏「行動促す金融教育を」 - 日本経済新聞
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
金融リテラシーを定量的に計測しようと思うと、アンケート調査で、金利と債券価格の関係、金利とインフレ率の関係、分散投資の効果、積立投資の効果などに関する質問をして、その正答率と様々な属性(年齢層、投資経験の有無など)とを比較することが多いのですが、
知識を増やすことが金融経済教育のゴールではなく、得た知識をもとに実際の行動に結びつけることが重要との話は納得感がありました。
ある有識者の方から伺った話ですが、新NISAが始まったことによる投資への関心の高まりを受け、様々なセミナーが開催されているが、中には怪しいものも見受けられるそうです。金融経済教育により投資に踏み出すことも当然重要ですが、怪しいものを怪しいと思い、近づかない、騙されないという行動ができるようになることも併せて重要なことだと思いました。
生保、好決算も止まらぬ保障離れ 新NISAも逆風に
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
日本の生命保険の世帯加入率は9割程度となっており、以前より飽和状態にあると言われてきておりましたし、第3分野の医療保険なども日本の健康保険には高額療養費制度があるので、大きな病気をしても実質的な自己負担はさほどでもなく、医療保険は不要であると言っている人もよく見かけます。また、外貨建て一時払い保険については金融庁の視線があり売り難いこともあり、円金利が上昇傾向にある中で消去法的に円建て一時払い保険が伸びているのかと思われます。
こうした中、生命保険会社の優位性として、顧客のライフプランを踏まえた提案には一日の長があり、また、二世代、三世代と取引をしている顧客も多く抱えていると思われるので、保険という形態に拘らなければ、新NISAとの資金の取り合いではなく、新NISAを取り込みつつ、顧客の人生に寄り添うタイプの資産運用アドバイスの提供を行うようなビジネスモデル、実際には保障性商品と資産運用アドバイスのハイブリッドになると思われますが、こうしたビジネスモデルというのも選択肢にあるのではないかと思われます。
金融アドバイスの価値 - 日本経済新聞
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
以前金融庁のレポートにもありましたが、テーマ型投信のように、入り口で(比較的短期の)値上がり期待を抱かせるような売り方(アドバイス)をしていると、その後のフォローアップも儲かっているか否かに焦点が当たりがちで、結果として、利益確定売りや損切につながっている可能性があると思います。
最近、金融機関からゴールベースアプローチを導入したいという声がよく聞かれるようになってきております。記事にあるような投資家のコーチングといえるようなアドバイスが日本でも根付くかは、相場環境が良く金融機関の収益も良好なうちにビジネスモデルの変革ができるか、ここ1~2年が勝負ではないかと思っています。
政府、5年で1200万人に金融経済教育 推進機構4月設立
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
別の調査で、企業型DCにおける継続投資教育について、8割の事業主は実施したことがあると回答している一方、教育を受けたとする加入者は1割程度に過ぎないという結果のものがありました。事業主が行った教育が形式的なものとなっていなかったか、どの程度しっかりやったのかについてはわかりませんが、いずれにせよ、教育を行っても、加入者には受けたと認識されていない、伝わっていないということが結構な割合で起きているのではないかと思われます。
金融経済教育推進機構では、「金融経済教育を受けたと認識している人の割合」を20%にするとしておりますが、無関心層と言われる人もいる中、1200万人規模の人に金融経済教育を受けたと実感してもらうことは結構大変なことかと思われます。
金融アドバイス 顧客本位で - 日本経済新聞
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
金融庁が令和3年6月に公表した顧客意識調査結果において、「資産運用に関する知識がないから」、「購入・保有することに不安を感じるから」などの理由で資産運用を行っていない人に、「もし、あなたの立場に立ってアドバイスしてくれたり、手続きをサポートしてくれる人がいたら、リスク性金融商品を購入したいと思いますか」と聞いた質問がありました。
回答結果は、全体では25%が購入したいと答えたのに対して、20代では49%が、30代では39%が購入したいと答えており、資産形成層にアドバイスニーズが高いことが伺えます。これらの年代層は一般には投資資金が大きいとは言えず、金融機関側からすると対面でのアドバイスの対象になりにくいセグメントかと思われ、こうした層が資産運用に踏み出すための背中を押すのに認定アドバイザーの活用が期待できるのではないかと思われます。
野村、株高でも届かぬ最高益 リテール改革の行方は - 日本経済新聞
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
日本株売買手数料無料化をはじめ、投資信託もインデックスファンドを中心としたノーロード投信の増加等などにより販売手数料率は低下傾向にありますが、様々な情報が容易に入手できる環境においては、金融商品販売自体の付加価値の低下は避けて通れない道かと思います。
以前であれば投信が儲からなければ仕組み債へなど他の商品に流れていたものが、それも外貨建て保険とともに売りづらくなっており、販売手数料重視のビジネスモデルによる成長は見込めないというのはまさにその通りかと思います。こうした中、顧客が急増しているネット証券でさえ対面営業にも注力する動きが見られ、銀行や証券会社などの販売会社としては、富裕層も含め投資家へのアドバイスに活路を見出すほかはないものと思われ、個別の商品販売から資産運用アドバイスへの流れが今後加速していくものと思われます。
金融庁が警戒、地域銀の「仕組み貸出」増 利回り魅力も高リスク
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
一昨年は、地域銀行/証券子会社が販売していた仕組み債が問題視され、多くの金融機関で販売停止が相次ぎましたが、今回は地域銀行自身がリスクをとって、仕組み貸出を増やしているとのことです。
こうした取引自体は以前からあり、仕組み債に投資するのと類似の経済的効果ですが、記事にあるような時価評価が不要である点や中小企業向け貸出の実績になるといったことに加え、国債担保のため発行体(貸出先)の信用リスクがないというのが魅力かと思われます。内包するオプションがステップアップコーラブルなどであれば、顧客に販売していた株価連動型のような仕組み債と違い、(償還まで持てば)元本リスクはないものの、市場リスク管理の観点からの検討は必要になってくるものと思われます。
日本海信金、投信業務から撤退 経営資源を事業者支援へ
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
投資信託の営業推進に関する記事はよく見ますが、こういった投信業務からの撤退に関する記事は珍しく、約150人の顧客の解約に1年半かかり、その間もシステム費用は発生し続けるほか、顧客との折衝の苦労も多く販売推進に比べ3倍以上の労力がかかるといったリアルな話は大変参考になります。
金融庁では、「国民の資産形成に資するビジネスモデルの構築が難しいと判断する場合は、リテールビジネスから撤退し、他の分野に経営資源を集約することも選択肢の一つであろう。」としており、持続可能な経営モデル構築に向けた経営陣の英断があっての撤退かと思いますが、他のリテールビジネスへの影響の可能性がないとも言い切れず、現実的にはかなりの困難を伴うものであるということがよくわかりました。
三菱UFJ銀、電話営業部隊500人に拡大 東名阪地区で潜在層開拓
長澤 敏夫株式会社 日本資産運用基盤グループ - 主任研究員 主任研究員
顧客からの問い合わせへの対応を主に行うインバウンド型のコールセンターから、最近はコールセンター側から顧客にアプローチをして提案活動を行うアウトバウンド型が増えてきているとは聞いておりましたが、こうしたコールセンター業務においても「電話営業はコミュニケーションが重要で、地元トークや訛など親近感を持ってもらうことが大事」というのは非常に興味深いポイントだと思いました。
大手金融機関を中心に対面営業の軸足を富裕層顧客に移す一方、若年・資産形成層はネット系証券の一人勝ちともいわれる中、中間層、特に中高年層が保有する生活密着度の高い資金(老後資金等)への資産運用アドバイスニーズへの対応が、次の主戦場になると思っておりますが、地元トークや訛といったコミュニケーションはまさに地域金融機関の得意とするところであり、対面・電話による非対面問わず、地域金融機関が今後注力すべきセグメントになるのではないかと思われます。
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