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給与デジタル払い、開始見通せず=解禁1年弱、長引く業者審査
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役兼フューチャー経済・金融研究所長
ビジネスの可能性を広げる規制改革は、基本的に良い事だと感じます。
その上で、海外においてノンバンクのデジタルペイメントサービス経由の給与支払が伸びているケースは、実際には(東欧からの移民や出稼ぎ労働者の方々など)銀行口座開設が難しい方々を主なターゲットとするものが目立ちます。一方日本では、人口の10倍近い預貯金口座が存在するなど、既に銀行サービスが広く浸透しているという環境の違いがあります。
したがって日本では、ノンバンクのデジタルペイメントサービスが、(単なる「顧客囲い込み」の手段を超えて)銀行口座を超える利便性とネットワーク外部性を提供できるかが問われるだろうと思います。
日銀政策は「正常化すべき時」、財政への忖度不要-吉川東大名誉教授
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役兼フューチャー経済・金融研究所長
さすがは吉川先生、と感じました。
非伝統緩和、とりわけ長期金利への介入の副作用として、わかりやすい事象として市場機能や中銀財務の問題が挙げられることが多いですが、これらは(決して重要でないとは言いませんが)副次的な問題です。本質的に考えるべきは、財政規律への影響などを通じた資源配分への影響であり、不確実性に対処する手段としてのマクロ政策の柔軟性への影響です。このような、短期的には見えにくいが本質的な問題をズバリと指摘しておられることに感服しました。
また、「賃金と物価の好循環」という掛け声に対する冷静な見方も、さすがと思いました。
人口7割のドイツにGDPで抜かれた日本「世界4位で騒ぎ過ぎ」と語る人たちが分かっていないこと
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役兼フューチャー経済・金融研究所長
拝読致しました。実体験に照らしても、共感する所が多くございました。
・本当に円安は一時的と考える市場参加者が多数であれば、為替レートは直ちに円高方向の力が働く筈です。理論的に詰めて考えるほど、現在市場で形成されている為替レートを前提に考えざるを得ません。
・実際、IMFの各国の議決権を定める「クォータ」の計算式でも、(一部PPPも配慮はされてはいますが)基本的には市場為替レートに基づくGDPが主な決定要素とされています。
市場為替レートに基づくGDPが、国際機関のポスト取りなども含めた日本の様々なプレゼンスに影響を与えることは、リアリズムとして認めざるを得ません。その上で、では日本としてどういう価値を創っていけるかを考えていくことが必要と思います。
緩やかな円高・ドル安=日米金融政策に転機―24年の為替展望
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役兼フューチャー経済・金融研究所長
「市場が効率的であればさまざまな予想(期待)は瞬時に現在のプライスに織り込まれるはずであるので、市場の先行き予測は困難である」ことは経済学の入門編で誰もが学ぶことですが、(プロ野球等と同じく)「先行きの予想」を求めたがるメディアが多いことも仕方ないとは思います。
例えば物価であれば、ある程度の慣性効果が働きますし川上物価が上がればどの程度のタイムラグを置いて川下に波及するかといった分析も可能で、金融市場のプライスよりは多少は予測しやすいはずですが、それでもここ数年は世界中で予測を外しまくっているわけです。「市場の先行き予測」といったものは、ある程度距離を置いて冷静に見る姿勢が重要と思います。
「日銀は利上げ準備を」 IMFのコザック報道官
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役兼フューチャー経済・金融研究所長
私がIMFに勤務していた頃から、IMFの報道官は実際には相当慎重な受け答えを心掛けておられます。今回の事例も、質問側の"What is your advice for the BOJ on the best timing to raise its short-term interest rate?"(日銀が短期金利を引き上げるベストのタイミングについてのアドバイスは?)というかなりあからさまな引っ掛け質問に対し、”we believe that the bank of Japan should remain prepared to raise the short-term policy rate once it is clear that the inflation target will be durably achieved.”(インフレ目標の達成見通しが立った暁には短期金利を引き上げられるよう備えるべき)という、かなり慎重、かつ当たり前の答え方をしています。
IMFのスタッフがしばしば驚くのは、自分たちの日本に対する言及が、遠い日本の地で、時に相当切り取られ、予想外に大きく報道されるということでした。皆さん毎回苦笑しておられましたが。
今年10月の家計消費支出2.5%減少 8か月連続の減少
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役兼フューチャー経済・金融研究所長
賃金は遅行指標ですので、物価上昇局面で実質賃金が減少しやすいことは理屈の上でも当然ですし、最近の個人消費の弱さとも整合的と思います。
また、ここでの名目賃金上昇率はおおむね1%台と、春闘で喧伝されている賃上げ率などと比べてかなり低めです。これも、サンプルが大企業や輸出製造業に偏りがちな春闘の集計等に比べ、中小非製造業を含むトータルの数字は低いのは当然でしょう。
「賃金と物価の好循環」ですが、これも、賃金が上がればそれが新たなコスト要因として物価を押し上げるということですので、そうしたメカニズムに「好」というコトバを付すのは、あまり誠実ではないだろうと思います。実質賃金を中長期的に押し上げるのは結局は生産性の向上ですので、物価上昇自体が何かハピネスをもたらすような幻想を持たずに、イノベーションや構造改革に取り組んでいくことが大事と感じます。
異次元緩和導入で市場機能が急低下、YCCでマイナス幅が最大=日銀特別調査
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役兼フューチャー経済・金融研究所長
債券市場サーベイは、私が日銀におりました時に、市場参加者の多大なるご協力を得て開始致しました。長期債市場への中銀の介入が本質的に市場参加者にご負担をおかけするものである中、市場との対話のツールを拡充しないとオペレーションの継続が難しくなっていくだろうとの思いでした。
同時に、「市場機能の低下」は、「非伝統緩和」の副作用として各国で指摘されているもののあくまで一部であり、資源配分の非効率化や財政規律、政策の機動性・弾力性への制約や期待形成への影響など、検証すべき点は多岐にわたると思います。これらについてバランスの取れた検証が行われ、将来のマクロ政策の運営にとって有益なレビューが行われていくことを願っております。
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