Picks
3フォロー
1496フォロワー
昨年末の保有国債評価損は8.8兆円と日銀総裁、YCC修正で拡大
Bloomberg
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役兼フューチャー経済・金融研究所長
この議論はかなりテクニカルな内容を含んでおり、報道だけではなかなか分かりづらい面もあるように思います。ちょっと技術的で申し訳ありませんが、元調節担当の立場からコメントさせて頂きます。 中央銀行の調達の大半は短期の当座預金ですので、中央銀行による長期資産の買い入れは、「短期調達・長期運用による長短ミスマッチリスクを中銀B/S上に抱え込む」ことになります(だから異例の政策であるわけです)。 これを償却原価法で評価した場合、(総裁答弁の通り、)たしかに「期間損益」には直接には影響しにくいといえます。 真のリスクは、「先行きの不確実性に対処しなければならない」という、政策運営に関わる部分です。 例えば、30年物国債を買ったとして、今後30年間ゼロインフレが続き当座預金金利(政策金利)もゼロであれば、何も起こりません。しかし、先行き30年となれば、その間に、インフレ圧力が高まり、その対処として政策金利を引き上げざるを得なくなるケースも考えられます。この場合、「長短ミスマッチリスクの顕在化」という形で中銀収益が悪化することになります。 (より直截には、過剰流動性吸収のために中央銀行が国債をアウトライトで売却すれば、より見えやすい形で収益への影響が生じ得ますーこれは現実には考えにくいでしょうが。) 中央銀行収益を巡る議論はとかく複雑でわかりにくいのですが、報道も含め、より理解が深まっていくことを望みます。
101Picks
「日銀の全面降伏」不可避か-政策修正見越し、投資家は容赦ない圧力
Bloomberg.com
FRBの独立性は重要、気候変動への関与は不適切=パウエル議長
Reuters
日銀、保有国債に含み損8749億円 異次元緩和下で初めて
日本経済新聞
山岡 浩巳フューチャー株式会社 取締役兼フューチャー経済・金融研究所長
中央銀行界でも学界でも長年議論されてきた、複雑で難しい問題の「一端」に触れた記事と感じましたので、多少テクニカルですが敷衍させて頂きます。 報道にある保有国債単独での含み損は、マグニチュードとしては限界的かと思います。より本質的な問題として議論されてきたのは、中銀がB/Sを拡大させ長期債を保有に至る中で、中銀が物価安定確保のために必要な政策(負債サイドの中銀預金引上げや長期金利引上げ)を採れば自らに巨額の損失が生じ得るという問題かと思います。(一方、決済用現金の範囲内に長期債保有を抑えておけば、- 現金は無利子なので - 上記の問題は避けられます。) もちろん、中銀としては自らの損失には左右されずに物価の安定を追求すべきなのですが、現実の政治社会の中でそれを押し通せるかという問題に加え、そもそも中銀政策がそうしたインセンティブ問題に左右され得ると市場に捉えられること自体、政策の信認にとってマイナスではないか、等の議論です。 いずれにしても、この問題は日本がいずれ直面する訳ですので、課題を直視した議論が深化していくことを期待したいと思います。
202Picks
NORMAL