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タクシーも自治体も味方。NY発「ライドシェアのOEM」のVia
田中 謙太郎モビリティライター
「Via」の存在を知ったのは、2015年にシリコンバレーでモビリティに関するスタートアップ企業の取材をしたときのことだった。いまでは日本でもおなじみの「Uber」とピンクのヒゲの「Lyft」の一騎打ちになりつつあるが、当時はまだライドシェアのスタートアップは、百花繚乱という時期だった。
当時、「Via」はすでに子どもたちの送迎サービスなどにシステムを提供しており、独自ブランドでのスマホアプリを使ったライドシェアではなく、OEM事業にかじを切りつつ合った。アメリカでは、「Uber」がロビー活動に巨費を費やし、できあがった市場に「Lyft」がオルタナティブチョイスとして乗り込むという構図が固まりつつある中、Viaの選んだB2B/B2GにシステムをOEM提供するという道は、新しいマーケットとユーザー体験の創出につながっている。自前の技術だけに頼らず、周囲のエコシステムを形成して、世の中に必要とされる、意味のあるサービスを提供することこそが、これからの時代のビジネス構築につながる。Viaの取材は、そんなことを筆者に気づかせてくれた。
改札なしで事後発券。スイス発モビリティ決済スタートアップ
田中 謙太郎モビリティライター
欧州の中でも、テック好きの筆者としては、ついついドイツ贔屓になりがちだったのだが、スイスで列車に乗った際に目を開かせてくれたのがSBBモバイルのMaaSアプリだった。以来、スイス発の先進技術に目を向けるように心がけている。近年では、スイス・イノベーション (在日スイス大使館 スイス・ビジネス・ハブ 投資促進部)の取り組みもあって、日本にいながらにして、スイス当局が主催するオンライン・ミートアップに参加することもできる。新たなテックを探して、世界中を旅するのも悪くはないが、コロナの副次的な効果として、スイスに関していえば、手軽に最新テクノロジーの旗手たちにアクセスできるようになっている。山間の小国ながら、教育が行き渡っており、優れた人材の輩出元であると同時に、政府が教育機関を後押しして、半世紀以上前から産学交流が進んでいることもあって、近年、急速にイノベーション拠点として成長しつつある。同時に、地球環境問題への意識が高く、公共交通機関の利用推進についても、地域が一丸となって取り組んでおり、時間帯変動料金や多人数利用を促すグループ料金などの導入で、ピークシフトを推進してきた歴史がある。ゆえに料金システムの複雑さは、外国人は元より、地域住民にとっても難解だ。そうした課題を一挙に解決できる上に、投資を抑えて、利便性も高まるMaaSアプリは、市民に受け入れられて浸透しつつある。フェアテックの技術は、利用者と事業者の双方の負担を軽くする仕組みが備わっており、ステークホルダー全員が嬉しい仕組みが備わっている。数多のMaaSアプリや交通系アプリを利用してみたが、EUになって公共交通機関もシームレスになっている欧州においては、このフレキシブルな料金体系に事後課金するMaaSアプリは適していると言えるだろう。
【エストニア】モビリティ・イノベーターの宝庫となった理由
田中 謙太郎モビリティライター
電子立国として話題のエストニアは、実はモビリティ・スタートアップの宝庫でもある。ハンザ同盟に属した中世の美しい街並みとは裏腹に、旧ロシアとの緩衝地帯に位置しており、目立った産業もなく、EUに加盟して以降、男性はEU圏に出稼ぎに出てしまう。そんな風に原資も人も限られる国な上に、広い国土に130万人しか人口がいない。しかしながら、北欧らしく医療はほぼ無料で受けられるなど手厚い社会福祉を行き渡らせようと考えた結果、ICT基盤の拡充に投資を集中して行った。この国では、結婚と離婚と不動産売買以外、選挙までもが電子上で行うことができる。加えて、国をあげてエンジニアを育成し、ロシアからのサイバーテロを防御し、NATOのサイバーセキュリティセンターを誘致した。そんな電子立国だからこそ生まれたモビリティ・スタートアップであるスターシップは、その成り立ちからして個性的だ。モビリティ・スタートアップとしてのエストニアの側面を、現地取材に加えて、欧米で実施されている実証試験まで包括的にリポートしています。

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