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【独占】最先端の科学で、僕らは「若返る」
早野 元詞Keio University - Assistant Professor - Aging 研究者
Sinclair labのラボミーティングでは遅れてきた(笑)Davidが、自分の考える老化の未来などを30分ほど熱弁していました。Davidは若い頃、オーストラリアからアメリカへ老化研究を志してやってきた当初からSir2、エピゲノムに着目しています。1997~1998年 Guarente lab(MIT)で研究員として実施した研究を論文化してHarvardへ移り、20年経ってPoCが取れてきた様に思います。
アメリカの老化研究と産業は過去20年間という長い道のりが、周囲の民間企業、private fundなどに支えられており、日本の老化研究もどこまでしっかり行政、民間、大学、アントレプレナー、fundなどが連携できるかにかかっていると思います。
研究提案をDavidにするときに「その研究は世界を変えるのか」と、いつも言われていました。サイエンスに基づかない民間療法の横行にならないよう、老化というglobalな課題を解決できるようにいち研究者/アントレプレナーとして初心を忘れないで、多くのステークホルダーと連携していきたい。
【徹底調査】過熱する不老物質「NMN」の本当とウソ
早野 元詞Keio University - Assistant Professor - Aging 研究者
Sinclair labに留学していた時からNMNを使った研究を行い、ライフスパンに書かれているICEマウスにも投与を行っています。NMNは記事にあるように知財の関係から誰でも合成し、販売できる事から、どこが作ったNMNなのか、が大きく実験結果を左右します。さらにNMNの代謝産物がNAD+だけであり、必ずしも良い効果があるというわけではない。年齢、持病など、細やかなエビデンスに基づいた使い方をしましょう。保険が適用されて承認されていないものが多いため、老化を制御するには個人個人のサイエンスリテラシーをまず上げる必要があります。
ICEマウスに関してはNMNを投与した結果は載せていません。NMNがエピゲノムによる老化に効果があるかはまだまだ議論の余地があります。
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/808659v1
【直撃】次世代の遺伝子ツールは、「プラットフォーム」になる
早野 元詞Keio University - Assistant Professor - Aging 研究者
遺伝子編集技術は人の病気だけでなく、農業、水産、ペット産業など様々な領域への応用が期待されています。
ただし、
1. 狙った場所以外の遺伝子を編集してしまって毒性がある
2. 特定の臓器にだけ届ける技術に課題がある
3. 遺伝子を一度編集してしまった後にもう一度戻すことが容易ではない
4. 全ての細胞を編集することはできない
上記の理由から老化疾患の治療というよりは遺伝的疾患の治療、免疫、分泌経路への応用が現在の主流となっています。
健康寿命への応用はまだいくつかのステップが必要ですが、物凄い速度で技術確信が生まれていて、その周辺では信じられない金額のビジネスへと変貌しているところが日本のbiotech業界とのギャップがありますね。
どういうアプリケーションに使っていくかの戦略を知恵を出し合ってブオ~~~!!!ってな感じで、ジェットのように点火、推進しましょう。
【論文PICKS】髪を生やす。その役目を忘れる細胞たち
早野 元詞Keio University - Assistant Professor - Aging 研究者
日本の中曽根元総理が提唱して開始された日本が誇る国際研究ファンドであるHuman Frontier Science Program(HFSP)のフェローを獲得していた佐田さんのアイデンティティと老化のお話。
人も歳を取ると認知症になって、人の名前や自分のいる場所が分からなくなります。実はそういった認知症は人レベルではなく細胞の一つ一つで起こっていることが分かってきています。
心臓では心臓の細胞として、毛を生やす細胞は毛を生やす細胞としてのアイデンティティをお母さんのお腹の中で赤ちゃんとして作られる時に獲得します。しかし、加齢に伴ってそういった記憶が喪失されてアイデンティティクライシスが生じて、それが病気を引き起こしていると考えられてきています。
佐田さんの研究は皮膚だけでなく全身の老化にも繋がる大事な研究という位置づけと言えます。アイデンティティ・クライシスの理解はアルツハイマー病、心筋梗塞、糖尿病など様々な病気の治療法を切り開く可能性があり、ホットな領域を佐田さんのようないつも明るく研究者がやっているとほっとします。…ん?
国際ファンドHFSPは30年で28人のノーベル賞を輩出した類を見ない秀でた研究基金です。その方針は、応用性を顧みない挑戦的な研究です。しかしながら日本からの申請書件数が近年激減しており、ここにも日本のサイエンスレベルと若い研究者の創造、サポートに課題があることを示しています。
日本の未来をみんなで支えましょーっ!日本のサイエンス・クライシス!
【論文PICKS】あとは人間で試すだけ。不老薬の「最有力候補」
早野 元詞Keio University - Assistant Professor - Aging 研究者
ラパマイシン、犬、代謝、ケトン体などの研究で著名なマット・ケーベルライン博士のところへ留学されていた伊藤さんの記事。
マット・ケーベルライン博士はMITのレオナルド・P・グアレンテ博士のお弟子さんで、私の留学先だったHarvardのデイビット・シンクレアもレオナルド・P・グアレンテ博士のお弟子さんなので、伊藤さんとはある意味同じ流れを組む研究者仲間です。
伊藤さんのテーマにあるようにラパマイシンは最も老化に効果があることが証明されている薬ですが、「人での実証」「特許からのビジネスへの展開」に課題が残されています。
老化をビジネスにする際に現在注目されているのはペット産業で、人に使うほど厳しい規制がなく、また業界のニーズと市場性が高いことがあります。
また、特許に関してはアメリカresTORbioのようにラパマイシンを改良した新しい薬剤として開発を進めることでこれをクリアしようとする動きがあります。ただし、「老化」の薬ではFDAに承認してもらうことが出来ないので、何かの「疾患の薬」として人で試す必要があります。resTORbioの場合、パーキンソン病や呼吸器に照準を絞って開発を行っています。残念ながら先日、呼吸器に対する試験は基準をクリアできなかったようですが、老化の薬は人で使用する場合、「何の疾患の薬」として承認してもらうかが肝心なポイントになります。
その点、サプリメントは対象疾患がボヤ〜っとしてるので厳しくありませんが、効果も市場性もニーズもボヤ〜っとします笑。
NORMAL
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