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J&Jワクチンでも血栓報告 EUが調査、アストラ製の新症例も
堀向 健太東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医
アストラゼネカ社のワクチンによる血栓症の要因の一つとして、血小板第4因子(PF4)に対する免疫性血小板減少症をまれに発症させる可能性があると、4月9日のNEJMに報告されました。
▷Thrombotic Thrombocytopenia after ChAdOx1 nCov-19 Vaccination. N Engl J Med 2021.PMID: 33835769
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33835769/
機序からは、きわめて稀であろうことが予想されます。
実際には血栓症になるリスクは100万人中4人、死亡するリスクは100万人中1人とされています。
▷Oxford-AstraZeneca: One blood clot linked to Covid jab in Wales(BBCニュース)
https://www.bbc.com/news/uk-wales-56678499
もちろんイベントとしては大きなものであり、リスクとベネフィットを十分に確認する必要があるでしょう。死亡したのは18歳から79歳までで、そのうち3人は30歳未満だったとされています。
今回問題になっているJ&J社のワクチンは、アストラゼネカ社と同様にウイルスベクターワクチンです(先行したmRNAワクチンではありません)。現在は米国のみの使用ですが、すでに500万人に接種されています。
アストラゼネカ社のワクチンと同じような扱いになるかどうかは、今後の調査結果によると思われます。
「大阪、兵庫はすぐさま『緊急事態宣言』をうつべき」 8割おじさんが懸念する背筋の寒くなる大流行
堀向 健太東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医
エビデンス抜きで伝聞の内容を書くことは基本的にご法度なのですが、現在の大阪での流行は、これまでより年齢が若く、若くても重症化する率が高く、より早く悪化していると聞いています。
これから、その客観的なデータがそろってくると思われますが、その前に大阪の医療が苦しくなってくると予想されます。
西浦先生のお考えは行き過ぎのように見る向きもあるかもしれませんが、『現状のままであれば』予想のルートを通る可能性は十分にあるでしょう。
ワクチンの接種率がなかなかあがってこないことが、先行きの暗さを強調していて、気持ちも暗くなってきますね…
ファイザー、12-15歳にもコロナワクチン使用許可を-各国で申請へ
堀向 健太東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医
12〜15歳2,260人に対するファイザー社のワクチンは、100%の有効性を示したとされています。
小児や青年の新型コロナ症例が13.4%を占め、小児340万人以上が感染し、少なくとも279人が死亡していることから、AAP(米国小児科学会)はワクチンを進めていくことを示しています。
▷Pfizer, BioNTech report COVID-19 vaccine safe, highly effective in 12- to 15-year-olds
https://www.aappublications.org/news/2021/03/31/pfizer-covid19-vaccine-efficacy-adolescents-033121
そして世界的な傾向として、新型コロナに感染した子どもの占める率は高くなってきています。
ファイザー社とモデルナ社は、生後6か月から11歳までの子どもを対象にmRNAワクチンの臨床試験を実施しており、2021年後半から2022年初頭に開始される可能性があるとされています。
▷AAP helps pediatricians prepare to vaccinate children, adolescents against COVID-19
https://www.aappublications.org/news/2021/04/08/covid-vaccine-children-aap-guidance-040821
ふたつの視点があることを、Pediatrics誌のレビューでは示しています。
1つ目は、未成年者の接種開始に時間がかかりすぎるとワクチンの恩恵を不当に受けることができず、パンデミックへの対応が遅れる可能性があること。
2つ目は、未成年者の接種開始が早すぎると、過度なリスクにさらされる可能性が上がることです。
▷Mintz K,. Enrolling Minors in COVID-19 Vaccine Trials. Pediatrics 2021; 147.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33334920/
この2つの視点から、臨床試験の結果をふまえつつ推進していくというのが基本的な考え方になるでしょう。
“感染者の3割 精神や神経の後遺症か” 英オックスフォード大
堀向 健太東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医
この研究の試験デザインは、後ろ向きコホート研究に傾向スコアマッチングという手法を併用し、皮膚の感染症,尿路結石、骨折、肺塞栓症といった疾患と比較しています。
▷Taquet M. 6-month neurological and psychiatric outcomes in 236 379 survivors of COVID-19: a retrospective cohort study using electronic health records. The Lancet Psychiatry 2021.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2215036621000845
新型コロナウイルス感染症で、精神疾患をより多く発症させるかもしれないという先行研究は多くあります。しかし検討するテーマからもランダム化比較試験は困難です。
論文でも言及されていますが、この研究デザインでは、『関連性』を示すことしかできません。
さらに機序や因果関係を評価するためには、前向きコホート研究などを要するでしょう。
パルスオキシメーター品薄 各社増産へ コロナ感染拡大で需要増
堀向 健太東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医
パルスオキシメーターに関しては、1月に記事を公開させていただいています。
▷新型コロナが心配です。酸素濃度を測る器械を持っていた方がいいですか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/horimukaikenta/20210117-00218067/
新型コロナに感染した際に、自覚症状がない間に血液内の酸素濃度(酸素飽和度)が下がる、『Happy(Silent) hypoxemia』という状態がみられることがわかっています(※1)。
(※1) American journal of respiratory and critical care medicine 2020; 202:356-60.
さらに、スマートウォッチに備わっている心拍数の動きで、新型コロナに感染しているかどうかを検出できるかもしれないという報道もあります(※2) 。
(※2) Apple Watchが無症状のうちに新型コロナ感染が検出できるかもしれないとの研究報告
https://japanese.engadget.com/applewatch-covid19-may-detect-050500427.html
『酸素濃度を測る器械って、購入した方がいいでしょうか?』という質問に私は、『新型コロナに関係なく、自分自身の体を見つめ直すことはいいかもしれませんね』とお答えすることにしています。
米、ワクチン接種完了者は旅行可能に CDCが指針改定
堀向 健太東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医
mRNAワクチン2回接種後2週間の経過観察後の話ですね。
『旅行が自由にできる』とか『制限がなくなる』ではなく、旅行中のマスクや、2メートルの間隔をあけ手指消毒も必要であることが推奨されていますし、ワクチンを2回接種しても新型コロナの変異株に感染したり、拡散したりするリスクが高まることも注意喚起されています。
あと、あえて書いていないのかもですが、2回のワクチンを接種した場合も、米国へ戻るフライトに搭乗する3日前までのCOVID-19検査結果が陰性であること、もしくは過去3ヶ月以内に新型コロナから回復したことを証明する書類が必要という記載があります。
▷International Travel During COVID-19(CDC)
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/travelers/international-travel-during-covid19.html
とはいえ、ワクチンにより、制限がより少ない生活に戻っていける可能性があるとも言えます。
日本のワクチンは残念ながら遅れており、日本で作れないのかという言説も耳にします。もともと小規模のメーカーが多く十分な技術開発が難しいなど問題点が多いです(自前で製造できることは素晴らしいことですけれど…)。
最近、第一三共さんが、4種混合ワクチンの新工場で基準を満たせず製造を断念したという報道もありました。
▷第一三共 4種混合ワクチン「スクエアキッズ」の販売中止 損失補填で150億円サノフィに支払い
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=70894
ワクチンは国家戦略として行うべきという点があるのですが、基礎研究への研究費の投入が減っていることも遠因にあるでしょうね…
ファイザー製ワクチン、12─15歳に100%の効果 近く緊急使用申請
堀向 健太東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医
3月28日のNEJMには、生後6ヶ月から11歳4600人に対する検討もはじまったという記事がでています。
▷COVID-19 Vaccines: Pfizer-BioNTech Begins Testing in Children / Priority for Seafarers & Air Crew
https://www.jwatch.org/fw117656/2021/03/28/covid-19-vaccines-pfizer-biontech-begins-testing-children
山田先生のおっしゃるとおり、集団免疫の面からも、子どもたち自身を守るためにもワクチンの拡大は期待されます。
一方で、重症化は比較的少ない小児に対して新型コロナのワクチンをどのように導入していくかは議論していく必要もあるでしょう(個人的には必要だろうと考えていますが)。
▷JAMA Pediatr. 2021 Feb 1;175(2):125-126.
https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2770123
コロナワクチン“花粉症などアレルギーある人も接種可”厚労省
堀向 健太東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医
この点は、2ヶ月前に記事にさせていただきました。
『ワクチン アレルギー』で検索すると上位に表示されるかと思いますが、コロナワクチンとアレルギーに関してはいくつか記事を公開していますので、ご参考まで…
▷新型コロナのワクチンは、アレルギーの病気を持っていると接種できないの?
https://news.yahoo.co.jp/byline/horimukaikenta/20210124-00219162/
▷新型コロナワクチンでアレルギーを起こす物質といわれている『ポリエチレングリコール』ってなんですか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/horimukaikenta/20210313-00227214/
「空間除菌」の効果うたう根拠への「疑問」 専門家が論文を読むと?
堀向 健太東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医
エンベロープを持つウイルスは、人間の細胞膜に融合して体内に侵入します。
▷. コロナウイルスの細胞侵入機構
http://jsv.umin.jp/journal/v59-2pdf/virus59-2_215-222.pdf
ですので、エンベロープを破壊してウイルスを不活化する薬品は、人間の細胞膜も同時に傷めます。角層であれば、その傷害はすくなくなりますが、粘膜であれば別です。
つまり、空間除菌なる製品がウイルスを不活化する程度の濃度ならば、人間の粘膜を痛めますし、人間の粘膜を傷めない程度の量なのならば、ウイルスを不活化できないことになるというジレンマに陥る…そういうふうに理解しています。
ですので、空間除菌なる製品は信用はしていません。
「保護者と医療者の間に共通言語を」 「教えて!ドクター」が上手な医療のかかり方を発信するようになった理由
堀向 健太東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医
厚生労働省の第2回「上手な医療のかかり方アワード」の最優秀賞を受賞された「教えて!ドクタープロジェクト)」。
坂本先生を中心とした佐久チームとは、随分前から交流がありますが、坂本先生の穏やかなお人柄だけでなく、その行動力にはいつも驚かされます。
これから小児科医は大幅に減少していき高齢化していきます。否応なしに、受診が難しくなっていくでしょう。だからこそ、このような活動は、子どもたちや保護者さんを守っていくことに繋がります。
▷サイト(教えてドクター)
https://oshiete-dr.net/
▷スマホ用アプリ
https://oshiete-dr.net/apri/
このような情報が、市の事業で継続されて無料で公開されていることに、心底驚かされます。
ワクチン接種 第4波には効果限定的 筑波大グループがAIで試算
堀向 健太東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医
ワクチンに効果がないというわけではなく、接種率が高まるまでは至らないから、という趣旨ですね。
最近、リアルワールドでのmRNAワクチンの効果が相次いで報告されています。
▷Benenson S. BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine Effectiveness among Health Care Workers. New England Journal of Medicine 2021.
▷Daniel W. Early Evidence of the Effect of SARS-CoV-2 Vaccine at One Medical Center. New England Journal of Medicine 2021.
▷Dagan N, et al. BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Mass Vaccination Setting. New England Journal of Medicine 2021.
当面、接種率をあげるための方策を考えることが近道だろうと思います。
接種が進めば進むほど、ワクチンを接種したいという方が増えるだろうと予想できますし、そのような報告もあります。
▷BMJ 2021; 372 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.n837
今後、遅滞なく進んでくればと期待していますが、予定通りとは行かないのだろうとも思っています。
過去に新型コロナに感染した人はワクチンを接種すべきか?
堀向 健太東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医
このテーマに関しては、今後きかれることが増える点でしょう。
『過去に新型コロナに感染した人もmRNAワクチンを接種することで、より強い免疫を獲得することができ、副反応の頻度は増えるものの安全に接種が可能である、ということです。』
に集約できると思います。
このテーマは別のワクチンでもよく聞かれる話題で、たとえば『おたふく風邪(ムンプス)に、過去かかったことがあるかないかはっきりしないのですが、接種したほうが良いですか?』などです。
ムンプスは不顕性感染もある感染症ですので、『かかったかどうかわからないけれども、抗体は持っている』可能性がある感染症です。
この場合、抗体などの検査は一般的に不要で、接種でよいという考え方が主流でしょう。抗体を持っていなければ予防接種の効果があり、抗体を持っていてもブースター効果が期待できるからです。
また、今回の話はmRNAワクチンに関してですので、他の製造方法のワクチンではどうかは、これからの検討が必要なように思います。
東京都医師会が切実に訴える特効薬「イベルメクチン」使用 「変異ウイルスにも有効」
堀向 健太東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医
>変異ウイルスにも有効である可能性があるなら、エビデンスの確認に安閑としている余裕はあるまい。
と締めくくられていますが、さすがにこの記事は問題が大きいでしょう。
イベルメクチンに関しては、大規模ランダム化比較試験で効果が否定されてきています。
▷Effect of Ivermectin on Time to Resolution of Symptoms Among Adults With Mild COVID-19 A Randomized Clinical Trial
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2777389
もちろん今後、特定の条件下で効果が示される可能性はゼロではありませんが…
なぜ、科学的なアプローチを経ずしてこんなコメントがでてしまうのか、理解に苦しみます。

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