峯村 健司

今回の事件の構図は私が調査報道した2021年の個人情報不備事件と酷似しています。拙報道を受けて韓国のネイバーが運営するサーバーに保管していたすべての日本の利用者の画像と動画を日本に移すことを約束していました。ネイバーのクラウドとラインが分離していなかった可能性があります。

なんともショッキングな動画です。中国の「食の安全」の問題は私が北京特派員時代に取材した毒ギョーザ事件など枚挙の暇がありません。今回、放尿したとされる男性だけではなく撮影者も拘束されている点がポイントです。事件の背景と再発防止が急務です。

中国企業による海外の子会社を通じた先端半導体を入手するのを封じ込める狙いがあるようです。ただ米国がどれだけ本気で半導体を規制するのかは見極めが必要です。先日のワシントン訪問でバイデン政権関係者らと意見交換をしましたが、もっぱらの関心事は対中関係の修復でした。先日も民主党のシューマー院内総務らが訪中した際、米半導体大手マイクロンに対する中国の規制の緩和を求めているからです。日本企業が梯子を外されないように注意をする必要があります。

それにしても酷い会見でした。一部メディアが指名されないことに対して会見妨害のような行為をとっていましたが、そのようなことは日常茶飯事。私もLINEの個人情報保護問題をスクープした後の同社の謝罪会見で、幹部の目の前にガン詰めしていたにも関わらず完全に無視されました。そういう企業の体質を読者に見せることも重要な情報ですし、ジャーナリストとしてそれが不服だったら堂々とペンで闘えばいい。会見は記者の自己主張の場でもつるし上げの場でもありません。

想定よりも厳しい状況なのでしょう。許家印会長の資産は全盛期の95％減となっているようです。深圳の地元警察も同社に捜査に乗り出しておりこのままでは終わりそうにありません。

大統領選挙に与えるインパクトは小さくありません。バイデン政権が立て続けに攻勢を強めるトランプ氏の訴追の効果を相殺させるからです。ハンター氏はバイデン氏が副大統領だった2013年に一緒に訪中して中国国有企業系の投資会社の顧問にも就任しています。チャイナゲートなどが明るみになればバイデン氏にはダメージになります。