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病床確保「指定」、罰則が論点
日本経済新聞
山野辺 裕二福岡輝栄会病院 医療情報部長/形成外科部長
私が勤める病院の向かい側に消防署があり、窓から彼らが訓練に励んでいる姿がよく見られます。  常勤の消防署職員は、仮に出動がゼロだったとしても報酬が出ます。民間の病院はいわば消防団です。普段の仕事がなければ食べていけないのです。柔軟性が足りず潤沢とは言えない診療報酬制度下で、日常診療を行うために資源が最適化されています。  今回のコロナパンデミックのような有事に「病床を確保」といいますが、病床だけでなく、隔離可能な設備や人工呼吸器などの機器、医師や看護師他の人材も確保する必要があります。日常診療から転換するのは容易でなく、転換したとしても既存の医療需要があぶれるため受け皿が別途必要になります。  そうするより、普段から国や自治体が消防署のような医療機関を抱え、消防のように訓練しておけば良かったのです。既に国立や公立・その他公的医療機関は充分な量が存在しています。国や自治体が「無駄な」費用負担を圧縮するため、消防署員が行っているような有事対応の準備や訓練を怠り、日常診療で日銭を稼がせる体制にしていたツケが回ってきているのだと思います。  もちろん民間医療機関にも、公的保険制度下で運営している以上は、公益に貢献する一定の義務はあります。  国や自治体は、民間医療機関の「私権制限」を検討する前に、自分たちの指揮下にある、(普段は民業圧迫している)公的医療機関を、ドラスティックにコロナ対応に転換してみせて欲しいと思います。
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