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五輪開催のリスクと選手たちへの称賛 矛盾を抱えながら取材を続け、思いを記す<担当記者の視点>:東京新聞 TOKYO Web
東京新聞 TOKYO Web
下山 進ノンフィクション作家
オリンピック開幕の今日、朝刊各紙を読み比べた。  もっとも好感が持てたのは、この東京新聞の柔道・陸上担当の森合正範記者の記事だ。 テレビがニュース番組で五輪の中止・延期を訴えた後、スポーツコーナーに変わると選手の苦悩を伝えて「無事開催を祈っています」とアナウンサーかコメントする、その矛盾を冒頭に書いたあと,こう書く。 <新聞も同じだ。五輪開催のリスクを報じる隣のページに、代表選手を讃える記事が掲載された。違和感しかない。だが、私は批判をすることができない。相反する二つが心に、同居したまま、この1年を過ごしてきたからだ>  朝日や毎日に欠けていたのは、この視点。社説や一面の署名記事で五輪を批判しているが、じゃあ、あなたたちの責任をどう考えているのか、ということ書かれていない。  同じ紙面に、五輪のスポンサーがならんだ全面の広告があり、しっかり朝日と毎日も入っている。 かといって読売の一面に女性の編集委員の書いた「選手の勇気に敬意」の記事のように、自分の都合をおしつけてまったく自覚のない記事も読んでいてむかっぱらがたってくる。バッハが「日本国民に『世界の選手たちを支えてほしい』と嘆願した」と書き、IOC会長が開催国の国民にスポーツ選手への支持を求めるようなことで「いいのだろうか」「あまりにも口惜しい」「問われているのは私たちの信念なのかもしれない」。  はっ? 多くの読者がオフィシャルスポンサーである新聞社のあなたにそんなことを言われたくない、と思うだろう。  くだんの森合記者の原稿では、知人は飲食店を閉めざるを得ず、娘は大学に入学したが、一度もキャンパスには行っていないことを書き、一方、数度しか取材をしたことのない重量あげの三宅宏実が、五輪の舞台にたてる感謝を長文のメールで送ってきたことに触れる。 <きっと、何百人、何千人に報告しているのだろう。「おめでとう」とメールを送るとすぐに返信がきた。「今から練習に行ってきます!」>  森合記者は、<心は揺れ動き、行ったり来たり、この気持ちのママ、緊急自体宣言下の五輪が幕をあける>とし、矛盾の中で取材を続ける自分の気持ちも正直に書いていきたいと結んでいる。  会社のためでもなく、ソースのためのもなく、読者のために、自分が今いる場所の矛盾もさらしながら書く謙虚さ、そうした記事を人は読むのだと思う。
迫る:元俳優・高部知子さんの歩み(その1) 生きる、患者の苦しみと | 毎日新聞
毎日新聞
下山 進ノンフィクション作家
長い記事は難しい。 今日の毎日と読売は、期せずしてある人物の「その後」を追っている。 毎日は「きんちゃんとドーンと言ってみよう」で「めだかの兄弟」を歌って大ヒットした元俳優の高部知子。読売は、TBSがロシアの宇宙飛行船にのって宇宙飛行士を送り出した時、スタンドバイになり、宇宙には行けなかった菊地涼子。 毎日の記事は最初は面白いかと思って読んでいたが、途中から冗長に感じてしまった。離脱してしまう読者も多かったと思う。 読売のほうは、最後まで面白く読むことができた。 その違いは何かと考えてみたんだけど、毎日の記事のほうは、高部の話だけによりかかっているんですね。これだとこの記事の3分の1の長さならいいが、これだけ長いとどうしても冗長になってしまう。 しかし、読売のほうは、菊地だけではない。 たとえば、厳しい訓練のすえに、菊地が控えにまわることが告げられるシーンが書かれてある。  菊地は、TBSの幹部から、赤坂の料亭に、秋山と一緒に呼ばれ、その席で、「秋山に行ってもらう」と告げられる。頭が真っ白になった、という菊地の気持ちとともに、秋山にもそのときのことを聞いている。 「彼女は冷静で何も言わなかった。立場が逆だったら『何を基準に決めたのか』とか問い詰めていただろう」と秋山の視点からもそのシーンのことが描かれる。 ノンフィクションというのは、多面体の真実をいろんな角度からの証言で彫刻していくことです。その中で意外なドラマが発見され、その緊張感が、長い原稿でも読者を最後までひっぱっていくのだと思います。 毎日新聞の記事の筆者は、ストーリーという一面企画の編集長自らが執筆しています。読売は2016年入社の女性記者が執筆。おそらく編集者が、編集長自らが執筆したことでいなかったことも毎日の記事が弱くなってしまったことの原因にあるのでは、と思いました。 高部知子というネタがいいだけに、惜しい。 一面からジャンプしていく長尺の人物物は、もともと毎日新聞が「ストーリー」として日曜日に始めたものでした。 いっそうの工夫と研究を期待したいと、毎日新聞デジタルの購読者としては思います
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エーザイ・バイオジェンの認知症薬、FDAトップが承認過程の調査要請
Bloomberg.com
下山 進ノンフィクション作家
FDAはすでに87ページのドキュメントで承認のプロセスを明らかにしていますが、私が読むかぎり問題となるような部分はありませんでした。 ①統計と開発ふたつのグループが、真っ向から違う結論になったこと。 ②そのうえで、治療法のない病気について患者へ一刻も早く選択肢を届けるという意味での「迅速承認」が検討されたこと。 ③臨床のグループはこの「迅速承認」に賛成だったこと。 ④アミロイドβはふたつの治験ともに有意に減らしたこと。認知機能への臨床効果はひとつが22パーセント進行を遅らせたが、もうひとつの治験では差がなかったこと。 ⑤ 差がでた治験にあわせて、もう一方の治験も解釈するというやりかたはしなかったこと。 ⑥ それでも、全面的な承認とはせず、もう一本治験をかして臨床的効果を確かめ、それが確かめられなかったらば承認取り消しもある、としたこと。 が書かれています。 他の方の投稿で、あとづけの解釈で承認をさせるようなことはおかしい、とありましたが、だから条件付きとなったのです。 消費者グループがバックにある議員が調査を要求しそれにFDAが答えたかたちですが、調査をすればいいと思います。 報道では、そもそもアミロイド・カスケード・セオリー自体がおかしい、という旨の報道が増えていますが、アミロイドβが原因であることは間違いがありません。 そうでなければ、遺伝性アルツハイマー病のひとたちの突然変異がすべてアミロイドを過剰に産出する突然変異であることの説明がつかない。 また、2015年にはアイスランドのジーンバンクから、アルツハイマー病になりにくい家系の突然変異がみつかっており、これはアミロイドβが産出されにくくなるような突然変異でした。 こうした過去のエビデンスを持った研究のつみあげを無視して、製薬会社=悪というきめつけからくるような報道や論評は、何がそこに書いてないかを考える必要があります。
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