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【秘伝】利益率30%、元ソニー子会社を再生させた仕組み力
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
私自身、10年ほど前、材料(機能化学)メーカーを取材していた時、衝撃を受けたことがあります。
なんと、おむつ材料も中国に大量輸出されていたこと。
吸水性の高さなどはさることながら、肌に触れるので、Made in Japanのニーズが高かったからとか。
あまり知られていませんが、日本では自動車、ロボット(機械・製造装置)などと並び、「材料/素材」も輸出を支える一大産業です。(最近ではコンテンツ産業も躍進中)
ある面では「ローテク」の塊である材料の製造プロセスは、デジタル化と相性が悪いことがこれ幸いし、長い蓄積と(少ない予算)で何とか作り込むという、日本のやり方にマッチしたと理解しています。
ただし、今や昔。昨年、10年ぶりに取材を重ねてみたら、ディスプレイに使う「液晶」や「偏光板」といった材料などは、中国企業などにキャッチアップされ、撤退する、または大幅な事業再編が避けられない状況となっていました。
そんな厳しい環境でも、高いシェアを維持している企業は、やはり底知れぬ「営業マインド」がある。そのような仮説を深めています。
その1社がデクセリアルズです。
ちなみに新家社長に取材させていただいたところ、大変素朴で謙虚なお人柄の印象を受けました。営業利益率にして30%の到達した今、「ようやくスタートライン」に立てた段階だとか。
私の取材経験では、材料/素材系で1000億円~3000億点規模の中堅高収益企業は、技術系出身で、大言壮語を言わずに、どこまでも謙虚。「ニッチな事業をこなよく愛する」(?)方が多く、これは日本の良さだと思っています。
そのうえで、デクセリアルズもROICのようなファイナンスのほか、ガバナンス改革、本文では紹介できなかったものの人事改革など、経営の仕組みもアップデートしています。
このような事例が増えれば、日本の「黒子産業」は今後も発展していけると思っています。
【総括】シャープもついに大幅縮小、今こそ問う液晶の未来
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
10代の頃、ゲーム雑誌で、任天堂が携帯ゲーム機の液晶画面をシャープと共同開発したといった趣旨の記事を読んだのが、この分野に関心を持つきっかけ(?)でした(当時は記者になるとは思っていません)。
また、ガラケー全盛期に当時おそらく世界最先端であった高精細カラー液晶画面はシャープ製。私は同社のガラケーを使ってきました。
これとは別に、液晶テレビに普及していった2000年代の半ば。家電量販店に行けば、シャープ製よりも松下製や三菱電機製、ビクター製の方が、漆黒の画質表現の完成度が高い印象を持ちました。
でも、シャープ製テレビの品質が高い印象を受けたのは、液晶カンパニーを打ち出すブランディングがうまかったのではないか、学生なりにそう思いました。
(ちなみに、その後はシャープ製液晶テレビのコントラストも急速に向上していきます)
なお、有機EL(OLED)は日本が出遅れたと記しましたが、実際には世界で初めて市販化したのはソニーだったはず。2009年ごろ家電量販店でその商品を見ました(それほど売れてなさそうでした汗)。
それだけに、超高精細マイクロOLEDにおける躍進の可能性に着目しています。
最後に、今回は液晶にスポットを当てましたが、シャープを鴻海が買収した際、創業者は「シャープの苦戦の原因は液晶ではない。太陽電池だ」と明言したことをこちらで補足させていただきます。
【トップ直撃】「ワークス」製品を継いだ企業の「今」
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
JTC(我らニッポンの伝統的な大企業)、特にメーカーは事業部の力が強すぎる──。
コンサルを務めている友人がそう嘆いていました。
日本企業あるあるの「カスタム沼」には、「うちの会社は特殊だからね~」がまかり通ってしまうナゾの文化と、事業部ごとの特殊性が背景にあるそうです。
つまり、企業単位どころか、事業単位で業務プロセスがカスタマイズされていることになります汗
ちなみに「沼」とは、一度でも足を踏み入れたら最後、永遠に抜け出せなくなることを意味します。例えば、高級カメラレンズの良さを知ってしまった人が、さらに買い足したい誘惑から抜け出せなくなる「レンズ沼」といったフレーズがあります。
私自身は、金型産業を取材していた際に、かゆいところに手が届く国産設計ソフトが、標準を重視する欧州製ソフトに駆逐されていったことを目の当たりにした経験があります。
いくら便利でも、企業ごとに個別最適化(カスタマイゼーション)していては、「スタンダード」に最後は負ける...という教訓を学びました。
NewsPicks編集部では、内製の入稿システムを通じて記者自身が入稿と編集を行うため、自由自在に出来てしまいます。そうした良さを生かしつつも、フォーマットや文字数制限など制約を設けることも重要だと考えています。
ときに制約が創造性を生む点も踏まえて。
シャープ、液晶事業縮小へ 不振の堺工場、生産停止を視野
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
堺工場は、シャープの肝煎りの大型投資。ガラスなどのサプライヤーも同居する一貫生産が特徴だったかと思います。
時代も時代。2008年のリーマンショックで自動車産業が大打撃を受け、日本の産業を牽引する3種の神器として太陽電池、リチウムイオン電池と並ぶの液晶パネルでしたが、結果はご存知の通り...
話を戻すと、2010年代前半になるとシャープの経営不振の象徴になってしまいました。もっとも、シャープを買収した鴻海精密工業の創業者テリー・ゴーに言わせると、「シャープの不調の原因は液晶ではない。太陽光パネルだ」とか。
そんな経緯もありつつ、一度は鴻海の傘下で運営し、液晶の市況サイクルに合わせて黒字だったり、赤字だったり...そして、最近になってシャープが境工場の買い戻すことになりました(鴻海が持て余したのでしょうか)。
トヨタ時価総額60兆円、日本企業初 3週間で10兆円増
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
トヨタはHVもPHVもEVもFCVも水素エンジン車も全て開発リソースを割く全方位でやっています。
かつてはコングロマリットディスカウントのように、全方位ディスカウントがあったかのような印象もありました。
今は、不確実性が高い中であらゆる可能性を残しておく、またはHVのように稼げるラインアップを持ち、利益を原資に次世代のクルマ開発に充てていくサイクルが確立されている会社が注目されているのかもしれません。
ちなみにトヨタは昨秋に1000億円の自社株買いを発表しています。これは、想定上に利益水準が高まったので、それを原資に株主還元に充てたと解釈しています。
PBR対策、それも小手先の対策として自社株買いをする企業もある中で、利益と投資の正のサイクルを確立することを優先する。そのうえで利益の一部を株主還元することが本質だと考えています。
【直撃】フィグマCEO、生成AI時代はデザインが勝敗を決める
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
車輪の再発明──
これは、すでに存在している設計やデザインを別の人が一から作ることの無駄のことを意味します。もちろんご存じの方も多いでしょう。
2022年にフィグマを取材して以来、デザインについては門外漢であったことで苦労もしましたが、学びだらけでした。その一つが車輪の再発明をやめよ。
確かにその通りで、我々もデジタルベースのメディアなので、一回作ったコンテンツはコピペで再利用できる。全部でなくとも、図や一部の文章は再利用する。
この再利用率が3割程度であれば、読者にとってもむしろ復讐になる、作り手にとっては仕事が即終わるとウィン-ウィンだと仮定して今日に至っています。そして、この仮定は今も生きています。
日本はデジタル活用が弱いとよく言われますが、単にITツールを導入したり、プログラミングを学んだりする以前に、デジタルの世界は一度作れば複製無料(いわゆる限界費用ゼロ)であるという発想転換から始めるべきだと思っています。
そして、Figmaをはじめとするソフトはほぼ海外製がほとんど。DX赤字とも言われていますが、その現状の背景には、技術よりも、「本当に価値を生むもの以外はコピペするくらい割り切る」くらいの仕事の発想転換が不十分だからだと思っています。
余談ですが、日本代表の川延さんのよれば、フィグマ日本法人の役割として、日本独自の「稟議」というプロセスを攻略しないとならない。こうしたJTCの慣習について改めて気づきを得たのも印象的です。
【続・北尾】だから僕は「金融の次は半導体」に決めた
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
好況よし、不況さらによし──。
インタビューで北尾さんが言及された松下幸之助翁の金言。私も幸之助語録で一番好きです。
不況時こそ、自社の課題を見つめ直す機会であるというある意味で発送のコペルニクス的転回です。
個人にとっても、うまくいってない時、または失敗したときこそ、謙虚になって反省して、それを受け入れるという意味では当てはまるのではないでしょうか。
ちなみに、駆け出し時代、ある中古機械業者が、「うちは投資が下手な会社で成り立っている。好況時に設備投資をして、投資が終わった時にはすでに不況。投資時の負債を返すため、せっかく買った機械を売りに売りにくる。逆に、好況時に投資を我慢して、不況になってからその機械を買う企業もある」と、赤裸々に語っていたことを今でも覚えています。
そう考えると、好況時に浮かれないことを含めて、「不況さらによし」となる。個人にとっても大変示唆に富むのため、頭に刻むようにしています。
インタビューとあまり関係のないコメントですみません笑
【ブーム→危機】「定員割れ」マラソンの再生に必要なこと
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
晩秋の富士を車窓から眺め、「今年はよき1年だった」と。
それは10年ほど前、11月後半開催の神戸マラソンからの帰りの東海道新幹線でのこと。
「目標はサブスリー(3時間切り)。未達なら坊主」とかなんとかをランニング仲間に宣言して挑んだところ、本人も「まさか」の達成してしまいました。
達成が現実的になった35km以降は、「足がもげてでも走り切る。ようやくつかんだチャンスなんだ(スラムダンクの一節的)」と無駄に意気込んでいました笑
私にとってマラソンは第二の青春です。
「そこまでマラソンにハマるのは人生の無駄」とよく言われました。それは経済合理性からすれば「もっとも」なこと。
なので、反論することはあまりありませんでした。とはいえ、人生100年時代に、経済合理性とは真逆な趣味に命をかけることも悪くない。「たった一度の人生なのだから」とも思っています。
ちなみに、マラソンでの出会いから、その後の仕事で恩恵を受けたことが大いにあります。「ガチランナー」は何でも本気。なのでビジネスの一線にいる人多し。
もっと言うと、年に1、2回しかない本命レースで結果を出すことで、「絶対に負けられない」場面でのプレッシャーにも強くなりました。
人生、楽しみも苦しさもやりがいもいろいろ、です。
【教養】なぜ優れたビジネスは「引き算」されているのか
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
変化対応力が求められる時代とされています。しかしながら、「根なし」(?)の変化一辺倒でも限界があると思っています。
その原点は記者の駆け出し時代。ある中小企業を取材したところ、社長が興奮気味に「自動車産業はこれまでとは劇的に異なる」と話していました。
その会社は、家電のプラスチック部品を主に手がけてきました。家電生産の国内空洞化を受けて、新たに自動車部品に参入したとのこと。
家電部品は一気に作っては生産が終わり、また新しい部品を一気に作るの繰り返し。一方、自動車部品は一定量を作り続ける。別の文化と呼べるほどの違いだそうです。
同様の経験を繊維産業の取材でもしました。
ある企業の社長が、自動車シート部品の縫製に進出したところ、アパレルならではの瞬間的に大量発注が来てはまた別の発注に変わるのに対し、車では同じ部品を作り続けるのを目の当たりにしたとのこと。
「だから、自動車産業ではカイゼン活動ができるのか」と話していました。
ちなみに、当時の所属は群馬県。群馬県桐生市は西の西陣(京都)、東の桐生と呼ばれ、大正時代のGNPの1割を担うほどの繊維産業の集積地。横浜港を通じて輸出していたので、横浜銀行の支店もあったほどです。
さてさて、私たちNP記者も狩猟民族的な時代変化(?)への対応が求められます。一方、農耕民族的(?)に、「コツコツ」と改善していくことも忘れないようにしたいと思う今日この頃です。
【復活へ】パナ社長が賭ける「値引きしない」家電の勝算
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
私には「B2Bの血が流れている」...と(勝手に)思っています。
これまでも、自動車部品加工に始まり、半導体製造材料や産業機械などのB2B領域の取材を主にやってきました。
社内でも、法人向けSaaSプロダクトを担当している他部署の人と話すと、むしろウマが会うこともしばしばあります。
電機業界を取材している中で、例外的に家電だけは「B2C」系の領域でした。
と、思っていたものの、実際には「B2C」ではなく「B2B2C」だとすぐに理解しました。つまり、直接の顧客は家電量販店のような流通系の企業であり、その先にユーザーがいるのでした。
私自身は家電の専門記者ではありませんが、家電メーカーの悩みは「じかにユーザーとつながっていない」ことだとたびたび認識させられました。
(もちろん、マイナーチェンジ地獄の中で、新製品の目玉機能が「左右のどちらからでも開閉できる」だとか「泡立ちがいい」だとかで、記事の見出しを立てるのに苦労したこともありました)
ちなみに、私自身は駆け出し時代に支局にいた時は、取材先の中小企業経営者が読者でもあったので、記事のフィードバックをじかにいただきました。それもあって、本社配属時代よりもモチベーション高く仕事していたのはここだけの話。
NewsPicksでも、コメントをはじめとするフィードバックがじかにあることが最大のモチベーションです。
ルネサストップがNewsPicksだけに語った1兆円級買収の狙い
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
KPIを「量」から「質」へ──。
3年前にCEOの柴田さんに取材した際、そのような社内変革についてもお聞きしました。
つまり、2018年ごろから受注金額の絶対額という量だけでなく、その顧客企業の将来の成長性などを踏まえた質を重視したとのことです。
といった内容を3年ほど前の記事にもコメントしました。
その後、テスラのトップ、マスク氏が「ルネサスの半導体の供給が足りていないので、自社のEV生産が引き上げられない」といった趣旨の「つぶやき」がありました。
もしかしたら、2018年時点では今のような成長を実現すると予測されていなかったテスラのような顧客企業を積極開拓したことを指していたのかもしれません。
ちなみに今回、どうしても外せなかったのがファイナンス。しかも、キャッシュフローという指標。ルネサスのような買収においても、企業再建においても、キャッシュフローが原点であると考えています。売上高や利益だけでは見えてこない、企業の底力を垣間見るきっかけになれば幸いです。
【野中郁次郎】誰も新たな「日本的経営」創造の担い手たれ
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
昨年、イチロー氏が、「叱ってくれる人がいない」ことが今の若い世代が逆に「酷」だという旨の話をしていたことが話題になりました。私自身、とても印象的で時々ふと思い起こします。
一方で、昭和から令和へタイムスリップし、コンプラ意識ゼロ、不適切発現のオンパレードを繰り広げるドラマが人気を博しているようです。
したがって、過去の昭和時代が良かったわけではないものの、「失われた何か」はあるのだろうなと思っています。
関連して、ずっと気になっていたことがあります。それは名著「知識創造論」の冒頭で、
不確実性の世界で生きてきたことが、日本企業に幸いし、変化を予測しながら、過去の成功体験を捨て去る潔さで未来を構想してきた。
と書かれているのです。
これまでも、
・昭和時代はハード中心で「作れば売れた」
・韓国や台湾、中国などのライバルが不在で、欧米企業だけ見て戦えばよかった
→つまり、今よりも貧しかろうとも、未来が見通しやすかった。
しかし、30年くらい前から、デジタル技術の誕生などによって「不確実性」の時代に入った
そして不確実性に弱い日本企業は競争力を失った
と耳にタコができるほど聞かされてきました。(皆さんもそう聞かされていると思います)
こうした一見「分かりやすい」前提が、実は「不正確」かもしれないということです。
そんな問題意識を持ちながら、あの野中郁次郎さんにお話を聞く機会をいただきました。
【復活の本質】ソニー改革は、脱「日本的経営」ではない
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
勝てば官軍、負ければ賊軍──
ソニーほど、業績に応じて叩かれたり、称賛されたりしてきた企業はないと思っています。もし東芝も再生したら、ジェットコースターのように評価が、下がってからまた上がるのでしょうか。
(このことわざは、昨年ヒットした「スラムダンク」の漫画で覚えました)
極端に例えると、「最近のソニーの復活は『鬼滅の刃」をはじめとするヒットがあったから」のような、もはやトートロジーのような解説もあり、ずっと気になっているところです。
そんな問題意識から、「再現性のある経済記事」というものを模索し続けています。
例えば、ファイナンスや人事といった制度改革の進展は、再現性が高いと思っています。ただし、あくまでも制度は手段。目的は何か、ということが重要だと学んできました。
わりと「PL経営」で5兆円のトヨタや、監督と執行の一体化ガバナンスとメンバーシップ型で売上1兆円アップのダイキン。
経営の道はいろいろです。今回は、割と世界標準を行くとみられているソニーの改革が、スタンダードにcomply(従う)のではなく、ソニーの不易流行に基づくものだとexplain(説明)してもらいました。
ちなみに安部さんには、2年近く前に取材した後、「良い時も厳しい意見を言ってほしい」と言われたことが印象的です。
なお書ききれなかったこととして、ソニーでは労組も変わりつつあるようです。組成率が下がる中、またはサーベイなど人事テックで経営側と従業員側でデータがつながれるようになる中、経営とは独立して社員の意見をまとめ上げ、経営側に提示する組織へと変革を目指しているようです。
【データ初公開】組織スコアが伸びたJTC15社ランキング
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
今回、惜しくも描き切れなかったテーマがあります。それが日本の伝統的な人事である「ガチャの功罪」。ガチャとは配属や人事が会社都合で行われること。要は人事ローテーションに他なりません。
例えば、新卒社員が評価する「チームワークに優れた日系大手企業ランキング」でも、ガチャがチームワークに一定の貢献している可能性が示唆されたからです。
https://www.openwork.jp/hatarakigai/vol_113
風通しが良いことは、部署間連携が活発でセクショナリズムの防止にも一役買っているかもしれません。例えばこのようなコメントがありました。
「ジョブローテーションが人事の基本指針で実際に2-5年のペースでローテーションが実施されるので部署間の異動が非常に多く、組織内の空気が業務・人間関係含めて滞留せず常に循環している。
ジョブローテーションを経て社内で接点を持つ人も増えることで会社に風通しの良い環境が形成されていっているようにも感じる。
デメリットとしてはモチベーション高く働ける上司・同僚も同様にいつか異動してしまう側面もある。(中略)各部門に於ける商売の知見蓄積の観点では課題を感じる」
このように、ポジティブな意見もありつつも、ネガティブな意見もあります。おそらく、風通しの良さに一役買いつつも、20代の成長環境などには負のインパクトを与えている印象です。
私自身、かつて「ガチャガチャ」なキャリアでした。
短期的には成長を犠牲にしつつ、培ってきた多様な経験はスティーブ・ジョブズが表現する「コネクティング・ドット」でいうと、長期的にはつながり、相乗効果をもたらしていると感じているので。
そうした仮説をベースに、今後知見を深めていきたいと思っている次第です。
【社長に訊く】1兆円成長した日本的企業は何が「違う」のか
平岡 乾NewsPicks ジャーナリスト
昔読んで印象深かった書籍に「How Google Works」があります。これはとても学びが多い書籍で、お勧めする一冊です。
ただし、あくまでも「天才・秀才による、天才・秀才のため組織づくり」です。「疑わしきは採用せず」(いくら優秀に見えても自社の価値観にフィットしそうにない人は採用するな)なるポリシーを貫けるのも、グーグル(当時)ならでは。
日本の企業のほとんどは、優秀な人材ばかりを集められるわけがありません。
ダイキンもその一社。かつては売上高3000億円台で、関西なら松下電器や(関西の拠点を数多く持つ)三菱電機などに「入社できなかった」人がダイキンで頑張るしかない。これまで何人もの方々とインタビューしてき他ところ、常々そういう風な「一致団結感(?)」感じます。
そんな今年100周年老舗が21世紀に入ってコロナ禍の混乱で爆成長し、「まさかの1兆円増収」をやってのけました。決算を見た時は「スタートアップかよ」のあきれるくらいに(笑)
ちなみに今回のインタビュー会場はダイキンの新本社大阪梅田ツインタワーズ・サウス内で実施。そこは大阪城をはじめ、大阪の街並みを一望できる「圧巻のビュー」。
30年前まで関西の一中堅企業が急成長を遂げ、関西トップ級企業に上り詰める様とこの眺めを重ね合わせ、「夢がある」と感じました。
同社のように、おそらく昭和の時代には、成長が次の成長へのモチベーションを産む正のスパイラルがあったはず。その空気がタイムカプセル、または生きた化石シーラカンスのように今も残しているのではないかと感じている次第です。
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