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mRNAワクチン「何百万人の命を救った」 ノーベル賞にカリコ氏ら
毎日新聞
木下 喬弘救急医/公衆衛生学修士/こびナビ(CoV-Navi)副代表
新型コロナワクチンは、ファイザー・ビオンテック社とモデルナ社の2社が圧倒的なシェアをとっています。 そのビオンテック社のカタリン・カリコ氏らがノーベル生理学・医学賞を受賞しました。 「mRNA」はタンパク質の設計図なわけですが、これを人体の中で自由自在に発現させることができれば、好きなタンパク質作りたい放題ということで、創薬の幅がものすごく広がります。 ただ、mRNAはちょっとツバが飛んだだけで容易に不活化してしまう非常に不安定なもので、「そんなことができたら苦労せんわい」とみんな思っていたわけです。 (たとえばファイザー・モデルナ共に低温の冷凍庫で保管することからも想像がつくと思います) カリコ氏は、このワクチンの基礎となる技術を発見した人です。 標的細胞内にそのままのmRNAを入れても炎症を起こしてタンパク質が発現しないものを、「シュードウリジン」といってちょっと修正したmRNAを投与することで、うまくヒトの免疫にボコボコにされる前にタンパク質を作ってくれる仕組みを確立した、という感じです。 もちろんカリコ氏一人の力でワクチンが実用化したわけではありません。 mRNAを標的細胞に届ける仕組みの開発、圧倒的な資金力とノウハウで小さな会社ビオンテックの発明を治験にのせたファイザー、ワクチンの確保に成功した政治家や官僚、現場で接種した医療従事者、実際に接種したみなさん…。 こうした多くの方々の取り組みが実を結び、特に日本では新型コロナウイルス感染症の被害が比較的小さく抑えられてきたのは紛れもない事実です。 しかし、それでも「カリコ氏がいなければ」もっと多くの人が命を落としていたことに疑いの余地はなく、極めて意義のある受賞だと思います。 本当におめでとうございます。
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男性へのHPVワクチン接種促進、区市町村の支援を検討 東京都議会代表質問
産経ニュース
木下 喬弘救急医/公衆衛生学修士/こびナビ(CoV-Navi)副代表
HPVワクチンは昔「子宮頸がんワクチン」と呼ばれていたため、「女性が打つもの」というイメージの方が多いと思います。 しかし、実際には「HPVの感染を防ぐワクチン」であり、男性接種にも大きな意義があります。 具体的には 1. 中咽頭がんや肛門がんなど男性も罹るがんのリスクを下げる 2. 尖圭コンジローマという性感染症を防ぐ 3. 男性自身が罹らないことで次のパートナーにHPVをうつさない という3つの理由があります。 特に中咽頭がんは意外と数が多い病気で、国によって異なりますが約半数でHPVの関与があると考えられています。 オーラルセックスなどを介してHPVが感染することが契機になると考えられており、男女共に異性間でも同性間でもうつります。 こうした理由から、アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリアなどの先進国では「HPVワクチンの男性接種」もすすめられていますが、日本では公費助成の対象が女性のみで、男性は自費での接種が必要です。 HPVワクチンは製造工程が複雑でコストが高く、更に公平な分配のために先進国は高い薬価を負担する仕組みになっているので、日本では男性が接種可能な4価ワクチンを3回うつと5-6万円かかります。 今回の東京都の発表は、これを負担できない家庭のために来年度以降都の予算で接種費用を肩代わりしますよという意味です。 私は2020年に一般社団法人HPVについての情報を広く発信する会を設立し、この問題に取り組んできました。 弊法人が先日都民ファーストの会に男性接種の意義をご説明してきたところですが、早速カタチになっており嬉しく思います。 昨年ようやく積極的接種勧奨が再開され、女性への9価HPVワクチンも公費補助の対象になりました。 「男性接種の補助」は残された最後のピースなので、これが実現するまで引き続き情報提供をして参ります。
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嘘をつく「動機がない」。疑惑の渦中で広津社長が語ったこと
NewsPicks編集部
木下 喬弘救急医/公衆衛生学修士/こびナビ(CoV-Navi)副代表
この広津氏の発言はかなり微妙なので解説します。 ある検査の結果が数値で示される場合「カットオフ値」を決めることができます。 この値より高ければ「がん」と判定する、逆にそれより低ければ「がんではない」と判定する、という数値のことです。 カットオフ値を決めれば感度と特異度という「検査に関する精度」を報告することができます。 HIROTSUバイオサイエンスは、検査の感度が86.3%、特異度が90.8%と報告しています。 これは「あるカットオフ値」に対する成績で、「そのカットオフ値を使う限り」有病率(検体の中で何%ががん患者か)によって変わりません。 つまり、100人に1人ががんの集団でも、10人全員ががんの集団でも、「同じカットオフ値で検査する以上」感度と特異度は変わらないので、がん患者の86%は正しくがんと診断できるはずです。 広津氏は「10人全員ががんの集団ではカットオフ値を変える必要がある」と説明していますね。 「カットオフ値を変えると感度と特異度も変わる」のは事実ですが「カットオフ値を変えずに検査したのならどんな集団でも感度と特異度は変わらない」のです。 つまり、事前にがん検体と知らされずに、カットオフ値を変えずに検査したのなら、10人全員がんの集団で検査しても感度は86%で特異度は91%でなければならないのです。 なお、感度が86%の検査で10人のがん検体を全て陰性と判定する確率は0.000000003%です。 そもそも実際の検査は1検体ずつ行うわけで、「集団の中のがん患者の割合」で毎回カットオフ値を変えることなど不可能だとわかると思います。 このように、広津氏の主張は極めて初歩的な診断学的誤りを含んでいます。
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【解説】公表資料からわかる「線虫がん検査」の不可解さ
NewsPicks編集部
木下 喬弘救急医/公衆衛生学修士/こびナビ(CoV-Navi)副代表
特集を通して思っていたのですが、私は医師ですが正直言って「非ブラインド検査」なる用語を知りませんでした。 「ある検査が何かの診断に役立つか」を調べるためには、結果を知らない状態で判断しないと意味がありません。 既にがんかどうかを知っている状態で行う検査に、一体なんの価値があるのでしょうか。 これは一般常識的にわかることだと思います。 「尿の希釈によって結果が変わる」というのも大きな問題で、多くの方が経験があると思いますが、たくさん水を飲むと薄い尿が出ます。 つまり希釈率を一定にしても、「尿本来の濃さ」は一定にならないはずです。 そもそも尿に「がん由来の何か」が出てくるという状況は、全くの初期の局所のがんで起こるものなのでしょうか。 仮に初期でも判定できるとしても、ステージによって精度が大きく変わるのが普通だと思います。 実際「なぜ判定できるのか」というメカニズムが明らかになっていないことも、容易に結果を信じられない理由の1つです。 本来はこうした全ての疑問にロジックで応えるために論文での検証が必要で、到底実用化が可能な段階とは思えないです。 やはり公開実験で卓越した精度の証拠をみせるか、研究段階からやり直すことが必要だと思います。
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