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漂流する原子力政策:東電を悪役にし、原子力政策を先送りした本当の「犯人」が決めないといけないこと | 週刊エコノミスト Online
金山 隆一週刊エコノミストオンライン 編集長
福島原発事故から10年たったいま、この使用済み核燃料をどう再処理し、プルトニウムの平和利用を世界に理解してもらうか。本来であれば政治家や官僚が議論を仕掛けるべきなのだが、票を減らしたくない政治家は原子力政策を遡上に載せることすらせず、3年先のポストにしか目が向かない官僚も、100年先を見据えたエネルギー政策の議論に踏み込もうとしない。原発ゼロを声高に叫ぶ人々も、「では今ある使用済み核燃料をどうするのか?」「プルトニウムはどう処理するのか?」という問題に踏み込んだ議論をしようとしない。再稼働にこだわる電力会社もその点で具体的な議論をしない。
世界的にエネルギー政策が脱化石の方向に舵を切り、日本も2050年に地球温暖化ガスの排出ゼロを菅首相が宣言した。いまこそ、日本の原子力政策が直面する使用済み核燃料の処理とプルトニウムの平和利用をどうすべきか、国民を巻き込んだ議論をすべきときである。
脱炭素の今だからこそロシアの北極海LNGが日本に重要になる地政学的な理由
金山 隆一週刊エコノミストオンライン 編集長
佐藤善広さんのご指摘にあった通り、LNGの日本の輸入開始は1969年です。訂正しました。
輸入開始からちょうど50年の2019年、読みごたえある本が出ていたので、その時の書評です。この本を読むと、いかにかつての日本が地球規模で壮大なエネルギーのイノベーションを起こしたかがわかります。
『LNG 50年の軌跡とその未来』 今井伸・橘川武郎著 日経BPコンサルティング 2500円
日常生活の入浴や冷暖房、電力の4割を液化天然ガス(LNG)が支えてきたことを知る人は少ないだろう。日本はLNGを輸入して50年の歴史を持つ。欧米で始まったエネルギー変革の挑戦は、地球規模の課題を解決する壮大な取り組みとなり、日本は「育ての親」を担ってきた。導入時、ガス業界は数百万もの家庭のガス器具転換に17年の歳月を費やし、そして今、化石燃料ながら、温暖化ガス削減の切り札役を期待されている。業界の古い商慣習の批判も的確。(Q)
JBIC(国際協力銀行)の前田総裁が3月の会見で北極海LNGを推していたそうです。
JBIC、NEXI(日本貿易保険)、JOGMEC(旧石油公団)に三井物産、商船三井という錚々たるメンツが北極海航路と北極LNGになぜ肩入れするのか、その理由がこの記事を読むとよくわかります。
資源エネルギーの専門家のご意見をお聞きしたい。
ホルムズ海峡もマラッカ海峡も通らず、米国の同盟国でもない地域からのLNG調達の意味は?資源バイヤーとして力を増してきた中国に対するけん制役としての日本の役割は?
いろいろな変数で見ないと21世紀のグレートゲームは見えてこないようです。
記事には触れていませんが、ヤマルLNGにも、北極LNGにも中国石油天然気集団(CNPC)や中国海洋石油(CNOOC)が出資しています。
歴史に学ぶアメリカ政治と大統領と民主主義:建国以来の分断国家だったアメリカの南北戦争の恐るべき対立を死者の数を知らない日本人:連載第3回 | 週刊エコノミスト Online
金山 隆一週刊エコノミストオンライン 編集長
アメリカは建国以来、分断国家だった。
米国の経済、歴史に詳しいジャーナリスト、中岡望さんの論考です。米国のコロナによる死者が50万人を超え、第一次、第二次大戦、ベトナム戦争の死者数の合計を上回ったという報道がありましたが、南北戦争は推定70万人が戦死しています。
中岡さんはこう指摘します。南北戦争「当時の人口は3144万人であった。戦死者の比率は2%強である。現在、アメリカのコロナウイルスによる死者数は50万人を越え「第一次世界大戦、第二次世界大戦とベトナム戦争の合計死者数を超えた」と問題となっているが、その比ではない。現在の人口は約3億3000万人であるから、現代なら700万人をこえる内戦だった。南北戦争での死亡者の数は想像を絶するものであった」。
日銀が日本最大のETF販売会社の女性トップを審議委員に就任させる深いワケ
金山 隆一週刊エコノミストオンライン 編集長
伊藤忠出身のアナリスト岡崎良介さんが今週水曜のラジオNIKKEIで、野村アセットマネジメントのCEO兼社長である中川順子氏が日銀審議委員に就任する人事について「日銀は大量のETFを野村アセットから購入し、200億円を超える信託報酬を払っている。これは利害相反ではないか」という趣旨の発言があり、元ロイター記者の鈴木透氏に聞いたところ、「利害相反もあるが、それ以上にこれはETFの出口に向けた布石ではないか」という問題提起があり、土台となる原稿を書いてもらい、そこに日銀のETF買入をかねてから問題視しているニッセイ基礎研の井出慎吾さんに電話取材し、合わせ技が書いた原稿です。井手さんのレポートによると、昨年11月にラジオNIKKEIが実施したアンケートでは55.7%が日銀のETF買入に「大反対」または「反対」と回答した(大賛成・賛成は34.5%)そうです。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=67137?site=nli
レポートは最後にこう結んでいます。<日銀がETFの買い入れを決めた2010年当時、日銀内部に「買い入れの常態化」を危惧する声があった。買入開始から10年が経過した今、危惧は現実になり、もはや後戻りは容易でない。しかし、日銀自身がこれ以上の深みにはまらないためにも、出口論も含めて「持続可能な政策」に舵を切ってほしい。長期的にはそれが健全な株式市場の発展と投資家育成につながるはずと信じるからだ。>
さてその日銀は「効果的で持続的な金融緩和の点検」を行い、3月18日の金融 政策決定会合で議論した結果を公表します。今回の人事は、総点検に向けた布石ともいえるかも知れません。
この人事を決めたのは、日銀内部からの発案だったのでしょうか。というのもかつて、日銀出身のエコノミストがとある勉強会でこんなことを言っていたのを覚えています。「日銀にはデットのプロはたくさんいるがエクイティーのことをわかっているプロは1人もいない」。つまり株式市場のことが分からない通貨の番人は、中央銀行の禁じ手である株式の保有を10年も続けていたわけで、「プロでないともう手に負えない」という喘ぎのようにも見えるわけです。18日の発表に注目しましょう。
バブル期でも融資競争に同調しなかった三菱銀行の若井恒雄頭取が陥ったリスク商品への挽回策が東銀との合併だった(サンデー毎日×週刊エコノミストOnline)
42年に自ら幕、鈴木修・スズキ会長の「軽自動車」世界チャレンジ一代記 | 週刊エコノミスト Online
金山 隆一週刊エコノミストオンライン 編集長
「昭和5年生まれの予科練生」「元銀行マンの娘婿」「目白の田中角栄邸には排ガス規制で陳情」「48歳で社長に緊急登板」--。すべてはスズキを42年にわたりけん引してきた鈴木修会長の知られざる素顔です。
インドやタイなど鈴木会長のアジア行脚にもジャーナリストとして取材してきた永井隆さんの退任に寄せた記事です。現場が何より好き、という雰囲気が写真からも伝わってきます。
この福々しい顔は一度見たら誰もが印象付けられるでしょう。その歩みもまた強烈です。こんな個性的な自動車マンはもう日本に現れないかも知れません。次世代のスズキは小型軽量安価だけど世界一走るEVで世界を席巻して欲しいものです。
脱化石の本命:「アンモニア発電」が原発に突き付けた“引退勧告”の重み
金山 隆一週刊エコノミストオンライン 編集長
アンモニア発電は日本のエネルギーを変えるゲームチェンジャー。しかし橘川教授はこうも言います。
JERAがゲームチェンジャーとして登場したことの意義は大きい。
同社は、「原子力依存型」モデルをとらない「原発脳」から脱却した電力会社である。
このことは、電力業界において原子力から自由に物事を考えることがいかに大切であるかを教えている。
原発脳から解放されただけで、これだけの新機軸を打ち出せたことは事実である。
しかし、一方で、「いまある原発の処遇と事故の賠償をどう進めるか」、「廃炉をどう進めるか」、「使用済み核燃料をどう処理していくか」、そして「原発に依存してきた自治体をどうソフトランディングさせるか」、という3.11後に日本が抱えた大きな課題は、すべて未解決の状態で残されたままである。
我々は、その現実を冷徹に認識したうえで、その解決に立ち向かっていかなければならない。
日本が強い軽自動車のEV化が進むとEVの劣勢をニッポンが挽回できるワケ(サンデー毎日×週刊エコノミストOnline)
金山 隆一週刊エコノミストオンライン 編集長
「軽自動車がEVになると高くなる」、とか「EVは農作業に向かない」とかフェイクニュースまがいの報道があったので、軽自動車もEVもずっと取材してきた永井隆さんに軽自動車のEVについて書いてもらいました。中国では米GMが出資する50万円の小型EVがヒットしています。日本でも同じことができるはず。ただし軽自動車のEV化は日本の自動車産業が抱えるさまざまな問題を浮かび上がらせます。例えば記事中の以下の指摘など、さらなる議論が出てくると思います。「国内新車販売の約4割を占める軽自動車は、その多くが修理工場などの業販店で販売されている。
軽自動車2位のスズキなら、販売の8割は業販店経由だ。業販店は車両販売ではなく車検などのアフターサービスで利益を得ている」

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