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リツイートの写真無断カットNG 最高裁が権利侵害認定
共同通信
Yoshino Naoki元官僚の企業内弁護士
リツイート行為が著作権侵害(正確には著作者人格権侵害)になる可能性がある、ということでかなりインパクトのある判決かと思います。 本件で留意しないといけないのは、次の2点。 ①本件では、リツイート者の侵害責任が問われたものではない  今回の判決は、あくまで発信者情報開示という、ツイートやリツイートした人に差止(や場合によっては損害賠償、刑事告発)を行うための前準備として、ツイッター社に対して起こされた訴訟に対してのものです。ツイッター者に発信者情報開示を命じるためには、ツイートやリツイートが権利侵害であることが明白であることが求められるため、その判断を下したわけです。  ただし、「権利侵害が明白」な場合でも、例えばリツイート者に権利侵害に対する故意がなければ刑事責任は負わされませんし、故意又は過失がなければ損害賠償責任も負わされません(差止請求はされる可能性はありますが)。実際、今回のような事案で、リツイートした人に対する著作権侵害(著作者人格権)について損害賠償請求がされた場合には、過失なし(=トリミングはツイッターの仕様であって、リツイート者はそんなこと知らなかったと主張する)とすることができそうです。 ②本件で、「違法著作物のリツイートが違法になる」というわけではない。逆に、「適法著作物のリツイートが違法になる」可能性  今回の判決は、リツイートというインラインリンクを用いたコンテンツの表示方法について、著作権法上の「公衆送信」や「複製」には該当しないが、「公衆への提示」には該当するとしています。これはやや不思議な結論につながります。例を挙げると、違法なソースから入手した画像であることを認識しつつ、それをそのまま(=トリミング等なく)リツイートした場合、リツイートした人は著作権侵害行為を行っていないことになります。一報、適法なソースから入手した画像であっても、リツイートによりトリミングが発生した場合には、氏名表示権が侵害されることになります。ヨーロッパでは、前者の例でもリツイートした人が侵害に問われる余地があるのですが、日本ではこの部分はリツイート者に寛容な法解釈となっており、これは今回の最高裁判決でも変わっていません。
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新型コロナで「ネット授業」阻む著作権 規制緩和求める声も
日本経済新聞
Yoshino Naoki元官僚の企業内弁護士
ネット授業を著作権が阻むという問題、記事にあるように、遠隔授業でも著作権の個別処理を不要とする法改正が2年前成立しているのですが、タダでできる対面の場合とは異なり、補償金を権利者に支払う必要があり、その補償金の在り方についてまだ協議中であり、制度自体もまだ施行されていません。 ではどうすればよいのか。いくつか考えられます。 ①現行法の範囲内で適法となるよう工夫する たとえば主要部分の解説は自分で作成し、他人の著作物を引用的に利用する場合には、適法引用として許諾不要です。また、送信先の受講者の数が少なければ、そもそも著作権法上の「公衆送信」に該当せず、許諾不要です。また、主要な権利者団体は文化庁の要請に応じて、コロナ禍対応の遠隔授業について無償許諾する旨の表明をしているので、その範囲では適法に使用できます。 とはいえ、自分で他人で教材を作成するのは大変でしょうし、受講者の数も「公衆」に該当するほど多数というのが普通でしょう。また、授業で最も用いられる著作物である学術系の本や論文は権利の集中管理が不十分なので、権利者団体がOKといったからといって、自分が使いたい本や論文が使えることにはなりません。 ②リスクをとる 現行法上、遠隔授業で他人の著作物を無断送信すると著作権侵害になりますが、このご時世、そんなことに権利行使する権利者は極めてまれだと思われるので、侵害リスクをとってやってしまうという手です。とはいえ、そのようなリスクを(遵法意識の高い)教育関係者が背負うかというとなかなかそうもいかないでしょう…。 ③制度の緊急施行 リンク記事にあるように文化庁が検討している方法です。記事では触れていませんが、補償金に関する協議が整わなくとも、制度は施行可能です。この場合、補償金を払わずに、つまりタダで遠隔授業で著作物を送信しても、著作権法上は「適法」になります。(条文でいうと「遠隔授業の際は著作物を公衆送信できる」という条文と、「公衆送信できる場合は補償金払ってね」という条文が独立してあり、補償金が払われないからといって最初の条文は影響を受けないことになります)なので、補償金の協議がもめていても、先に制度を施行することは可能でしょう。(その場合、具体的な権利としては発生していないが抽象的には発生している補償金請求権をどう扱うか難しい問題ですが…)
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Isetan’s Japan Food Town at Wisma Atria closes down after 4 years
Mothership.sg
Yoshino Naoki元官僚の企業内弁護士
シンガポールには留学で2年間滞在していましたが、その時にオープンしたのがこのJapan Food Town。政府のクールジャパンファンドも出資して鳴り物入りでオープンしましたが、わずか4年で運営会社の賃料不払という情けない理由で契約解除され撤退するとのこと。 何がまずかったのか。いくつか思い当たる節があります。 ①イタリア人の友達を寿司屋に連れて行ってセットメニューを注文したとき、サビ抜きかどうか聞かれず当然のようにサビ入りででてきたこと→ちゃんとしたわさびなので辛く、イタリア人は食べられない。 ②外国人にとって青魚はハードルが高いのにサバ専門店を出したこと→案の定日本人しか客は来ず(でもおいしかった!)、挙げ句の果てにその店はしばらく経って鶏照り焼き丼とかマグロの解体ショーとかで客を集めることに ③サクッと食べるには高すぎ(一階上のフードコートの倍はする)、落ち着いて食べるにはカジュアルすぎる(高級、本物志向の店は日本食でもシンガポールには山ほどある)→日本人にしか魅力的にうつらない 結局、日本人にとっては本格志向の日本食をそこそこ手軽な値段で食べられるいい場所だったものの、クールジャパンという観点では外国人の志向に合わせたカスタマイズが全くできてなくて失敗したということ。クールジャパンファンドはこの手の失敗が多くて、シンガポールはまだマシと言われていたのに結局失敗に終わってしまいました…。
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厚生労働省の職員「多忙でメンタルをやられた人もいる」 新型コロナ対策の現場で何が起きているか?
BuzzFeed
Yoshino Naoki元官僚の企業内弁護士
霞が関の不思議な慣行の一つが、苦情処理を政策立案担当者自身が行うこと。さすがに課長級ともなれば苦情電話に出ることはないが、若手の係長や係員(彼らも立派な政策立案担当者)はこれに相当時間をとられる。有事の際にこういう実働を担うべき若手が苦情対応に時間をとられて本来の業務遂行に支障を来すのは見慣れた光景です。行政が説明責任果たすのは確かに大事ですが、コールセンターの民間委託とか、彼らが通常業務に打ち込める環境を作る必要がありますね。 あと、記事にある、問取りを他部署がやるなんてことは、私のいた省では、たとえ法案審査など超多忙な時期であっても(予め議員からの質問が紙で明確に出されている場合を除いて)絶対NG!でした。専門知識のない他部署の人が問取りしても、議員の問題意識をちゃんと拾えず、質疑の混乱を招くこと必定です。問取りは、議員の問題意識を、自分の専門知識も活用してクリアにしてあげつつ、役所が答えられる質問になるように交渉、調整(場合によっては誘導)する重要かつ高度な仕事です。 省に戻って調整とありますが、戻ってから議員に「あの質問ってどういう意味ですか?」と聞き返すのはNGなので、役所側で「あの質問は、ちゃんと問取りできてないけど、たぶんこういう意味だろう」と勝手に解釈するってことですよね。こんな危険な行為を許さざるを得ないくらい、今の厚労省は人手が足らないということですか…。
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NORMAL