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中国で急増の「呼吸器疾患」に広がる大きな懸念
原田 洸総合内科医 医学博士
最近になって中国では小児の呼吸器系感染症の流行があり、学級閉鎖や小児科病院の混雑が続いています。中国の国家衛生健康委員会は、インフルエンザやマイコプラズマ、RSウイルスなどによる感染拡大が背景にある、と説明しています。これらの感染症は秋から冬にかけて増加する傾向がみられることから、このような現象が起きても不思議ではありませんが、それらの感染症の発生状況などは報告されておらず、真偽を確かめようがないという状況です。特に中国ではコロナ禍で厳しい隔離対応を比較的長期間行っていたため、コロナ以外の呼吸器疾患も再度流行しやすい状況ができていたのかもしれません。
「原因不明の呼吸器疾患」と聞くと恐怖を覚えるかもしれませんが、実は風邪症状で病院に来院した患者さんで病原体が特定できるのはごく一部にすぎません。すべての風邪ウイルスや細菌の検査を行うことは困難で、検査の感度も完璧ではないためです。病原体が特定できない呼吸器疾患が流行するというのはそこまで不自然なことではありません。
中国、発熱クリニック増設目指す 呼吸器疾患急増に対処

【座談会】「やせ薬」ダイエットと薬争奪戦のリアル
原田 洸総合内科医 医学博士
GLP-1受容体作動薬に関して現状起きている問題点は、社会レベルと個人レベルの2つの視点がみるとわかりやすいと思います。
社会レベルの視点では、「ダイエット薬」として自由診療の処方が増えたことで、本来必要な人に薬が行き届きにくくなっているという点です。これらの薬は、本来糖尿病のある方や病的な肥満がある方に対しての使用で効果を示した薬であり、供給不足によりそれらの方々が使用できないのでは、社会全体として利益を損ねていると言えます。
個人レベルでの視点では、薬のメリットよりもデメリットが大きくなる可能性があるという点です。糖尿病がなくBMIが正常な人にこの薬を使用した場合について大規模な臨床試験がなく、そもそもどれほど減量に貢献しているのかが未知数です。また、糖尿病治療薬の中では比較的安全性が高い薬ではあるものの、吐き気や嘔吐、下痢などの消化器症状が主な副作用としてみられます。また、低血糖や急性膵炎などの重篤な副作用も起こる可能性があり、救急外来の受診や入院が必要になるケースもあります。
肥満や糖尿病に対して使用した場合には臨床試験で素晴らしい結果を残している薬剤であり、今後の臨床試験の結果ではさらに処方する状況が増えそうですが、適切な人が適切なタイミングで使えるよう、規制や注意喚起が必要なのかもしれません。

【解説】世界が熱狂する「やせ薬」とは何なのか
原田 洸総合内科医 医学博士
近年、糖尿病の治療においてパラダイムシフトを起こしたのがSGLT-2阻害薬とこのGLP-1受容体作動薬です。
SGLT-2阻害薬は尿に糖分を排泄する作用の飲み薬です。その作用機序から肥満患者に対して体重減少効果をもたらすだけではなく、その後の臨床試験で心臓や腎臓を守る作用があることが次々と示され、瞬く間に種々のガイドラインでの推奨グレードが上がり、広く処方されるようになりました。
GLP-1受容体作動薬は主に毎日~週1回投与する注射薬で、こちらも同じく糖尿病の治療薬として承認されましたが、肥満患者の減量にも効果があることが示され、肥満治療薬としても広く使われるようになりました。さらに、最近では心血管の病気を防ぐ効果も示されており、今後の臨床試験で他の効果が示されるのではという期待感もあります。
問題点もいくつかあります。特に、「体重減少効果」を拡大解釈し、臨床試験で対象になっていないような患者に対して美容目的などで投与するケースもみられており、メリットよりも副作用のデメリットが上回る可能性があります。
WHO、肺炎急増で中国と協議 渡航制限は不要と判断
原田 洸総合内科医 医学博士
最近になって中国では小児の呼吸器系感染症の流行があり、学級閉鎖や小児科病院の混雑が続いているとのこと。中国の国家衛生健康委員会は、インフルエンザやマイコプラズマ、RSウイルスなどによる感染拡大が背景にある、と説明しています。これらの感染症は秋から冬にかけて増加する傾向がみられることから、このような現象が起きても不思議ではありませんが、それらの感染症の発生状況などは報告されておらず、真偽を確かめようがないという状況です。
また、こういったニュースが流れた時には、デマやフェイクニュースが広がりやすいのも特徴。センシティブなニュースを目にした時には、過度に不安になったり拡散したりせず、一度落ち着いて情報の出所を確認するようにしましょう。
仕事の自由度低い人ほど男性更年期障害に 厚労省が初調査 データ収集へ
原田 洸総合内科医 医学博士
男性ホルモンであるテストステロンは、男性の健康に重要な役割を果たすことが近年わかってきています。女性では閉経を機に女性ホルモンであるエストロゲンが極端に低下しますが、男性では加齢と反比例して低下していきます。この加齢に伴うテストステロンの低下によって様々な症状を引き起こすことが知られており、これを総じて男性更年期障害(LOH症候群)と呼びます。近年注目されている概念で、うつ、性機能低下、認知機能の低下、骨粗鬆症、心血管疾患、メタボリックシンドロームなどと関連することがわかっています。
「仕事における意思決定の自由度が低い人ほどテストステロン値が低く、男性更年期障害になりやすい傾向にあることが新たに分かった」とのことで、具体的なデータがないためはっきりとはわかりませんが、仕事環境がテストステロンの低下に影響した、またはテストステロン低下による症状が仕事に影響している可能性のどちらもありえます。
肥満治療薬、血糖と炎症が改善-デンマーク企業が研究結果の詳細公表
原田 洸総合内科医 医学博士
ウゴービ(一般名 セマグルチド)はGLP-1受容体作動薬というグループに分類される薬です。セマグルチドは最初は糖尿病の治療に使用されていましたが、血糖値を下げるだけでなく、食欲を抑制して体重を減らす効果もあることがわかり、肥満治療にも使われるようになりました。(糖尿病治療薬の商品名はオゼンピック、肥満治療薬の商品名はウゴービ、となっています。)今年の8月には、ウゴービが心血管疾患やそれによる死亡を抑制する効果があることが示され、話題になりました。今回の研究結果の発表ではウゴービの投与により血糖値や炎症反応が改善することが示されており、心血管疾患の抑制の原因について説明しうる可能性がありますが、因果関係についてはまだはっきりとはわかりません。
【続報】線虫がん検査は有効か。全国規模の調査開始。
原田 洸総合内科医 医学博士
これまでの経緯も含め、わかりやすくまとまった動画でした。
学会が行っている全国規模の調査はあくまで後方視的な情報収集に過ぎず、その結果にも様々なバイアスがかかることから、何らかの結論を出すことは困難です。本当に線虫がん検査の有効性を示すためにはブラインド試験をする以外の方法はありまんが、HIROTSU社が今後そのデータを出すことは考えにくいでしょう。ブラインド試験のデータがない限り、この検査は「がん占い」と言っていいほど科学的根拠に乏しい状況です。
個人レベルでできることは、とにかく検査を受けないこと。企業レベルでは、この検査を支援したり加担したりせず、社会的に締め出すことが重要です。非科学的な検査によって不幸になる方がうまれないように願っています。
新型コロナ後遺症「ブレインフォグ」 発症の仕組み研究へ 横浜市大
原田 洸総合内科医 医学博士
コロナ後遺症では倦怠感、息切れ、味覚・嗅覚障害などの多彩な症状がみられますが、認知機能の障害が出たり、もともとの認知障害が悪化したりする中枢神経系の影響がみられるのが特徴的と言えます。コロナ後のこういった脳の症状は「Brain fog (脳の霧)」と呼ばれており、文字通り脳に霧がかかったように、集中力が続かない、適切な言葉が出てこない、物忘れがひどくなる、といった症状がみられます。確立された検査や治療法などはなく、時間が経って回復するのを待つという場合がほとんどです。こういった症状は他の呼吸器感染症ではあまり報告がなく、コロナ特有のものと言えます。原因を突き止めることができれば、治療法の確立や予防など、対策を講じることができるようになるかもしれません。

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