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「同時に使えない薬が多数」コロナ対策の“カギ”「パキロビッド」が日本であまり使われない理由
原田 洸総合内科医 医学博士
米国ではパキロビッドの処方が普及しています。日本で普及しない理由は飲み合わせの問題というよりも、同意書や薬の入手のしにくさなど、ロジスティックスの問題が大きいのではないでしょうか。
忽那先生の最後のコメントに同意します。
「最近の調査だと、2人に1人ぐらいはもうコロナに感染しているということも、抗体の検査からわかってた。今後、長期的には流行の規模としては小さくなっていけば良いと思っているが、変異株の状況によっては、オミクロンに感染したことがある人でも、次の変異株には感染することが考えられるので、なかなか予想が難しい。また今後感染者が増えてくると、基本的な感染対策をやってもらう。流行状況によって気をつけてもらいたい。」
ゾコーバ薬価、5万1850円に コロナ飲み薬、当面無料
原田 洸総合内科医 医学博士
パキロビッドなどの他の重症化を抑制する薬剤と比較すると、ゾコーバは重症化や入院を抑制する効果は確認されておらず、症状を8日間から7日間に短縮することが報告されているのみです。また、2週間ほど前に、「ゾコーバはコロナ後遺症のリスクを45%低減する」という報道が出ましたが、どのような試験の内容だったのか(二重盲検化は保たれていたのか)の詳細は明らかになっておらず、情報が不十分の状況です。
現時点では、他の飲み薬の選択肢がある中でゾコーバをコロナの治療として選択するのは非合理的といえます。公費負担が終了し、自己負担が1万5千円となると、なおさら処方を求める方は減ると思います。
不眠障害の治療支援アプリに国の承認 活用に向けた動き活発に
原田 洸総合内科医 医学博士
治療アプリのメリットは、一言でいうと、これまでの外来治療では困難であった「医療者と患者のコミュニケーション」を頻繁に、円滑に行える点だと思います。
医療者から患者へのコミュニケーションには
・生活習慣の行動変容(睡眠、禁煙・禁酒、食事・運動、血圧・血糖測定など)
・内服のタイミングのリマインド
・定期受診の促進
患者から医療者へのコミュニケーションには
・睡眠時間や血圧、血糖値などの、日々の自己測定データ
・慢性疾患の主観的な評価、観察
・内服薬(コンプライアンス、頓服の使用頻度)
などがあります。医師の立場としては、慢性疾患では短時間の外来受診の中でこれらを行うのはなかなか難しいのですが、アプリでリマインドや情報の整理をすることで、それぞれの病気や症状をより正確に管理することができるようになります。
睡眠に関しては技術の進歩によりスマホやアップルウォッチなどで生体データが取りやすくなったことから、アプリとの相性が良く、今後活用の幅が広がってくるものと思われます。
メタボ受診、44都道府県で減 20年度、コロナで見合わせ影響
原田 洸総合内科医 医学博士
メタボ健診は、肥満や高血圧など、幅広い生活習慣病のリスク因子の早期発見を目的としたもので、2008年から始まった全国規模の事業です。メタボリックシンドローム(内臓脂肪が多い、糖尿病や高血圧などの生活習慣病になりやすい状態)の人にターゲットを絞った健診・指導を行うことで、病気の進行を予防することが期待されてきました。コロナ禍で、病院受診の差し控えが起こったことにより受診率が低下したものと思われます。さらにコロナ禍で運動不足が増えたことから肥満の増加も問題になっており、メタボの悪化、割合の増加も危惧されます。
ただ、より広い視点でみればメタボ健診による介入は予防効果が低いことが過去の研究で示されており、事業の見直しが必要なのかもしれません。
再開の市民マラソン、ランナーの心肺停止相次ぐ…危険な巣ごもり後の調整不足
原田 洸総合内科医 医学博士
マラソン中の心肺停止は以前から報告されています。1966年~2014年までのマラソン大会での心肺停止についてまとめた論文では、10万人のランナーに大して0.6~1.9人の心停止が起こっていることがわかっています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26765272/
日本でも、2007年~2018年の東京マラソンのデータでは、10万人あたり2.6人の割合で心肺停止が起こっていることが報告されています。
https://www.marathon.tokyo/participants/medical/medical_criticalcare/index.html
マラソン中に心停止が起こりやすい原因については明確にはわかっていませんが、もともと肥大型心筋症などの心臓の基礎疾患があり、マラソンで心臓に負荷がかかることで不整脈が起こる可能性などが指摘されています。
「心肺停止が相次ぐ」「調整不足が原因」というのはアバウトな推測であり、もう少し広い視野での分析が必要ですが、マラソン大会への出場を考えている方は心停止が少なからず起こりうることは認識しておくと良いと思います。
新型コロナワクチン“来年3月まで無料接種継続”で調整 厚労省
原田 洸総合内科医 医学博士
実際にコロナに感染した方を診療していると、特に直近半年ほどでワクチンを接種している方は、重症化リスクの高い高齢者でも軽症か無症状で済むことほとんどで、現場で働いていると特にその効果を実感しています。
神奈川県が発表した後ろ向きの観察調査の結果では、65歳以上の高齢者では、ワクチン未接種の方は5回接種している方と比べてコロナに感染した時の死亡率は約7倍、80歳以上では約5倍となっており、現場の感覚と一致しています。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/covid19/vaccines/vaccine_efficasy.html
予防接種により特に高齢者の入院を予防することができることから、無料接種を継続するのは、医療経済的な観点でも妥当と感じています。
AIドクター誕生近い? 米医師試験、合格ライン
原田 洸総合内科医 医学博士
発表された論文はこちらです。
https://journals.plos.org/digitalhealth/article?id=10.1371/journal.pdig.0000198
これまで医療分野でのAIの活用は、放射線画像や病理画像など、画像検査で主に発達してきました。症状から診断を導く、「診断AI」も近年発達してきていますが、いまだに医師の精度には達するまでには至らず、現場での活用も限定的です。診断AIの精度がそれほど上昇してこなかったのは、以下のような理由があります。
・ 重要度の高い順に重み付けができない
・ 併存疾患に対応できない
・ 病気の時系列を考慮できない場合がある
・ 社会的な患者背景を考慮できない
しかしながら、Chat GPTを始めとした大規模な言語モデルを組み込んだ人工知能の発達により、今後数年間で飛躍的に精度が向上し、AIが医師に取って代わる日も来るのかもしれません。

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