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ノボの減量薬「ウゴービ」、FDAが心疾患治療への適応拡大を承認
原田 洸総合内科医 医学博士
ウゴービ(一般名 セマグルチド)はGLP-1受容体作動薬というグループに分類される薬です。セマグルチドは最初は糖尿病の治療に使用されていましたが、血糖値を下げるだけでなく、食欲を抑制して体重を減らす効果もあることがわかり、肥満治療にも使われるようになりました。(糖尿病治療薬の商品名はオゼンピック、肥満治療薬の商品名はウゴービ、となっています。)昨年の8月には、ウゴービが心血管疾患やそれによる死亡を抑制する効果があることが示され、そういった臨床試験の結果を鑑みて心血管疾患への適応拡大となっています。
注意すべき点は、臨床試験の対象となった患者は元々心臓の疾患がある肥満の患者さんであるということです。肥満がない方や心疾患がない方には効果があるかどうかは現時点では不明です。
実は離職の一因? 経営層も女性も知っておきたい「男性更年期」の事実
原田 洸総合内科医 医学博士
テストステロンは、男性の健康に重要な役割を果たすことがわかってきています。女性では閉経を機に女性ホルモンであるエストロゲンが極端に低下しますが、男性では加齢と反比例して直線的に低下していきます。この加齢に伴うテストステロンの低下によって様々な症状を引き起こすことが知られており、これを総じて男性更年期障害(LOH症候群)と呼びます。近年注目されている概念で、うつ、性機能低下、認知機能の低下、骨粗鬆症、心血管疾患、メタボリックシンドロームなどと関連することがわかっています。
診断は、日本では「遊離テストステロン」という検査を血液検査で測定することが推奨されており、これが基準値よりも低く症状がある場合に疑われます。しかしながら、上記の症状を起こす他の病気(うつ病、認知症、糖尿病や脂質異常症など)は無数にあるため、慎重な対応が必要です。男性更年期障害の治療法は、男性ホルモンを投与すれば良いというわけではなく、治療法は確立されていませんが、漢方(例:補中益気湯)が効果を示したというケースは報告されています。
漫画家 鳥山明さん死去 68歳 「DRAGON BALL」などで人気
原田 洸総合内科医 医学博士
ドラゴンボールを愛読していた世代なので本当にショックです。
死因となった急性硬膜下血腫について医学的な観点から少しコメントをします。
急性硬膜下血腫は、頭の中(頭蓋骨の内部)で起こる出血の一種です。頭蓋骨のすぐ内側にある硬膜と脳の外を覆っているくも膜の間に出血が起こり、それが脳を圧迫することで致死的になります。頭の中で出血が起こる病気には、他に「くも膜下出血」があり、これは動脈瘤と呼ばれる血管のこぶが突然破裂することで主な原因で、比較的若い方が突然死するケースがしばしばあります。一方で、急性硬膜下血腫の原因の多くは外傷であることから、転倒や事故などが関係したのかもしれません。
ご冥福をお祈り致します。
医師90人がグーグルを集団提訴へ クチコミ放置で「被害受けた」 治療費の踏み倒し狙うケースも
原田 洸総合内科医 医学博士
医療機関や医師の評価をどのようにするかはかねてから課題になっていました。というのも、患者さんの要求に答えて、科学的・医学的に不適切であっても求める薬を処方し続けたりする医師が高く評価される可能性があるためです。患者さんから見た医師のコミュニケーション能力や丁寧な対応などサービス業としての側面ももちろん重要ですが、同業者からみて質の高い医療を提供しているかという指標もそれ以上に重要になります。実際に、「トンデモ医療」を提供しているクリニックがGoogleの口コミで高く評価されていることも少なくありません。米国では医師を様々な角度から評価するプラットフォームがいくつもありますが、日本では普及していないのが現状です。
カナダ首相が移民受け入れにブレーキ、住宅逼迫で世論激変
原田 洸総合内科医 医学博士
カナダの医療事情について。医療費が極端に高く国民皆保険制度がない米国と比べると、カナダは医療費も安価で国民会保険制度があることから患者の自己負担もほとんどありません。しかしながら、問題は医療へのアクセスです。日本のようにフリーアクセス(誰でもいきなり専門医に診てもらえる)はなく、専門医を受診するためにはかかりつけ医の紹介が必要で、かかりつけ医の受診予約を取るのにも数週間待ちのこともあります。また、緊急事態で救急外来を受診しても待ち時間が極端に長いことも問題になっています。医療の需要と供給の不均衡を起こしているのは移民の影響もあり、国民の不満に繋がっているのかもしれません。
医学部定員拡大反対の研修医離脱に韓国政府が警告 「今月末までに復帰しなければ医師免許停止する」
原田 洸総合内科医 医学博士
韓国では、これまでにも医学部定員拡大に対して医師会が中心となり反発やストライキを起こしてきた経緯があります。最近では、2020年に政権が医学部定員の増員を進めた際にも研修医がストライキをおこしていましたが、新型コロナの流行が重なったこともあり途中で業務に戻ることとなりました。
背景には韓国の学歴ヒエラルキーの問題が考えられます。韓国では特にトップ大学の医学部の合格には試験で好成績を取ることが求められ、医学部の競争は近年加熱しています。既に受験競争を勝ち残って医師になった人たちにとっては、門戸が広がり待遇が悪化してしまうことから、不満があるのでしょう。
ストライキを起こしている若手医師に対して、韓国政府も医師免許停止といったカードを切ることによって問題を収束させようとしていますが、対立構造がさらに深まってしまう懸念もあります。これらの対立により不利益を被るのは国民であり、インフラとしての医療が崩壊してしまう危険性があります。
研修医6415人が退職届を提出 うち1630人がストライキ 医学部の定員拡大への反発で 韓国
原田 洸総合内科医 医学博士
韓国では2020年に政権が医学部定員の増員を進めた際にも研修医がストライキをおこしていましたが、新型コロナの流行が重なったこともあり途中で業務に戻ることとなりました。今回も同様に、医学部の入学定員の増員に反発し、集団でストライキを起こしています。
背景には韓国の学歴ヒエラルキーが影響しているかもしれません。韓国では特にトップ大学の医学部の合格には試験で好成績を取ることが求められ、医学部の競争は近年加熱しています。既に受験競争を勝ち残って医師になった人たちにとっては、門戸が広がり将来の待遇が悪化する可能性があることから、不満があるのでしょう。
医学部の競争が熾烈になっているのは日本でも同様です。日本でも医学部増員や新設などの動きはあり、医師会はこれに反発してきましたが医師会と研修医や若手医師の繋がりが深いわけではなく、ストライキや辞職をするような事件は起こっていません。
研修医やトレーニング中の若手医師は最前線で働いていることから、病院にとっては重要な人的リソースであり、彼らが辞職すれば機能しなくなる医療機関も多いでしょう。これが全国で同時多発的に起きれば、インフラとしての医療が崩壊する懸念があります。
ビールロング缶1本以上で大腸がんリスク 厚労省が初の飲酒ガイドライン
原田 洸総合内科医 医学博士
公的機関がガイドラインを出し、指針を示したことは大きな変化と言えます。
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001211974.pdf
大前提として、過度な飲酒による行動の問題(暴力やトラブル)やアルコール依存症、アルコールに起因する病気(アルコール性肝障害、肝硬変、食道がんなど)がある場合には禁酒が勧められます。
それらの問題がないほとんどの方についてですが、「酒は百薬の長」といわれるほど、一昔前までは「適量の飲酒は健康に良い」とされていました。しかし、最近の研究では少量でもがんなどのリスクが上がることがわかっており、健康のためには「お酒は飲まないに越したことはない」というのが通説になっています。また、一緒に食べるおつまみは高カロリー・塩分過多のものが多く、糖尿病や高血圧につながる可能性があります。
飲酒によりコミュニケーションが円滑になって話が弾むなど、プラスの側面もあるかもしれませんが、少なくとももともとお酒を飲まない人や好きではない人が無理して飲む必要はないと思います。
NORMAL
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