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【衝撃】日本の有名医学賞の「男女格差」がすさまじかった
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
これまでの受賞者の男女比を調べるというシンプルな研究ですが、示している結果は深刻です。逆に、これまで誰も気付いたり変だと思ったりしなかったのかな、と不思議になったほど。
研究チームの中心メンバーの秤谷隼世さんは30歳。現在はドイツでRNA編集を利用した創薬の研究をされています。欧州に身を置き、アジア人というマイノリティーの立場を経験したことも、今回の調査のきっかけの一つだったそうです。
「性別に限らず、多様性があることで仕事のアウトプットが最大化される。今、そうなっていないのは人類にとっての損失なのでは」という言葉が印象的でした。
また、コメントをくださった日本女性科学者の会の梅津理恵会長は、100年以上の歴史を持つ東北大学金属材料研究所で初めて教授になった方です。2019年には猿橋賞を受賞されています。以前、インタビューさせていただいたのでこちらも併せてご覧ください。
https://newspicks.com/news/8197337/body/
ノーベル生理学・医学賞は「マイクロRNAの発見」 米国の2氏に
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
今年のノーベル 生理学・医学賞はマイクロRNAによる転写後遺伝子調節の仕組みを発見したお二人に。マイクロRNAは、タンパク質をコードしていない「ノンコーディングRNA」の一種で、その名の通り、ごく短いRNAです。
細胞内でタンパク質が作られる際、メッセンジャーRNAがタンパク質の「設計図」をコピーして運びますが、マイクロRNAはメッセンジャーRNAに取り付き、タンパク質が作られるのを邪魔します。そうすることで、遺伝子の働き方を調節しているのです。
昨年のノーベル生理学・医学賞は、メッセンジャーRNAワクチンの開発につながる発見をしたお二人に贈られました。
2年連続でRNA関連というのは正直、予想していなかったけれど、この数年RNAについて取材を続けているので、これを機にRNA研究がより注目されるようになったら嬉しいです。
マイクロRNAについては2021年の特集「すごいmRNA」でも取り上げています。
https://newspicks.com/news/6209671/?ref=search&ref_q=%E7%9F%AD%E3%81%84RNA&ref_t=top
東電 福島第一原発 核燃料デブリ取り出し “着手した”と発表
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
あくまで試験的な取り出しで量も小さじ1杯分。取り出しに成功して分析が進んだとしても、デブリの成分はどの原子炉か炉内の場所ごとに異なるとみられるので、その分析結果をもって全体の対処方法が定まるのかは疑問です。
また、事故後30〜40年で廃炉を終えるという目標はあるものの、そもそもどういう状態をもって「廃炉完了」とするかは明確にされていません。
2021年にデブリの試験取り出しの意義や廃炉工程に関する下記の記事を書きました。細かい点でアップデートはあるものの、大筋の状況は変わっていません。
https://newspicks.com/news/5774305/body/?ref=search
現実を見据えた上で、本当にデブリ全量の回収が適切なのかどうかを含めて検討すべきかと。また、今回の回収に総額でどれだけの費用がかかったかも、検討材料としてしっかり公表してほしいと思います。
【実録】線虫検査で「進行がん」見逃した男性の後悔
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
特集2日目は、線虫がん検査の「N-NOSE」で低リスク判定だったにもかかわらず、半年後に症状が出て進行がんが見つかったというケースを紹介します。患者ご本人に話を聞きました。
人間ドックのオプションとして提示されたことや、以前、テレビ番組で取り上げられていたことからN-NOSEを信頼していたという男性。がんが見つかったときのショックの大きさは想像に難くありません。
取材しながら、N-NOSE問題の論点が網羅されたケースだと感じました。まだ治療が続いている中、辛い体験を明かしてくださった男性に感謝します。
協業や出資をしている企業・機関、販売に協力している医療機関や健診施設の見識が問われているのではないでしょうか。
追記:木原洋美氏のコメントで「PET検診によるがん発見率が「1.31%」だったのに対して、N-NOSEで高リスク判定だった人のがん発見率は「2.96%」という驚くべき結果が出ている」「がんを発見する性能が高いことは、はからずも今回の全国調査が証明しています」と書かれていますが、データの解釈を誤っておられるようです。詳しくは特集1回目の記事のコメント欄で補足説明しましたのでご覧ください。
【線虫がん検査】「的中」1%。全国調査でも低い精度あらわ
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
独自取材に基づき線虫がん検査の問題点を報じてから約1年。全国調査の結果がついにまとまりました。9月1日に発表された内容をいち早く、詳しい解説とともにリポートします。
併せて、HIROTSUバイオサイエンス社がプレスリリースまで出した最新の論文の問題点についても、詳しく解説します。
プレスリリースで同社は、市販のN-NOSEについて「その実用性と効果が臨床研究のみならず、実社会においても実証されてきました」としています。しかし、全国調査の結果や論文の内容を見ても、なぜそうした表現を使えるのかわかりません。
追記:木原洋美氏の指摘について補足説明します。
まず、長町先生の発表によると、「2.96%」というのはN-NOSEで低リスク判定を受けた人を含め、広くN-NOSEを契機としてPET検査を受けた人の中で実際にがんが見つかった11施設に限った場合の発見率です。つまり、N-NOSEを契機に受診してがんが見つからなかったケースの数字は含まれておらず、発見率が見かけ上、高くなっています。
木原氏は「線虫のがん発見力が圧勝だった」と書かれていますが、上記のように線虫の方がかさ上げされた数字ですので、そのような解釈ができるデータではありません。(研究チームによると、こちらは線虫からがんが見つかった施設のPETがん検診精度レベルが平均的なものであることを示すためのデータだそうです。)
一方、「2.09%」は、高リスク判定を受けた人の中で実際にがんの見つかった割合です。最も重要なデータは、まさに高リスクと判定された人の中で実際にどれだけがんの人がいるかですので、記事ではそちらの数字を紹介しています。
また、記事中にもある通り、N-NOSEが対象とする15種類のがんに絞った場合は「0.95%」とさらに低い数字になります。
そもそもN-NOSEの判定結果が正しいとすれば、高リスク判定が出た人は一般の集団の中でがんにかかっている可能性が高い、絞られた集団のはずです(D・E判定はリスク比4.4~13.1倍)。にもかかわらず、0.95%の人にしかがんが見つからなかった。これはかなり低いと言わざるを得ない数字ではないでしょうか。
セミナーはもちろん取材しています。「(指摘は)まったく意味がない」「捏造の捏造」や「犯罪的」といった表現は、根拠のない中傷にあたるかと思います。
【調査報道大賞】NewsPicksの線虫がん検査報道に奨励賞
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
再び嬉しいご報告です。昨年9月の私たちの線虫がん検査報道が、調査報道大賞の奨励賞に選ばれました。改めて、取材にご協力くださった皆さま、そして記事を読んでコメントしてくださった皆さまに感謝申し上げます。
選考委員長の江川紹子さんのコメントにもあるように、調査報道にはとにかく「手間と経費と時間」がかかります。線虫がん検査報道も、通常のNewsPicksの特集より多くの時間と労力を要しましたが、だからこそ形にできた内容でもありました。
そして、こうした地道な仕事に取り組むには、記者1人1人の熱意だけではなく、職場の理解も不可欠です。NewsPicks編集部のメンバーとしてこの仕事ができたことを幸せに思います。
【驚異】プラナリアの「再生遺伝子」でハエの寿命が伸びた
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
サイエンスの魅力や奥深さを伝える「ディープな科学」、今回は全身レベルの再生能力を持つ動物に共通した遺伝子を、それを持たないハエで働かせてみた、というユニークな研究を紹介します。
タイトル通り寿命が伸びたわけですが、その時、ハエの体内で何が起きていたのか、そもそもどうしてこの実験を計画したのか、研究チームの中嶋悠一朗・東京大学准教授に、今後の展望を含めじっくりお話を伺いました。実験室も案内していただき、楽しい取材でした。
記事の末尾でも書かせていただいた通り、「ディープな科学」は今回が最終回となります。2020年7月にスタートして約4年、今回で68回目です。連載の入れ替わりの早いNewsPicksではなかなかの長寿企画になりました。
私を含む編集部の記者だけでなく、外部の実力ある科学ライターの方々にもご協力いただき、時には研究者ご本人に寄稿していただきながら、幅広いテーマを扱ってきました。取材はいつも楽しかったですが、編集面では、毎回、小鈴キリカさんのイラストで彩られたバナーが楽しみでした。
ご愛読くださった皆さま、ありがとうございました!
【新発見】脳は寝ている間に答えを作り出す
須田 桃子NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
サイエンスの魅力や奥深さを伝える連載「ディープな科学」。今回は、この連載で以前取り上げて好評を博した「アイドリング脳」に関する最新の研究成果を紹介します。創造性の源である「ひらめき」の謎に迫る、画期的な研究です。
「推論」なんてマウスにできるのだろうか、できるとしてもどうやって調べるのだろう、と不思議でしたが、実験の詳しい方法を聞いてなるほどと思いました。さらに驚いたのは、推論における睡眠の効果です。こんなにはっきり数字に現れるとは…とちょっとした衝撃を受けました。
研究チームはさらに、睡眠中の脳で何が起きているのか、細胞レベルで調べる実験も行っています。ここで使われている「光遺伝学」という手法は、以前、脳科学特集のスライド記事で紹介したので、気になった方はこちらもぜひご覧ください。
https://newspicks.com/news/5460350/?ref=search&ref_q=%E8%84%B3%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%B4%80&ref_t=top
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