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【実録】社員が止められなかった「疑惑のがん検査」
島田 祥輔サイエンスライター
2015年に『PLOS ONE』誌に論文が掲載されたとき、広津先生に電話取材して『ニュートン2015年6月号』に1ページ記事として書きました。
僕としても元社員のBさんが言っているように純粋に面白そうと思い、広津先生も時々笑いながら和やかに取材が進みました。「ゆくゆくは保険適用を目指して臨床研究をやってみたい」みたいなことも言っていましたが、どちらかというと基礎研究寄りの自由な発想で好奇心の赴くまま研究している、という印象でした。もちろん電話越しの30分だけだったので、それだけで広津先生の考えや人柄がすべてわかったわけではありませんが。
個人的には、線虫という生命がもつ能力を医療・ヘルスケアに応用する試みは応援したいし、線虫ががん細胞の何を嗅ぎ分けているのかがわかれば、線虫を使わずともがん細胞の臭い物質みたいなものをバイオマーカーとして活用するきっかけにもなり、基礎研究としては今後に期待したいと思っていました。それだけに、拙速な応用は残念で、なぜそうなったのかにも関心があります。
遺伝子操作したブタの心臓を移植 世界初、米の57歳男性に
島田 祥輔サイエンスライター
メリーランド大学のプレスリリース。拒絶反応に関わる遺伝子3つをなくして、免疫的に受け入れられるようにヒトの遺伝子を6つ入れて、さらに心臓組織が過剰に増殖しないように別の遺伝子1つをなくしています。
https://www.medschool.umaryland.edu/news/2022/University-of-Maryland-School-of-Medicine-Faculty-Scientists-and-Clinicians-Perform-Historic-First-Successful-Transplant-of-Porcine-Heart-into-Adult-Human-with-End-Stage-Heart-Disease.html
ブタの心臓はヒトと似たようなサイズで、昔から移植に使えないか研究がずっと続けられています。今回以外にも、ウイルス感染を防ぐために感染に関わる遺伝子60個を変えた、という成果もあります。ゲノム編集でこの辺りもスピードアップしそう。
AlphabetのDeepMind、AIベースのタンパク質構造予測で歴史的なマイルストーンを達成
島田 祥輔サイエンスライター
「遺伝子は生命の設計図」と言われますが、正確には「遺伝子はタンパク質の設計図」で、タンパク質が実際の生命活動を担っています(血液中で酸素を運ぶヘモグロビン、筋肉を動かすミオシンなど)。
最近の話題だと、新型コロナウイルスが細胞に感染するときには、細胞表面にあるタンパク質ACE2を認識します。これを認識する新型コロナウイルスの表面にも別のタンパク質Spikeがあります。つまり、タンパク質の構造がわかれば、どの構造の分子がタンパク質の機能を阻害するか、つまり薬の候補を探しやすくなります。
普通なら、実際にタンパク質を抽出して結晶化して計測して分析して……最高の計測機器だと数億円します。これくらいの性能の機器は、国内にも数台しかありません。
それが予測できるとしたら、本当に革命です。
4年くらい前にもAlphaFoldで話題になりましたが、今回のバージョンはさらに予測精度が飛躍的に上がったらしく、昨日の夜からタンパク質構造の研究者の間で話題になっています。まとめのページを載せます。
DeepMindのAlphaFold2、タンパク質立体構造予測コンペ(CASP14)でブッチギリ1位
https://togetter.com/li/1630461
NORMAL
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