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赤ちゃんポスト、問われる「命」の重さ 孤立出産促す懸念/医療設備なく危険(北海道新聞)
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
孤立出産を促しうる、医療知識のない人が自宅で赤ちゃんポストを運営するのは危険、という指摘はその通りで、東京で検討中の事例も含めて全国のこのような取り組みを検討されているみなさまには、なんらか事情がある妊婦さんが妊娠中に助けを求められる駆け込み寺のような事業をお願いしたいです。本来は行政がやるべきですが。
そしてもちろん、やむを得ず孤立出産してしまう方、育児をはじめてから行き詰る方もいますので、そういう時に助けを求められるところも必要です。ただ、子どもの安全と福祉のことを考えると、民間が自由に行ってよいとするのではなく、やはりここも行政が指揮をとるべきですし、そういうところに税金を使って頂きたいです。
親が無理なら誰かが育ててくれる、でいいと思います。子どもの福祉が一番。ただしあわせて、親権のあり方についても議論検討を要すると思います。
「飲む中絶薬」初めて承認へ――産婦人科医「スッと中絶されるわけではない」指摘も、増える選択肢 これまで申請なしナゼ?
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
こちら、産婦人科医として番組にコメントを寄せました。手術ではなく飲み薬、ということで「負担が軽い」のでは、と思われていますが、
飲めばスッと中絶されるわけではなく、中絶、つまり子宮内の妊娠組織を子宮外へだすための手段が、手術か飲み薬か、ということなので、入院不要で処方されると、自宅で腹痛や出血に自分で対応することになります。
一方で、手術は体への負担が大きく安全性に欠けるとよく言われますが、麻酔がかかっている間に短時間で処置が終わり、しかも日本の中絶手術の技術は高く、決して危険な手術ではありません。そういう背景もあり、これまで申請されてこなかったと思われます。
選択肢が増えることはよいことですが、イメージではなく実質的に女性にとって負担の少ない形で運用されることを期待します。そして男性も、妊娠や中絶の負担を女性にだけ負わせることのない社会になるためには包括的性教育が欠かせません。
そしてどれだけ中絶の負担が軽くなろうとも、中絶したくてする女性はいませんので、望まない妊娠を防ぐための避妊も大事。日本では避妊は男性がするもの、男性にしてもらうもの、というイメージが強いですが、実際には、女性自身が行う避妊法の方が避妊効果も高いですし、男性に左右されることがありません。そういう知識もちゃんと知られていくべきと思います。
飲む中絶薬を承認へ 妊娠9週0日まで対象、手術以外の選択も可能に
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
中絶法の選択肢が増えたのはよきこと。価格や、入院が必要かどうか、配偶者の同意が必要かなど、実際の運用が気になります。
負担が軽いとよく言われますが、飲み薬だからといって、飲めばスッと中絶されるわけではないので、自宅で腹痛や出血に自分で対応するのと、麻酔がかかっている間に処置が終わるのとを比較した時に、経口中絶薬という選択肢があったとしても、手術を選択する人もいるとは思います。
経口中絶薬が使えるようになっても、もちろんそもそも望まない妊娠を防ぐことは大事で、からだの自己決定権が女性自身にあり、そのための手段(ピルや子宮内避妊具)もある、ということはもっと知られてほしいです。
また、男性も、妊娠や中絶の負担を女性だけに担わせることのないように、お互いのことを尊重して頂きたいですし、そういったことを学ぶ包括的性教育も重要です。
さらに、日本では避妊や中絶が自費ですが、そこも改善が必要です。
なお、日本でなかなか承認されなかったという誤解が時折ありますが、「認めてこなかった」のではなく、(ニーズがなかったため)「(製薬会社からの)承認申請がなかった」からです。
申請されたのが2021年12月ですので、申請しているのになかなか承認されない、というわけではありません。
ではなぜ申請されてこなかったかというと、主に2つ大きな理由があり、
・日本の中絶手術の技術が高く、安全かつ負担が少なく手術されてきた
・手術であれば短時間で中絶が完了するのですが、経口中絶薬の場合は中絶に至るまで数日かかる可能性もあり、医療現場の負担が増える可能性がある
などの理由から、大きなニーズがなかったかと推測します。
新型コロナ ワクチン接種年1回案 政府内浮上 4月以降も無料
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
米国でもFDAが年1回接種を提案したところ。新型コロナに季節性はないとはいえ、分かりやすさ、アクセスしやすさも重要ですので、妥当な案と思います。
>将来的には感染リスクの高い高齢者らに限定する方向
というところが気になります。インフルエンザワクチンも子どもは任意接種(自治体により補助があるところも)で自己負担で接種しないといけないため、接種率はさほど高くなく、インフルエンザが流行すると必ずインフルエンザ脳症で亡くなる子がいます。新型コロナワクチンも、有料となると今よりもさらに接種率は下がるでしょう。
無料なら接種するという方は多いはず、経済的ハードルは下げてあげてほしいと思います。
パリス・ヒルトンがママに! 代理出産で男児誕生に「最高のお母さんになるわ」と祝福殺到(スポーツ報知)
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
まずは無事のご誕生おめでとうございます。今回のケースは、パリスさんとパートナーとの受精卵を代理母に胚移植し代理出産する、という形ですが、なぜ代理出産を選択したのかは記事からは明らかではありません。
日本では、向井亜紀さんが米国で代理出産されたのが記憶にある方も多いかと思いますが、向井亜紀さんの場合はがん治療のために子宮摘出されたため、自分と血のつながった子をもつ方法が代理出産しかありませんでした。
日本では代理出産は日本産科婦人科学会が認めていないため、子宮がない女性が自分と血のつながった子を授かる方法がありません。子宮移植の臨床試験が今後日本でも行われる見込みですが、現状、がん治療後の方はその対象となっていません。
もちろん妊娠出産は母体にもリスクを伴うものであり、代理出産自体がcontroversialであるのはその通りですが、日本で禁止をしても、必要としている人がいる限り、その方たちが海外へ流出するだけです。であれば、ただ禁止をするのではなく、どういう形でなら運用できるのかをしっかり議論する必要があるかと思います。
この件に限らずですが、医学や科学の進歩により選択肢が増えている中で、倫理的議論と法整備が並行してなされていく必要があると感じます。
塩野義製薬コロナ経口薬「ゾコーバ」使用禁止の妊婦に処方 厚生労働省が注意喚起
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
「妊娠の可能性の確認」というのは実は非常に難しく、本人もまさか妊娠しているとは思っていないが実は妊娠していた、ということはありえることです。
見出しがややミスリードで、「妊婦2人に処方」といっても、妊婦と分かっていたのに確認せずに処方した、のではなく、少なくとも1件は本人も妊娠に気づいていなかった、というケースです(もう1件は詳細不明)。
対応策としては、妊娠可能年齢で数ヶ月以内に性交渉歴のある女性には、催奇形性があるゾコーバとラゲブリオの処方は避ける、というのが間違いないです。
妊娠の可能性がある場合はもとより妊娠中は使用できる薬が限られますので、ぜひとも予防接種により重症化予防、感染予防をして頂きたいと思います。ワクチンは妊娠中どの時期で接種しても妊娠経過や胎児に影響がないと報告されています。
「異次元の少子化対策」で児童手当や保育どうなる? 政府が議論開始
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
>昨年末に政府の全世代型社会保障構築会議で取りまとめた報告書では、児童手当拡充の検討は、手薄とされる0~2歳児に向けた支援策などの後に位置づけられていた。
ただ、内閣支持率は低迷。首相は、国民生活により身近な政策に取り組む姿勢を示すことで政権浮揚を狙うというシナリオを描き、児童手当の拡充の検討を早めた。
記事の内容が本当なら、結局、少子化対策が最優先ではなく結局支持率のために少子化対策的な政策を利用しているだけでは。
児童手当を増やすだけでは、結局育児支援にしかならず少子化対策には効果がなかったということになりけねないですし、もちろんどの政策も確実に有効というものはないですが、せめて保育料や給食費教材費無料など、確実に子どものことに使われる形での支援にする方が、世の中からも理解されるのではないでしょうか。
人間の心理として、手当はあるけどいろいろ出費がある、よりも、子育てに(基本的な部分は)お金がかかりません、という方が心理的負担が少ないのでは。
少なくとも、大きな財源を確保して異次元の政策をとるからには、有識者だけで話し合って政策を決めるのではなく、あとなにがあればもう1人産もうと思うかなどの調査を踏まえて、政策の根拠も示して説得力のある形で提示してほしいと思います。
国内初の経口中絶薬、27日に承認の可否審議 厚労省専門部会
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
1/27に審議、とのことで、まだ承認可否が決まったわけではありませんので、審議の結果を待ちたいと思います。
承認された場合の運用も気になるところです。価格、配偶者の同意、原則入院とするのか否かなど。
経口薬だからといって、飲めばスッと胎児が消えてなくなるわけではなく、子宮内の妊娠組織を子宮外へだす、という中絶手術と同じことを薬の作用によってするわけで、当然腹痛もありますし出血もあります。それを外来処方でとするのは、必ずしも女性にやさしいとはいえませんが、入院で、となると当然費用は生じます。
>現状では高額な手術を受ける以外選択肢はない。
とありますが、中絶手術が高額なのは、保険適用ではないからです。
避妊や中絶に伴う医療行為は、からだの自己決定権のために必要なものであり、保険なりなんらかの助成がされてほしいと思います。
新型コロナ 原則今春に「5類」移行検討 岸田首相が指示
稲葉 可奈子産婦人科専門医 医学博士
>ワクチンや治療薬の公費負担は継続すべき
と立憲民主党の泉代表が仰っていますが、
新型コロナ治療費の公費負担を続けるのは、ほかの疾患との整合性がとれないと思います。
一方で、ワクチンについては、国民の健康を守るために接種がすすめられる「定期予防接種」として、5類感染症の麻疹や風疹など予防接種が公費助成されている感染症はあり、公費負担継続は理にかなっているといえます。
ないとは思いますが、治療費よりも先にワクチンの有料化が議論されるようなことがあったら、それはたとえていえば、シートベルトを義務化せずオプションとして交通事故の治療費を助成するようなものです。もちろんそんなことないとは思いますが。

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