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アビガン承認見送り、継続審議に 厚労省部会「有効性の判断困難」
毎日新聞
村上 和巳フリージャーナリスト
基本的に現時点での承認は時期尚早と言うことです。 ただ、記事内の「単盲検試験」という記述は一般向けには分かりにくいと思われます。 臨床試験の実施方法には主に3つあります。 ・二重盲検試験(医師、患者ともに何を投与されているか知らないが、知っているコントローラがいる) ・単盲検試験(医師は患者に何が投与されているか知っているが、患者は知らない) ・非盲検試験(医師、患者ともに何が投与されたか知っている) 科学的な信頼度は上から順に高いと考えられています。 新薬の効果・安全性を確認する臨床試験では、通常、何も薬効がない偽薬(プラセボ、大抵中身はでんぷんなど)あるいはそれまで標準的とされていた薬を比較対象にします。この際、誰に新薬が投与されているかが事前に分かれば、新薬投与患者で患者自身の症状報告や医師による評価にバイアスが入る余地があるからです。 今回アビガンの審査で提出されていたデータは、PCR検査による新型コロナウイルス陽性で胸部画像での肺病変や37.5℃以上の発熱がある20歳から74歳までの入院患者を肺炎の標準治療にアビガンを上乗せする群と標準療法にプラセボを上乗せする群の2群に分けて比較した単盲検試験です。 試験では体温、酸素飽和度、胸部画像所見の軽快およびPCR検査で陰性化するまでの期間、有害事象(副作用)と7ポイントスケールによる患者状態推移を2群で比較しています。この中で胸部画像所見の軽快と7ポイントスケールによる患者状態推移は医師のバイアスが入る余地がある評価項目です。。 既にフジフイルムは、アビガン投与患者はプラセボ投与患者に比べ、PCR検査の陰性化までの期間は明確に短縮されたと公表されています。その意味では他の評価項目がこの陰性化期間短縮を支持する結果になっていなかった可能性があります。また、アビガンでは動物実験で胎児に奇形が発生する「催奇形性」が報告されており、これも継続審議に影響した可能性はあります。 いずれにせよアメリカ、クウェートで行われている厳格な二重盲検比較試験の結果を待つことになるでしょう。 一部にはロシアやインド、中国でアビガンが新型コロナの治療薬として既に承認されているのに日本だけなぜ?という声がありますが、率直に言ってこれらの国の新薬承認基準は日本や欧米に比べてゆるめです。
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WHO、レムデシビル推奨せず コロナ治療で指針を公表
共同通信
村上 和巳フリージャーナリスト
これに先立つ形でWHOは同組織が主導した臨床試験のSOLIDARITY試験で明確な効果が認められなかったと公表していますが、それを受けての判断なのでしょう。 ただ、ちょっとここまでの決定はやや性急というか極端な気もします。 そもそもこれまで日米欧などでレミデシビルの承認に使用されたデータでも 死亡率の低下効果などは認められていません。この点はWHOが行ったSOLIDARITY試験と同じです。 SOLIDARITY試験と承認申請に使われた試験との結果の違いは、後者では回復までの期間短縮が統計学的に認められていることです。 ただ、試験の設定を見ると、SOLIDARITY試験は比較となっているのが標準的な肺炎治療、承認申請に使われた試験では偽薬(プラセボ)です。また、前者が非盲検、後者が二重盲検の試験です。 非盲検というのは薬剤を処方した医師も患者も何を投与されたかが分かっている、二重盲検は医師も患者も自分が何を投与されたのかが分かってないという試験方法です。 二重盲検の手法を酷いやり方と思う人がいるかもしれませんが、医師、患者のバイアスを排除して科学的に厳格に評価を下すというもので、薬剤の臨床試験では一般的に行われている手法です。ちなみにこの場合、患者に実薬や偽薬を割り付けるコントローラーという人は誰に何が投与されたかを知っています。 要はレミデシビルの承認申請に使われた試験の方が科学的に厳格な試験であって、その結果がWHOが主導したSOLIDARITY試験の結果によって否定できるようなものではないということです。 また、実はWHOが主導したSOLIDARITY試験では、薬の効果にも一定程度関係する発症から投与に至るまでの日数が必ずしも明確ではなかったりという問題もあります。 もっともこれまでの試験結果から、レミデシビルについては死の淵にいる新型コロナの患者を救えるほどではない、インフルエンザでのタミフルのようなレベルだろうという指摘は多いですし、妥当な評価かと思います。 劇的な効果とまでは言えない、薬の価格がかなり高いこと、さらに腎不全などの副作用に至る可能性があるということも考慮の上での今回の指針公表なのだと考えられます。 ただ、個人的にはやや極端な気もしますが。
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レムデシビル、コロナ死亡率・入院期間に影響せず=WHO調査
Reuters
村上 和巳フリージャーナリスト
抗ウイルス薬のレムデシビルが新型コロナ患者の入院期間や死亡率に影響しない、つまり改善しないというニュース。 もっとも当初の米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が行った臨床試験でも死亡率に差がないと報告されていることは周知です。ちなみにNIAIDが行った臨床試験では回復期間短縮は認められています。ただ、この試験は計画より症例数を多く組み込んで得られた結果です。 どういう意味かといえば、統計解析時には登録症例が多いほど統計学的な差が得られやすいという傾向があります。より雑駁に言えば大した差はないものが、数多い症例で見れば差があることになるという統計の「マジック」の可能性があるということです。 後に米国医師会雑誌に掲載されたドイツからの報告では、標準的な肺炎治療、レムデシビルの5日間投与、レミデシビルの10日間投与で比較すると、標準的な治療に比べ、レムデシビル5日間では改善効果が得られたが、より投与期間が長い10日間投与では改善が認められなかったというやや不思議な結果です。 今回の報じられている結果が正しいとして、これらを総合すると、レミデシビルの新型コロナに対する効果はかなり限定的と考えるのが妥当と思われます。
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【新】ワークマン、脅威の「エクセル経営」の全貌
NewsPicks編集部
村上 和巳フリージャーナリスト
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米J&J、コロナワクチン後期治験開始 来年初までに結果判明
Reuters
コロナ治療薬候補のアビガン、承認申請へ 有効性確認か
朝日新聞デジタル
村上 和巳フリージャーナリスト
富士フイルムが行っていた臨床試験は新型コロナに感染し、重症ではない肺炎に至った患者を対象にしたもので、参加患者を2つのグループに分けて、両グループともに標準的な肺炎治療を行ったうえで、一方のグループにはアビガン、もう一方のグループにはプラセボをそれぞれ最長14日間上乗せ投与する形式。 そのうえでPCR検査で陰性になるまでの期間を両グループで比較しています。 この記事のソースは分かりませんが、この臨床試験で「有意な差」が認められた、つまりPCR検査陰性までの期間が短縮されたということなのでしょう 。もっと平たく言うと「軽度の肺炎で使えば、治るまでの期間が数日間は短くなる」ということ。 この点は医療機関にとっては、重症でない新型コロナ肺炎患者の入院期間短縮につながり、ベッド不足による「医療崩壊」への歯止めにはなるでしょう。 ですが、死にそうなほど重症な人を救うほどの効果は、今のところ国内外の臨床試験結果では認められていません。 また、従来から催奇形性を起こす可能性が指摘されているため、子供を持ちたいと考える男女では使えません。さらに尿酸値が上昇する副作用があるので、比較的尿酸値が高めの人が多い中高年男性では痛みを伴う痛風発作を起こす可能性があるので使いにくいことも指摘されています。 要はこの薬が承認されたとしても現在の局面を大きく変えるような「特効薬」ではないということです。
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米ファイザーのコロナワクチン後期試験、被験者に軽中度の副作用
Reuters
村上 和巳フリージャーナリスト
報道にいる側として「副作用」という言葉の方が分かりやすくて使いやすいのですが、この段階ではほぼ「有害事象」というべきでしょう。 有害事象とは「薬物との因果関係がはっきりしないものを含め、薬物を投与された患者に生じたあらゆる好ましくない, あるいは意図しない徴候、症状」を意味するもので、その中で薬物との因果関係が疑われるものを「副作用(副反応)」とします。 ただ、副作用(副反応)のないワクチンはありません。インフルエンザワクチンなどを接種後に注射部位が腫れるのも副作用(副反応)の1つです。こうしたものが一過性の症状でおさまり、なおかつその後感染予防あるいは感染後の重症化を防げるのであれば十分意味のあるものです。 ちなみに個人的にはあるワクチンで副作用(副反応)を経験したことがあります。接種当日の夜から朝にかけての発熱とふらつき、接種翌日夕方まで続いた倦怠感という経過で医療機関を通じて製薬企業にも有害事象として報告をしたほどです。このワクチンの2回目の接種の時は何も起きませんでしたが。 そんなこんなで一過性の副作用(副反応)で一喜一憂するのはあまり意味がありません。
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安倍首相 辞任の意向固める 持病が悪化したことなど理由に
NHKニュース
村上 和巳フリージャーナリスト
正直驚きですが、医療取材を中心とする私に7月中旬くらいに旧知の新聞社の科学・医療部門以外の方から2人(別々の会社)から「親族が罹ったので潰瘍性大腸炎について教えて欲しい」と連絡があり、基礎的なことを話しました。 その時は何とも思いませんでしたが、先月下旬ある週刊誌の記者から 「首相が持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、9月にも退陣するという情報があるのですが、これに関連して、専門医に安倍首相の顔色や表情、皮膚の状態などから、病状を判断してもらおうかと考えています。そこでお願いですが、こうしたリクエストに応じてくれる医師をご存じないでしょうか」との依頼が。 私は「潰瘍性大腸炎は下痢や血便の頻度、血液検査、大腸内視鏡で病状を判断するものなので、ぱっと見で病状診断は無理です。見た目でこの病気の病状を判断するというのは、およそ星占いの1000倍以上当てにならない話です」とお話しして協力できない旨を伝えました。 この時に「先日の7月中旬の話ってもしかしてこのこと?」とは思いましたが、週刊誌記者からの依頼があまりにも荒唐無稽だったので、首相の体調悪化→辞任というシナリオもその時点では荒唐無稽だろうと思っていました。 いずれにせよもし体調が原因の一つだというのであれば、まずは療養に時間を割いて早期の回復を目指していただきたいです。
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