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年収の壁、130万円超でも扶養可に 一時的増なら 政府対策原案
毎日新聞
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
元来、106万円と130万円は、制度的由来が異なる。130万円は、被扶養者が扶養から外れる際の要件である。週の所定内就業時間が20時間以上か以下かは不問だし、所定内賃金が月額8.8万円以上か否かに関係なく、年収が130万円を超えていれば、扶養から外れ自分で保険料を払わなければならないというもの。 他方、106万円は、被用者保険の加入要件である。被用者保険の適用拡大を図るために後付けでできた。所定内賃金が月額8.8万円以上という要件から12ヶ月分ということで106万円(厳密には105.6万円)以上だと被用者保険に入らなければならず、自分で保険料を払わなければならない。その結果、扶養から外れることになる。 現時点では101人以上の事業所に勤めていて保険料の支払義務が生じる106万円と、(100人以下の事業所に勤めていて)扶養から外れて自分で払わないと無保険状態になるという130万円とでは、「年収の壁」克服に向けた対応が異なるのは制度的にはあり得ることだろう。 それと、社会保険から「扶養」という概念をなくすのは、子どもや無収入の人の社会保険をどう考えるか重大な問題である。子どもや無収入の人を無保険状態にしないようにするには、誰かが保険料を肩代わりするしかない。そのための「扶養」という概念でもある。無収入(0円)という閾値は極端だから130万円というところに閾値がある。それが嫌なら、税で財源を確保するしかない。そのための増税が受け入れられるのだろうか?
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児童手当拡充+扶養控除廃止なら 年収900万円で負担増
日本経済新聞
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
児童手当の高校生までの支給に関連して、扶養控除が廃止されると年収900万円以上が負担増になるというが、それは間違っている。私も推計しているが、この計算では、社会保険料控除が含まれていない。社会保険料控除を入れないと、計算上重要な点で問題がある。 どんな低所得者でも16~18歳の扶養控除を受けている、というのが税制面から見て肝心なところでの間違いである。 そもそも、給与所得控除があり、その上に基礎控除があって、(106万円ないし130万円超の所得の人には)社会保険料控除もある。そもそも低所得者は、扶養控除を適用する前の段階で、これら3つの控除を差し引くだけで課税所得がゼロになる。だから、16~18歳の扶養控除は、使い残しの控除となって、税負担を軽減するのに何の役にも立たない。だから、そうした所得者は、16~18歳の扶養控除がなくなっても、税負担は全く変わらないのである。ここの部分で、社会保険料控除をカウントに入れるか入れないかが重要となる。 結局、私の推計では、社会保険料控除も入れると、年収1200万円前後以上になると、16~18歳の扶養控除が廃止されることに伴う所得税と住民税の負担増が12万円を超えるので、負担増となる。年収900万円以上というのはミスリードである。
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