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「年収の壁」解消へ、新たな補助金検討 手取り減らさなかった企業に
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
この記事の図にあるように、106万円を超えたときの手取り所得を、106万円の時の手取り所得と同額になる形で補填する、つまり図の黄色地で表された摺り切り(ふちの高さで平らにならして盛る)状態にしては、就業調整はなくならない。なぜなら、社会保険料負担前の年収を110万円としても、106万円の時と手取りと同じになるなら、手取りが増えない結果となる110万円までわざわざ稼いでも徒労に終わるからである。
106万円を超えた年収のところで、摺り切り状態にしてはならず、少しでも右上がり(年収が増えたら手取りも増える)形で補填しなければ、就業調整はなくならない。
詳細は下記を参照されたい。
https://newspicks.com/news/8543965
「骨太の方針」原案まとまる 賃上げは?子育ては?
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
「骨太方針2023」の原案をみると、「経済・財政一体改革を着実に推進する。」とした直後に、「重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない」という表現がある。これについて、記事には、「少子化対策や防衛力の抜本的な強化など重要な政策課題には必要な予算措置を講じる」という意図があるとしているが、別にそうではないだろう。
同じ文言は、昨年6月の「骨太方針2022」にも、一言違わず全く同じ位置に記されている。新たに付け加わった文言ではない。去年の骨太方針をコピー&ペーストしたようなものだから、去年の骨太方針を踏襲するという意味しかなく、それ以上の他意はないはずである。2025年度の財政健全化目標を堅持することとの引き換えで、その目標達成のために財政出動ができなくなると困るから、この文言をねじ込んだのが、「骨太方針2022」だった。そこには、少子化対策も防衛力強化もなかった。
米、債務上限上げで基本合意 2年分、デフォルト回避へ
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
連邦政府と議会が与野党ねじれ状態(divided government)になっているときならではの事態といえるだろう。債務上限引き上げと引き換えに、バイデン政権は歳出削減に応じた。財政インフレ(fiscal inflation)が起きている状況では、野党共和党の主張を聞き入れたという形をとりながらも、歳出を削減した方がインフレ圧力を弱められる点で、政権側にとっても悪くないディールだったのではないか。それに、民主党が望みながらも削減された歳出については、次期大統領選挙・連邦議会選挙にて、それを復元させるから投票してほしいと支持を集める口実にも使える。
他方、共和党からすれば、政権をとる前でも要求した歳出削減をバイデン政権に飲ませることができた点をアピールできるだろう。詳細を見なければならないが、今般の合意は共和党・民主党ともに得る者を得た合意のようにみえる。
子ども予算を「ねずみ講」「消費税」以外で賄う解
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
社会保険料と税は、国民からすればどちらも負担であり、あまりその区別を意識しないかもしれない。しかし、両者は制度の設計思想が根本的に異なる。社会保険料は、負担者の拠出記録を残し、誰がいくら負担してどのようなリスクに直面した際にいくら保険給付を行うかを見定めて、社会保険料水準を決める。リスクに直面する可能性がほぼゼロである人から、「保険料」をとることは原則として正当化できない。他方、税は、原則として使途を問わず、受益と負担の関係を意識せずに、財源を賄うことができる。
子ども予算に社会保険料を用いるなら、子育てに関するどのようなリスクを想定し、誰から社会保険料負担を求めるかについて、しっかりと制度設計しなければならない。
急速進化のAI、課税に抜け穴だらけの現実
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
結局、所得は人間に帰着する。個人に税を課すと「給与水準の高い労働者が収入を1ドル失うと米国の連邦政府や州など地方政府は、税収が約30セント減るが、企業がコストを1ドル削減したときに増える納税額は21セントに過ぎない」というが、それはアメリカで、高所得者の個人所得税の税率が30%だが、法人税率が21%と言っているにすぎない。法人税課税後に個人ひ配当されれば個人所得税が課税される。
投資家で課税されていないのは法人格(及び同様の仕組み)で配当を受け取っているからであって、個人として受け取れば、(よほど妙な節税スキームを使わない限り)課税される。
AIへの課税が弱いとすれば、人間が一切関わらない形でAIが生み出したAIが、人間が所有権を主張できない形で生み出した所得に、課税できないところだが、今それを人間が想像できるだろうか。
子どもや若者1万人に調査 “大学までの教育無償化を” 4割
土居 丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
大学に行きたいという願望はよくわかる。一大学人として、それに応えられる大学教育でありたいと思う。
しかし、日本の大学の多くが、その願望に応えられるだけの教育内容を備えているといえるだろうか。「大学の教育無償化」をするなら、大学教育についての質の評価が当然として問われ、質が悪い大学は「無償化」の対象とすべきではない。
それとともに、日本にいる大学人の多くが、「学部教育」に今以上に注力したいと思っているのだろうか。教育の担い手が今以上に「学部教育」に注力できない状態で、無償化をしても、学生と教員との間のミスマッチ(温度差)が顕在化してしまい、学生に失望感を与えてしまいかねない。現状として、学部教育で(出席を一切問わない)講義で出席率がどれほどなのかという実態を直視しないといけない。このミスマッチがあるとすれば、無償化をする前にその解消が必要だ。

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